【感想・ネタバレ】無花果日誌のレビュー

あらすじ

桐子はカトリックの女子校に通う高校二年生。家の近所のお下劣な環境を脱すべく、県内一のお嬢様学校に入ったのだけれど、お上品ぶった同級生や先生、修道女との毎日は、すっきりしないことばかり。大好きな母さんの死、郁クンとの恋、衝撃の事件。からまわりする自意識を抱えながら裸の自分に向き合い、明日へ走り出す桐子は――。みずみずしい十七歳の一瞬一瞬が輝く話題作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

多分仙台の、お上品なカトリック系女子高に通う桐子(とうこ)は、ハイソなクラスメートとは違い、青果店の娘。
近所のおじさんたちの下品でイヤらしい生態が嫌でお嬢様学校に通ったというのに、上品ぶっても品性下劣な同級生や、向上心も親切心も感じさせない修道女や教師たち、非寛容で罰を与えることしかしないキリスト教の神などに疑問を感じる毎日。

亡き母の高校時代の友人だったという加代子さんの息子、我孫子郁(あびこかおる)と恋愛中。
耳年増だけど実際は初心な桐子は、郁のペースについて行くので精いっぱい。
とはいえ郁も初めてなので、まあいろいろあるわけです。

で、この本、平成14年に刊行された本なのですが、読んでいて全然平成感がない。
時代を問わない思春期の少女の内面を描いているわけだから、別に平静という時代を前面に出す必要はないのだけれど、いかんせん文体が古臭い。
絶対私より年上の人が書く文章。

まず、郁クンという表記。
これ、1970年代の高校生が使っていた表記でしょうが。
「~だよネ。」とか「~なのデス」などのように、語尾に唐突にカタカナを使う。(この作品中ではそのような表記はないけれど)
私が小学生の頃に高校生くらいだった人たちの文章。
手書きの文字は、びっくりするほどの丸文字だったはず。

そして妙に哲学的でもってまわった思考をもてあそぶスタイルは、やっぱり70年代の高校生っぽい。
今どきの高校生のリアルな文章がどのようなものかは私も知らないけれど、今の若い人はもっと感覚的な書き方をすると思う。
今の、と言っても20年前なのだが。

高校生の日常を読みながら、年配者の文体。
これに慣れることができなくて、最後まで違和感を抱えたままの読書だった。

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2025年08月29日

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