あらすじ
帝が呼びかけた「君」は
散る花か、満ちる月か。
愛に生きた定子、国のために生きた彰子。
権勢争いに翻弄されたふたりの后の運命は。
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歴史小説家・秋山香乃の確かな実力を、
この物語を読むことで実感してもらいたい。
――細谷正充氏(文芸評論家)
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時の権力者、左大臣藤原道長の娘・彰子は数え十二で一条帝の中宮として入内した。
だが帝の気持ちは先の中宮である皇后定子に向けられたまま。
関白内大臣、藤原道隆の娘である定子は、失脚した兄の伊周を庇い
落飾したにもかかわらず帝の子を身籠る。
失意の中で彰子が選んだ道とは……。
明るく聡明で美しい定子。
内気ながらも慈愛に満ちた彰子。
運命に翻弄されたふたりの女性の姿を描く華麗なる平安絵巻。
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Posted by ブクログ
彰子視点から物語は始まるのだが、一条天皇の心が定子にあるのは彰子の視点から分かるので、恋愛面では彰子の圧倒的敗北と言っていいだろう。
そんな彼女の視点から、いきなり定子の視点に、しかも彰子から見れば過去に話が戻るので、正直誰に感情移入して読めばいいのか最初は大変混乱した。
定子に恋愛面で負けた彰子に同情すればいいのか。
帝と仲睦まじい定子を受け入れればいいのか。
定子視点が長いだけに、彰子を推しているとしんどいやも。
ただ帝の寵愛を受けた定子もただ幸せだった訳ではない。
帝に失望することも多々あり、それでも惹かれ、でも憎みもし……複雑な心境である。
女性作家さんが書かれたからこその機微な気がする。
定子視点に限らず、総じて男性陣の身勝手な、本当に身勝手なあれこれに振り回される女性を描いたという印象。
帝も道長も大概である。
時世的に致し方がないとはいえ、男性陣は総じて何かしらの報いを受けてくれと思うほど自分本位な方たちばかり。
男性で癒しだったのは定子の父の道隆くらいじゃないかと。
後はもう……腹が立って仕方がない。
定子の兄の伊周に至っては論外である。
帝に真の意味では愛されなかった彰子も最終的には逞しくなり、何なら父の道長すら言い負かすほどになったのは、ある意味ざまあな展開だったのかもしれない。
個人的には定子の立場も彰子の立場もごめん被りたいが。
意外だったのは、清少納言と紫式部の性格づけ。
なかなかユニークな設定だったと思う。
あと怨霊が普通にある世界として描かれていたのにも個人的には驚いた。
いや案外あの時代は本当にいたのかもしれないなと思わされた話だった。