あらすじ
暗殺に失敗して武田信玄の器量と人格に心服した丸子笹之助は、忍者の掟に背き、信玄のために身命を賭して働くことを心に誓った。今川義元を桶狭間に討ち取り、京都の将軍・足利義昭の後見となった織田信長と信玄の、忍びの者を使った虚々実々の駆け引き。元亀三年十月、ついに信玄は起った。襲いかかる甲賀随一の遣い手、孫兵衛と笹之助の意外な運命の絆を描いて圧倒的な感動巨編。
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Posted by ブクログ
上巻を読んだ時点での私の空想に反して、結局は信玄の死は歴史認識通り病気だったということでした。
大きな野望を持ちながら志半ばで夭折した信玄ですが、結果論でいえば慎重過ぎたということでしょうか。
そしてその後の武田家の運命は、勝頼の野心と器のギャップに加え、忍びを上手く活用できなかったことも一因としています。
上巻に比べて下巻は忍びの超人的な活躍場面が少なかったのが少し物足りなかったけれど、非常に素晴らしい作品であることに変わりはありません。
Posted by ブクログ
主人公が仕える信玄の病状が進むにつれ、
話も少しずつ悲惨な方向に行くのは否めないか?
忍びが家庭を持ち、妻をめとって子をもうける。
それが彼らにとっては時に、足かせにもなる。
人間として、男として、夫として、信玄の足下として。
成長し、また苦労する笹之助。
甲賀忍者のやりとりや塚原卜伝との交流など、
本当にきめ細かに描かれる相関図が物語にさらなる深みを与える。
ちなみに私が池波作品を好きなのは、
地の文章に常に、情景が浮かぶ要素が盛り込まれているから。
それが忍者モノだと特に、際立った映像感が伝わってくる。
最初の数ページ、最後の数ページは特に、
読みながらまるで映画を見ているかのようだった。