【感想・ネタバレ】スマートグリッドのレビュー

あらすじ

次世代の社会インフラである「スマートグリッド」。
本書はスマートグリッド研究の第一人者である東京大学教授の横山明彦氏が、電力ネットワークの視点からスマートグリッドを定義し、技術的課題や各国の事情を分かりやすく解説します。
また、日本IBM未来価値創造事業事業開発部長の池田一昭氏と、海外の事例や情報システムから見たスマートグリッドについて語り合う特別対談も収録しました。
スマートグリッドを知りたい、スマートグリッドにおけるビジネスチャンスを探りたい――そんな方々に向けた必読の書です。
(役職名などは書籍発行当時の情報です)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 スマートグリッド(スマグリ)について、2010年に出版された新書。
 手元にあるのは1版5刷であり、「【2011年4月26日追記】」として、「電力不足を直接的に解決するものではなく」などといった留意事項が書かれている。
 さて、はじめに定義が明確ではないものの、とりあえずの簡単な定義をあたえて、アメリカのオバマ大統領の政策、欧州の事情などから説明してゆくことで、全体的な流れがつかみやすい。
 後半(205ページ以降)には、電気電力系の著者と情報通信技術関係者との対談があり、スマグリの新規プレーヤーとして、「省エネルギーに向けた効率的な電気の使い方をアドバイスするエネルギーアドバイザー(212ページ)」等々の誕生を示唆している。
 後日レビューを追記したい。

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2011年09月13日

Posted by ブクログ

著者の横山さんは東京大学大学院教授で、2003年頃から次世代送電網・スマートグリッドの研究を重ねてきた人物です。

本書は題名からも分かるように、その横山さんが「スマートグリッド」を一般読者向けに解説している新書です。

スマートグリッドと聞いて、何となく身構えてしまう方も居られるかも知れませんが、本書には数式などは一切出てきませんし、また、所々に図が挟まれているので読みやすい本ではないでしょうか。

勿論、この分野における基本知識があれば理解が早いとは思いますが、基本的に

・電気は需要と供給を常に合わせないといけない。それに失敗すると、供給過剰、もしくは供給不足のどちらでも停電が起こる。

・発電量の予想が付きにくいソーラーパネルや風力発電など、再生エネルギーによる発電が大規模に取り入れられると、電力の需給の一致が難しくなる。この問題を解決するための切り札として「スマートグリッド」に期待が寄せられている。

の2点を抑えていると理解しやすいのではないかと思います。


さて、内容の方を簡単に紹介すると、

「スマートグリッド」と言う言葉一つとっても、世界共通のきちんとした定義が存在していない状態で、世界各国がそれぞれの事情に合わせた設備投資、開発に取り組んでいる状況や、

(上記しましたが)再生エネルギーによる発電を大規模に導入するのであれば、電力の需給を一致させ停電を防ぐために、スマートグリッドが必要となる事。

そして、開発が進んでいるスマートメーター、送電網の監視・制御技術、スマートストレージ、デマンドレスポンス、スマートアセットマネジメントなど、スマートグリッドの要素技術の紹介も載っていました。


紹介された技術の中で、特に、電力が過剰に供給された時に電気料金を安く、逆に不足している時には高くする、あるいは、例えば電力不足時には一般家庭の冷蔵庫のスイッチを30秒間だけ切るなどの電力需要を調整をしたりするデマンドレスポンスが、一般消費者には、スマートグリッドと従来送電網との違いが一番実感できる所ではないでしょうか。

他、欧米各国、中国、韓国、日本におけるスマートグリッド開発状況の解説が載っており、それぞれの国が自国の事情に合わせて開発を進めていっている事がよく理解できる内容となっていました。



スマートグリッドが導入された社会では、個々の世帯における(個々の家電の使用状況も含めた)電力の消費実態が詳細に把握出来ることになり、それによりグーグルが個人の生活スタイルに合わせた新たな広告業を展開するのではないかとの噂があるそうです。

本書にも書かれていましたが、スマートグリッドの普及には、技術開発とその導入だけでなく、電力使用状況と言う個人情報の取扱い方の社会的なコンセンサスが必要との事。

従来、電気使用において気をつけなければいけない点は、(現在、原発事故の影響で節電が呼びかけられていますが)大体の場合、電気料金が高くなることを防ぐと言う事だけでした。

しかし、個々の電気機器の使用状況までも含めた電気の使用状況。

将来、スマートグリッドの便利さと引き換えに、この様な個人情報が他人に知られると言う点についても考える必要性が出てくるのでしょうね・・・

一般人も色々と考えることが多くなりそうです。

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2011年07月25日

Posted by ブクログ

2011年2月
スマートグリッドの著名な研究者,横山先生の本.
・スマートグリッドの変遷,歴史を解説.
(スマートグリッドとは何か?目的は?なぜスタートした?どのように進化してきたか?など)
・地域毎に異なるスマートグリッドの特色を解説.
(欧州・米国・日本・中国・韓国のニーズとスマートグリッド.どのように異なるか?など)
・電力分野からの観点に加え,情報通信分野からの解説.
(IBMの池田氏との対談.ビジネスとしてのスマートグリッドとその持続性の議論.)

