あらすじ
デフレ不況、グローバル恐慌、超円高……異常な状況では、もはや「経済の常識」は通用しない。いたずらに不安を煽る財政破綻説のウソを暴き、構造改革から消費税増税までの諸政策を徹底批判。小手先の「改革」を超えた、脱デフレに向けた政策大逆転を提唱。『TPP亡国論』で論壇を席巻した革命児が、変革のビジョンを力強く説く!
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Posted by ブクログ
インフレとデフレの政策の双対性を示し、それらの対応に関しては枝葉の政策だけではなく、体制を変更する事を必要だというのが筆者の主張。
そして、デフレなのに、デフレレジーム(インフレ対策)の政策をうってきたことが失敗だったとも主張している。これらは私も大賛成。
ただし疑問が2点。
1点目は、インフレレジームの転換の際に、政府の規制強化を入れている事。確かに、デフレ下で、既存の規制を緩和していく体制は望ましくないのはわかる。規制緩和とは、供給能力の向上に他ならないから。
しかし、既存の規制を強化することは、それによって満たされていた需要を制限する事にもつながる。供給能力の削減によって、デフレを克服しようとしたのはアメリカの大恐慌期のアンドリューメロン氏だったが、供給の削減は、需要の削減にもつながってしまい、GDPが4割減るという結果になってしまった。
2点目は、インフレターゲティングに対する誤解。
インフレターゲティングの必要性は認めながらも、その効果に疑問を抱き、デフレレジーム(インフレ対策)の政策だと捉えている点だ。
インフレターゲティングは、政府の定めた目標に対し、中央銀行にその実現のためのあらゆる方法を肯定する代わりに、実現できなかった時の罰則を与えるものだ。この説明がなかった点は問題だったと思う。なぜなら、この説明があれば、デフレレジームの政策ではない事がわかるからだ。
政府による規制をインフレレジームの政策としてとらえている以上、政府が中央銀行に対する目標実現の義務を課す事は、間違いなくインフレレジームの政策のはずだ。したがって、中野氏のいうようなインフレレジームの転換を主張するなら、日銀法改正やインフレターゲティングは肯定的にとらえなければならないはずだ。
以上の理由で星3で。