あらすじ
ひときわ古い庁舎のH大学学生部。希望者には学部を問わずアルバイトの紹介を行っているという――。「あなたは行くべきよ。断らないでね」無表情ながら美しく、奇妙な迫力を持つ学生部の女性職員から、突然に声をかけられた学生たち。病院の売店での商品の入れ換え作業や、食事を食べるだけ、とある家の庭の手入れなど、簡単だが面白みもなさそうな仕事を、彼女が紹介するのはなぜだろう。指定されたアルバイト先に足を運んだ学生たちに、いったい何がもたらされるのか、厄介事なのかそれとも奇蹟なのか? 五編収録の美しい余韻を残す連作短編集。
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Posted by ブクログ
読んでいるうちに、著者が匂わせてくるこの先のストーリーが頭の中でうっすら形作られていくのだが、分かっていても先に待っている答えが見たくて、読み進めるスピードがどんどん早くなるような本だった。その感覚は5つのストーリーすべてに共通していたが、その原動力は話によって様々。ある話では怖いもの見たさでもあったし、ある話ではハッピーエンドを疑わず逸る気持ちでもあった。
生きることや死ぬことについて考えずにはいられない。
物語のキーパーソンである悠木さん目線の話が無いのにも関わらず、彼女が学生に斡旋するアルバイトを通じて、彼女の人物像が見えてくる。きっとどの学生よりもドラマティックな経験をしていると思うが、これくらい客観的に見ている方がミステリアスで良いのかもしれない。同じ物語を、彼女目線で見たらどんな話になるのだろうと想像すると楽しい。
Posted by ブクログ
ヒカレル
高橋健二
H大学四年生。
彼女
ユウキ。学生にアルバイトや家庭教師を斡旋する奨学係唯一の女性職員。
大林スミヲ
高橋が付き添う亡くなったお婆ちゃん。
美香
スミヲの孫娘。お祖母ちゃん子。
モドル
飯島涼子
H大学法学部。
ユウキ
桑田真澄
飯島が紹介された付属病院の売店の店員。
飯島の父
銀行の副支店長。脳出血で右半身の麻痺と言語障害。
アタエル
高口康夫。
ユウキ
小田
高口の二歳年長。K寮自治会の副会長。
根竜川
高口が犬の餌やりのバイトをする。
工藤
小田がロード練習中に低血糖を起こした時に助けた。
タベル
橋爪啓太
アルバイトをしたことがない。
小泉
ユウキ
佐藤総一郎
橋爪のアルバイトの雇用主。
メグル
悠木
大橋冬樹
学寮係。
三瀬みゆき
大橋のアルバイトの雇用主。H銀行本店渉外営業部。