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2011年02月21日

Posted by ブクログ

スマートグリッドの技術とビジネスについてわかりやすくまとめられている。スマートグリッドへの注目度は格段と高まっているけれど、その実情を知る上で適切な解説書です。地に足についた取り組みを主張する電気事業サイドの視点だけでなく、情報通信サイドの視点にも触れられており、その点でも役に立つ。

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2010年06月05日

Posted by ブクログ

250ページの薄い新書本だが、中身は濃い。震災後、急に存在感が高まってきたスマートグリッドの全貌を掴むことができた。震災による津波の被害により、原子力発電所が何基も使えなくなり、さらに新たな建設にもブレーキがかかっている。これに対して、太陽光発電を大規模に増設すればエネルギー不足を補えるので問題ない、といった安易な意見が横行している(ように思う)。私自身、問題はエネルギーの不足にあり、コストはかかるにせよ太陽光発電を大量導入すれば問題解決可能だと思っていたのだが、この本を読んで認識を改めさせられた。電気の問題点は貯めることが難しい、ということだ。したがって、基本的にジャストインタイムで必要な時に必要な量を発電しなければならない。従来は一日の需要変動を考慮しつつ、20分程度先の必要電力量を予測ながら、火力発電、水力発電、原子力発電、揚水発電などの発電方式を組み合わせて、ジャストインタイムで電気を供給することができていたという。しかし、ここに太陽光発電や風力発電などの「再生可能エネルギー」が加わると厄介なことになる。これらは、天気などによって電力がランダムに変化するため、これが十分に調整されずに、電力系統に流れ込んでくると、電源の周波数が変動して機器が故障したり火花により火事の原因になったりする。さらに、GW時の昼間など余剰電力が生じた場合、これをうまく消費することができないと、周波数が上昇するため、安全装置が作動して設備が切り離されるため大規模停電の原因になったりする。何年か前に、起こった欧州の大停電は風力発電の電力系統が絡んで、この設備の切り離しが原因で起こったということだ。以上のように、太陽光発電を導入する際の問題は、このような不安定な再生可能エネルギーを従来の電力系統に連係させていくことの困難性にあるということをこの本を読んで知った次第である。スマートグリッドは、このような「再生可能エネルギー」を本格的な電源として利用するために研究されている新たな電力系統である。この本では、日本だけではなく、米国、欧州の取り組みについても詳しく説明されている。この本により、大まかな全貌を掴むことができたので、今後はもう少し詳しい専門書にあたっていきたいと思う。

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2018年11月19日

Posted by ブクログ

かなり基本的なところから書いてあって、入門書としては最適。読み進めていくと、問題点・注意点をただ羅列している箇所などが出てきて悪い意味で学者っぽい印象もあるけれど、巻末の日本IBMの事業開発部長との対談が興味深くて、その印象も払拭されている。
残念なのは、本書の中で引用している図表が小さすぎること。せっかくいい図表が引用されているのに、見づらいことこの上ない。

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2018年11月18日

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ネタバレ

スマートグリッド

2009年頃から一般的に知られるようになってきたスマートグリッドに関する本

著者は東京大学の新領域創成科学研究科教授
電力システム工学を専攻しており、スマートグリッドの研究には2003年から携わっている。
2011年の原発事故以降によく耳にするようになったスマートグリッドについて興味を持ち購入した本

全186P
1章:スマートグリッドブーム26P
2章:スマートグリッドを定義する52P
3章:欧州の取り組み22P
4章:アメリカの取り組み28P
5章:日本版スマートグリッドをとは34P
6章:中国、韓国の取り組み8P
7章:スマートグリッドの将来像と実現への課題16P

スマートグリッド実現のための課題とは
「再生可能エネルギーを、いかに安定的に、経済的に導入するか」
である。
2030年には世界における再生可能エネが発電量に占める割合を、
風力(4.5%:1.5超kw)、太陽光(1.0%:2500億kw)になると試算している。

各地方におけるスマートグリッド導入時の課題は以下の通り
日本
課題:温暖化、電力不足(?)
原因:原子力依存
対策:自然エネルギー発電所の新設

欧州
課題:風力発電増加による電力供給の不安定化
原因:各国システムの不連携
対策:スマートメータ導入(?)

