あらすじ
抗生物質は多くの国で間違った使い方をされているが、日本においてそれは顕著であり、ほとんどが誤用の抗生物質すらある。必要のない症状に漫然と処方されているため耐性菌が増え、抗生物質を治療の切り札とする感染症に使用できずに患者が亡くなることもある。つい足し算の医療をしてしまう医師、医師まかせにして病院ブランドや薬にしがみつく患者の双方の態度に警鐘を鳴らしつつ、臨床医学のよりリッチな世界観へと読者を導く。
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Posted by ブクログ
抗生物質が悪い薬なのではなく、世界的に誤用されることで起こっている問題、日本国内での医療従事者の教育方法の問題、厚労省のシステムの問題を取り上げている。将来医学を志す人はもちろん、一般の人(文系出身者)にもオススメ。
Posted by ブクログ
著者の言う「誤用」とは、リスクを勘案した上で、そのリスクを上回る効果が得られないことである。
そのリスクは、「副作用のリスク」「耐性菌発生のリスク」「お金のリスク」「ロジスティクスのリスク」の4つだという。
これらをクリアしてはじめて、正しい処方だと言えるのだろう。
リスクというと一般的には「副作用のリスク」のみに着目しがちだが、病気だけでなく周辺のリスクも勘案すべきである。
このような大局的な視野は、合理的で素晴らしいと思う。
また、先発品の投与方法が変わっても、それが後発品に反映されないといった薬事行政のお役所的な面や、日本の医者は足し算体質な傾向が強いといった問題などは抗生物質に限った問題ではない。
専門的な内容も多々あるが、医療界の一端を垣間見れた気がする。