あらすじ
15世紀半ば、嘉吉の乱による将軍暗殺のあと、幕府は求心力を低下させ、首都近郊では一揆が続発。主を失った牢人が京にたむろし、博打に興じ、乱暴を行うなど混乱を生じさせていた。その後の10年に及ぶ応仁・文明の乱で暗闘した足軽は、いったいどこから現れ、何をしていたのか。下剋上そのものといわれた足軽の姿を明らかにし、室町時代の実像に迫る。
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Posted by ブクログ
応仁の乱にて活躍した「足軽」について、その構成要素や歴史的背景を追う事で、室町時代における京都近郊社会の一側面を明らかにする内容。守護による幕府運営が機能不全に陥る過程や、牢人に注目した人的ネットワークの実態などが分かりやすい。
Posted by ブクログ
牢人・足軽の存在を手掛かりに史料を読み解き、応仁の乱前夜の京都とその近郊の荘園の状況を生き生きと描く。貴族・寺社のものだった京都や荘園に武士たちが様々なネットワークを張り巡らし、その中で無数の連携や敵対を繰り広げていく。没落した守護などの家臣は牢人となって、京都南部に滞留し、戦乱や一揆が起こればそれに乗じて失地回復や再起をかけてそれらの争いに参入していく。朝廷や幕府上層部の動きを追うだけでは感じられない歴史のダイナミックな動きを味わうことができる。昔読んだ石母田正『中世的世界の形成』と雰囲気が似ていると思った。
Posted by ブクログ
室町時代後期(特に応仁の乱以降)に出現した足軽がどこからやって来たのかについて、当時の一次資料(日記とか)を参考にしながら探究してゆくという内容。
社会の変化は様々な要因が複合的に絡み合った結果起こるのが世の常であり、その意味でこの本の著者も幕府側の事情のみならず地方の荘園システムの変容、国人レベルの武士の活動等を追いながら分析している。
室町時代ってカオスやなぁとしみじみ思う(笑)
惣村や一味といった百姓サイドからの記述が少なく、もう少し多角的視点が欲しかったのが玉に瑕。
Posted by ブクログ
戦闘要員としての足軽の誕生、というよりも、発生してしまったならず者としての足軽。そういう人が生まれた社会的・政治的背景を語る本。室町時代の京都はきらびやかだったから、闇もまた深いのだと。思っていたのとは随分違った本ではあった。都に多量の牢人がたむろする。政治が疲弊して爛熟する、と。いや、あんまり現代にこじつけて読むまい。