米国
課題:電力自由化による電力供給の不安定化
原因:自由化による設備投資額減少
対策:スマートグリッド技術による各電力会社の連携

中国、韓国
課題:電力供給の不安定化
原因:設備インフラ投資不足
対策:1、送電線の設置、2、スマート変電所の設置、3、電力供給の最適化


今目前の課題として、スマートメータを各家庭に導入したあと、
「日々集まるデータを用いてどんなことをするのか?」
が課題となると言われている。
この点に至っては、今家電メーカの課題となっている
「単品売りでなく、家電をシステムとして提供するにはどうすればいいか?」
という話を似ている要素があるなと感じた。

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2012年02月05日

Posted by ブクログ

 題名で購入。

 やや電気事業者側の視点かなと推測されるのと、今回の東日本大震災の前に書かれたことは注意すべき。

 その上で、スマートグリッドの構想が、ドイツでは風力発電の発電量の急激な増加に耐えられずに停電したことが背景にあること、アメリカでは、むしろ大規模発電所や送電網の拡充ができなことから代わりにピークカットの手法として検討されていること、など各国の事情が異なることがわかった。

 その上で、個人的には、行政、経済中枢機能の防災バックアップのための分散型発電という観点からスマートグリッドが検討できないかと思う。

①首都直下、3連動が起こったときには、東京、名古屋、大阪などの行政中枢や経済中枢が停電などによって麻痺する可能性があると思う。

②このため、非常電源をビルなどで用意しているが、非常に原油蓄積量も少なく、また、非常用電源の発電性能も低いことから、むしろ、中枢機能全体について、太陽光などの再生エネルギーとガスエンジンなどによって最低限の機能を常時確保するシステムをいれておく必要があるのではないか。

③そのようなある程度面的で効率的な発電システムが高密度な都市の中枢の分散的に配置されることによって、非常時のバックアップ機能が確保できるとともに、スマートグリッドによって、真夏などの電力需給対応にも貢献するのではないか。

 ある程度、国が中心となって、行政、経済の中枢が地震などの非常事態でも電源が自前で面的に確保され、様々な防災指示が的確にできるようなシステム構築が必要と考える。

 まったくの私見だが、この本を読んでいて、単に住宅に太陽光パネルを単体ではっていくよりも、面的に防災性を加味して、中枢機能地区から分散型エネルギーを導入する方が、より喫緊の課題であるし、国民の税金を入れることの理解も得やすいと思う。

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2011年11月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スマートグリッドとは、電気の供給と需要のバランスをコントロールする仕組みの総称のこと。本書では、将来自然エネルギーの利用による電力供給過多の可能性にも触れている。その問題の解決のかぎは家庭へのスマートメーターの導入である。スマートメーターの導入により、余った電力を他の家電への使用にまわしたり、電気の使用量をリアルタイムで知ることができるようになる。スマートグリッドは今後多くの業界がかかわりを持つことになるようなので、引き続き関連書籍をチェックしていきたい。

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2011年08月30日

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東日本大震災は日本を変える。
それは、2011年3月11日朝に仙台にいた私を変えたように日本を変える。
私はすでに考え方が変わったために、3.11以前と以後で読書傾向も変わった。この本の初版は2010年3月29日。東日本大震災の1年前であるが、書かれている内容は若干楽観的なだけで今でも十分通用するものだ。こういうものこそ新書で存在する価値があるものだと思う。
スマートグリッドというのは、総合すると電力会社の電力網のみの話ではない。情報通信技術を駆使して社会をスマートにする思想だ。電力会社が家庭の外までを管理していた時代を通り越して、スマートメーターによって、家庭の中さえも制御しようとする思想だ。人はどこまでそのスマートさを許せるのか。
ヨーロッパ、アメリカ、日本、中国・韓国のスマートグリッドへの取り組みが紹介されるが、やはりスマートを完成させるのは日本である。
このスマートさに世界が付いて来れるのか。日本のスマートさは携帯電話での失敗のようにガラパゴス化と呼ばれる現象になるのか。
ガラパゴスでもいいじゃないか。幸福な社会をつくろう。

