【感想・ネタバレ】燃ゆるときのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

経済小説、ビジネス小説なんてほとんど読んだことがなかったのですが、こんなに面白いとは。
「マルちゃん」で知られる東洋水産の創業者森和夫の生き様がかっこいいのです。

北海道ではインスタントラーメンといえば「サッポロ一番」より「マルちゃん」です。(個人の感想です)
カップ焼きそばといえばマルちゃんの「焼きそば弁当」。
うちの子たちは魚肉ソーセージもマルちゃんのが一番美味しいと言います。
そのくらい身近。
物心ついた時から、当たり前のようにあったので、まさかこんなに苦難続きの企業だったとは思いませんでした。

戦後4人で起業した零細企業ですから、大企業や商社から無理無体を押し付けられ、会社が大きくなったら今度は、つぶれそうな会社の再建を頼まれては引き受けています。
経営者ですからもちろん論理的ではあるのですが、行動の根本には「義」があります。
だから人がついてくるのだろうなあと思いました。

まあ、小説なので、すべてが事実ではないのかもしれません。
一番びっくりしたのは日清食品の(作中では日華食品)の安藤百福(作中では安東福一)の姿です。
これまで私が見知ってきた安藤百福という人は、おなかをすかせた人がなくなるようにとチキンラーメンの特許をとらず、戦後の日本の食品業界をけん引した人、でした。
が、この作品を読むと、チキンラーメンは彼の発明ではなく、実際に発明した人から特許権を買い取ったらしい。
そればかりか、社員は使い捨て、権力者にはすり寄り、弱者を恫喝し、マスコミを使ったイメージ戦略に長け、えげつないほど金に汚い人物。

さすがにそれはないだろうと、読書の途中でちょっと中断し安藤百福氏を調べてみたら、結構黒い噂はあるみたい。
日清食品自体が、業界ではあまり評判が良くない。
だからドラマも小説も、フィクションであることを念頭に、あんまり信じすぎてはいけないなと思った次第。

でも道民だからマルちゃんが好きなのよ。
これからも食べると思うわ。

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2023年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今日から、緑のきつねを買います。

読んでてあまりにも面白く、気持ちが高ぶったので
本を読まずに、ネットで事実関係を調べてしまいました。

でも、結果を知って読んでも、それでも尚読み応えのある作品でした。

もっと頑張らなくちゃ。

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2014年01月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「燃ゆるとき」
高杉良作
2005年
角川書店
(初出版は1990年、実業之日本社)

「まんぷく」がヒットする中、インスタントラーメンはモデルの安藤百福が考えたのではない、という噂がネット上を飛び交うようになっているけど(そのことも書いてある)、ここで、実名企業小説でおなじみの高杉良の古い小説を読んでみた。日清食品を痛烈に批判したとされる「燃ゆるとき」。マルちゃんの東洋水産の創業から成功までの話だけど、実名は東洋水産や政治家の名前だけで、あとは誰でもわかるような仮名。例えば、日華食品の安東福一、村野証券と言った具合。しかし、最後の解説で中沢孝夫兵庫県立大学教授(当時)が、実名と照らし合わせて解説し、東洋水産が一時子会社となっていた三井物産と日清食品を辛辣に批判している。実名小説だし、書いてあることは基本的に全部事実だと思っていいかも。

以下、メモ

第一物産(現在の三井物産)。この商社の汚さには反吐が出るが、詳しくは本書を読んでもらう以外にない。起業家の苦労を知らないサラリーマン根性の悪さ丸出しである。さんざん東洋水産に儲けさせてもらいながら、下請け扱いどころか、泥棒のような社員を「経営監督者」に押し込んだり、巨額な負債を隠して、ゴミ会社と合併させたり、トンあたり六万円から七万円が普通の建設コストの冷蔵庫を十二万円でつくらせたり、不良品の冷蔵設備を買わせたりと、とにかくめちゃくちゃなのである。<中沢氏解説より>

東洋水産がアメリカ進出をした。その時、N新聞(日経新聞)が「日華食品(日清食品)が米国で特許を確立し、輸入差し止め権も。東洋水産など大打撃」と昭和51年6月に報じた件に関して・・
N新聞は裏付けもなく書き、日華食品のお先棒をかついだ。事実関係は本書の中にあるとおりで、日華食品が特許を取得した事実はなく、全ての行動が東洋水産への妨害活動でしかなかった。裁判で危うくなったら、今度は和解工作に来た。相手側に森和夫(東洋水産創業者)はこういう。「安東社長は臆面がなさ過ぎます。わたしは恥を知らない人間だけにはなりたくないと思っています」。こんなことまで森にいわれる相手側(日華)の担当者もたまったものではないが、まったくの嘘をリークするばかりか、嘘の広告まで新聞に掲載したのだから、安東福一(安藤百福)の神経の凄まじさに驚くのである。<中沢氏解説より>

インスタントラーメンを発明したのは自分だと吹聴していますが、事実に反します。鶏糸麺としてはじめに発明したのは陳という人で、安東さんはそれを盗んだんですよ。お話にならないくらいえげつない人なんです。(本文292P)

フクイチアントウさんは一九五五年ごろ、大阪の信用組合の理事長をしていたのですが、信用組合の資金を小豆の買い占めに注ぎ込んで、背任罪で起訴されたのです。執行猶予になりましたが、犯歴であることには変わりません。(本文301P)←ドラマでは2度逮捕されているが、いずれも冤罪扱い。それとは別の話もあったのか?

アメリカでの特許侵害訴訟で嘘がばれてきて、負けが濃厚になった日華食品は、和解案を提示してきた。そこで、米国進出している先輩企業に挨拶料を払えと1億円を要求。東洋水産の森社長は、マフィアかヤクザでもあるまいし、と怒る。

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2021年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マルちゃんで有名な東洋水産の創業からアメリカ進出頃までの話が
実名で描かれている実名小説です。

まあ、この作者お得意の製作パターンですね。

高度成長期を背景に着実に大きくなっていく企業。
時代だけではなく、創業社長の決意と意思決定で着実に
大きくなった様が描かれています。

確かに時代背景は、拡大均衡ですが、決意が無ければ、
時代に飲み込まれてしまう。

かといってむやみに拡大すれば均衡は保てずに破綻する・・・。
バランス感覚にも優れていた証拠ということでしょうか。

現在の日本経済は果たして縮小均衡状態なのか、単なる縮小だけなのか、
意外に拡大傾向で拡大均衡ではなく、拡大のバランスを崩した状態なのか・・・。

私には判断できません。

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2012年06月20日

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