あらすじ
昭和62年、安アパートの自室でゴミの山に埋もれて孤高の死を遂げた作家森茉莉。父森鴎外に溺愛された贅沢な少女時代。結婚、渡仏、離婚などを経て自立。54歳で作家となり、独得の耽美な小説世界を発表した後半生の貧乏ぐらし――。「精神の贅沢」を希求し続けた84年の生涯の頑なで豊かな生き方を、人気作家群ようこが憧れとため息をもってたどっていく全く新しいタイプの人物エッセイ。
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Posted by ブクログ
女一人、物を書いて自分を食べさせて行く。
寂しくはない。
友達もいる。
そんな共通点をもつ、群ようこが森茉莉を語る。
茉莉の作品から見える彼女の生き方を語るものだが、一つ一つのテーマについて、まず「群ようこの場合は」が語られ、この部分は、いつもの群さんのエッセイ。
そのあと、「森茉莉の場合」が語られ、作家の評伝になる…という珍しい形だが、二つの部分はうまく溶け合っていて、本人のエッセイを読むだけではちょっと分かりづらかった森茉莉の人生がよく見える。
…というか、せっかく美しく暈してあったのに丸裸?(!)
茉莉の弟・類が家族のことを書いたエッセイを出版した時、暴露本のような内容に茉莉と杏奴が激怒して類をシメたようだが、この群さんの本を読んだら、茉莉は卒倒してしまうかもしれない。
もちろん、群さんは森茉莉の作品が好きで、憧れているからこそ、こういった本を書いたと思うのだが、歯に衣着せない語りはいつもどおり。
なかでも、茉莉にとって森鷗外は、文豪でも軍人でもなく、自分の愛する、または自分を愛してくれる「パッパ」としての森林太郎であった、と書いた上で、群さんはしかし、その、森鷗外の娘だからこそ、茉莉のエッセイに興味がある、と、これまた茉莉がすご~く嫌がりそうな事を書くのだ。
文豪であり軍人だった森鷗外が家ではどんな風だったのか、覗き見をすることに喜びを覚える、となんとも正直で笑ってしまう。
また、茉莉の毒舌テレビ評論を、読む人も書かれたひとも、大きな心を持って許してやっていたのだろうと書く。
本人はまっとうすぎる意見と思って書いているだろうが、公平な評論ではなく「森茉莉の頭の中を楽しむエッセイ」と言い切る。
どこを切っても、さすがは群さん!としか言いようが無かった。