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2011年07月15日

Posted by ブクログ

3.11が起こってから、注目が集まっているのが再生可能エネルギー、いわゆる自然エネルギー。いろいろな所で議論がなされているし、全国民が興味関心を抱いている。
その中で自然エネルギーを導入していくためには、スマートグリッドというものは欠かせない。そう教えてくれるのが、この本である。
この考えなくしては議論がこれからできないであろうと思った。
是非、スマートグリッドについての本は、何かしら読むことは重要だと感じた。

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2011年06月03日

Posted by ブクログ

環境バブルの核部、スマートグリッドについて非常にわかり易く書かれた本です。

そもそもスマートグリッドとは何か、なぜスマートグリッドが必要なのか、それは世界共通の価値観か、なぜ、なぜ、、

と、1つ1つ順を追って説明してくれるので、環境初心者の僕でもサクサク読めました。

要は再生可能エネルギー(太陽光など)が今後更に広がった時、余るであろう電力を上手に使いましょう、てこと
そしてその過程で、新たなビジネスが次々生まれるということ、それこそITバブルのように。
ただ、何より大切なのは、

実現には一般市民の協力が不可欠だという、著者の押し付けがましくない主張。
とても好感が持てます。


あと、電力が注目される今だから、原発や節電に疎い人も是非読んでください。

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2011年04月05日

Posted by ブクログ

よくまとまってて分かりやすい!
スマートグリッドって定義自体曖昧なものだけど、各国の事例に照らし合わせて説明がなされてることで、包括的な理解ができた。

再生可能エネルギーなどが効率よくつかわれるために、情報通信技術を使って、エネルギーの需給を消費者側からも調整できるようなインフラを整えることが必要。それがスマートグリッド。
課題としては整備までにかかる時間やコスト。あとはセキリティの問題も。

エネルギーはこれからもビジネスにおける重大事項でありつづけ、スマートメーター関連でビジネスチャンスがあることは確実。
個人的にはグーグルの介入による広告システムが非常に興味深い。それにしてもグーグルすげぇな。こんどは電気情報の「整理」か。

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2010年08月05日

Posted by ブクログ

「スマートグリッド入門 次世代エネルギービジネス(アスキー新書)」と比較してしまうためか、段違いで分かりやすい。

こちらを先に読むべきだったと後悔。

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2010年07月03日

Posted by ブクログ

スマートグリッドを技術者視点で見てる。
部分的には事務系が知っておくべきところもあり。
もう2,3回読んでおきたい。

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2010年05月05日

Posted by ブクログ

スマートグリッドについて書かれた本や記事はそれなりに目にしてきたが、本書の説明が丁寧で、わかりやすかった。
日本のような高度な電力系統をもってしても、再生可能エネルギーを大量に導入した場合の系統への影響は避けられず、それをいかに低減するかか課題であり、上流側・下流側で様々な取り組みがなされているとのこと。
スマートストレージはあまり今まで注目してこなかったので勉強になった。電気自動車がストレージ機能として有望だと感じた。運輸部門の省エネも図れて、まさに一石二鳥である。

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2021年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スマートグリッドの説明や海外の動向などがまとまっていた。
しかし、震災前ということもあり、現在とは少々ずれているかもしれない。
また入門書としてはよいが、詳しい部分はあまり記載されていなかった。

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2012年05月21日

Posted by ブクログ

スマートグリッド全般について、一般の人にも理解できるようわかりやすく解説してある。日米欧でのスマートグリッドに対する取り組みの違いが明確に書かれている。

・欧州
国境を越えた広範囲の電力系統を持つ。風力発電を設置している国から、様々な向きの電流が流れ込んでくるため、スマートグリッドによる管理が必要になる。
送電が焦点になるため、スマートメーターよりも、風力発電対策としていかに多くの送電線を作るか、貯蔵設備である揚水発電や圧縮空気貯蔵設備を作るかが重要。

・米国
更なる電力需要の増加が見込まれるため、対策を要する。
送電線の増設には多額の費用がかかるため、スマートグリッドを利用したピークカット、ピークシフトが焦点。

・日本
再生可能エネルギーの大量導入。
PPS、IPPの参入を容易に。

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2012年05月18日

Posted by ブクログ

流行のスマートグリッド概論。
スマートグリッドって名前だけ聞くといい感じに聞こえるが、中身は多岐にわたってて、むしろ泥臭いイメージ。
よくまとまっていると思うけど、それだけに地味。

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2012年02月24日

Posted by ブクログ

世の中ではスマートグリッドという曖昧な言葉が、曖昧なまま、非常に多く使われている。本書は、とてもわかりやすくスマートグリッドを解説している。

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2010年07月18日

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