あらすじ
企画部門系ビジネスパーソン、コンサル、SE・・・。ITをビジネスに活用する企業の経営者や企画部門の担当者、実際にITの開発や運用に携わる実務者。特に自社の技術戦略を検討・策定する企画担当者が年度計画や事業計画の「ネタ本」として使えると感じられる本です。
ロングセラーの定番本。野村総合研究所が、最新IT(情報技術)の動向を継続的に調査し、その結果を広く社会に情報発信した成果をまとめたもの。ターゲット読者が今後の技術戦略を検討・作成する際の指針となり、IT利活用のナビテーションとなる、バイブル的な本と位置づけられます。
野村総研による「ITロードマップ」調査をベースとし、これから情報技術がどう変わるのか、どのようにビジネス、経済、社会に受け入れられて行くのかを予測します。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「いま企業ITが向き合うべき論点が、よりくっきり見える一冊」
2026年版を読んでまず感じたのが、「今年はかなりテーマを絞ってきたな」ということでした。実際、第2章「5年後の重要技術」は、エージェント型AI、フィジカルAI、AI時代のデジタルセールステクノロジー、AIコンピューティング基盤、ソブリンAIと、5テーマすべてがAI関連です。さらに第3章はレスポンシブルAI、第4章はPQC、宇宙IoTセキュリティ、フィジカルAIのセキュリティ、脅威エクスポージャ管理、SOCと、守りの論点が中心になっています。つまり今年の一冊は、「幅広い新技術をざっと見渡す本」というより、「AIとセキュリティを深く追う本」と捉えるほうが実態に近いと思います。
その意味で、2025年版と比べると違いはかなりはっきりしています。2025年版もAI色は強かったものの、エッジネイティブテクノロジーやヒューマノイドロボット、サステナブルIT、デジタル公共インフラなど、AI以外の論点にも目配りがありました。2026年版はそこからさらに焦点を絞り、「AIが社会や企業に本格的に入り込むとき、何が起きるのか」「それを安全に使うには何が必要か」を掘り下げる構成になっています。
なので、最先端キーワードを広く拾いたい人には、やや意外と感じるかもしれません。新顔の技術が次々に並ぶというより、いま一番重要度が高いテーマに集中しているからです。ただ、その分だけ各論は濃いです。たとえばAIコンピューティング基盤では「推論」時代を見据えた実装基盤の変化まで踏み込み、セキュリティ領域でも脆弱性管理や脅威エクスポージャ管理の今後がかなり具体的に整理されています。5年後を考える材料としては、むしろ実務に近い一冊だと感じました。
今回は「新しさの幅」を見せる本ではなく、「AIとセキュリティという、いま避けて通れない論点の深さ」を見せる本です。守備範囲は絞られていますが、そのぶん企業ITの現場がこの先どこに向き合うべきかは、以前よりくっきり見えてくる一冊でした。