あらすじ
学校には存在しない教科を、町の本屋さんが教えてくれた。
『夕暮れに夜明けの歌を』『文化の脱走兵』の著者が贈る、待望の最新エッセイ集!
「私たちは家で、列車で、道端で、詩を読んだり聴いたり思い返したりしながら、ひそかに世界の声に共鳴し続ける。どこかからきた声は一瞬にして私のものになり、いつまでも残りながら、同時にほかのすべての人のもとに戻っていく。また誰かが、この不安なときを越えられるように。」(本書より)
不安な時代だからこそ、救ってくれる本と記憶がある。
明日がきっと大丈夫になる、心の明かりを灯してくれるエッセイ集。
【もくじ】
最初に読めなかった本/だいぶ奥のほう/きのこと詩を狩る/ややこしい山/笑わせたい/白鯨号、海へ行く/落葉注意!/真夜中の事実/背表紙の学校/ふつうの市民の市長選/拳を掲げた善だなんて/通学路の近道/はじまりを掴む/年老いた先生の繰り返す日々/砂糖の楽園/空港に急ぐ/名簿順に並ぶ/大人が笑うとき/不安なときを越えて/あとがき 脱走兵のスタミナ
【装幀】
名久井直子
【装画】
Mirjam Wilke
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Posted by ブクログ
良い詩を教えてくれた。
『けれども、まだ救える
もし僕らが 賢くあれば
エヴゲーニー・エフトゥシェンコ』
『善は 勝ち誇りはしない
腰かけて 悲しげに
部屋の隅から じっと
差し向かいで 悪を見据えてる
ドミートリー・ブィコフ「不安なときを越えて」』
そして、下記の章、下記の文章にハッと胸をつかれた。
『いつまでも不安定な心持ちでもやもや揺らいでいると心が疲弊するので、なにか手近で、ちょうどよく刺激的で、聴き心地のいい言葉がほしくなる。~略~陰謀論や歴史の捏造が人気を集めるのは、それらが依拠しているのが事実では無く「これならあなたの気持ちに『ぴったり』でしょう」と擦り寄るために作られた嘘だからだ。だからこそ、政治家や学者という誰より正誤の判断を重視しなければならない人々が率先して嘘をつく姿を見てしまうと、私たちは絶望したくなる。』
まさに、胸の内にある漠然としたものを、さらりと言語化してくれる心地好さがこの著者のエッセイにはあって、だから好きなのかもしれない。それだけにこの危うい『ぴったり』と同根であるという指摘にはハッとした。そしてゾッともした。同じように心地好いのか。