【感想・ネタバレ】サーカスの子のレビュー

あらすじ

大天幕の中に入ると、そこは夢の世界だった。--
舞台の上で繰り広げられる華やかなショー、旅を日常として生きる芸人たち。子供時代をサーカスで過ごした著者が、失われた〈サーカスの時代〉を描く、私的ノンフィクション。

あの場所は、どこへ行ったのか?
僕がそのときいた「サーカス」という一つの共同体は、華やかな芸と人々の色濃い生活が同居する場所、いわば夢と現が混ざり合ったあわいのある場所だった。(本文より)
幼いころ母とともにキグレサーカスで暮らした著者は、四十年近い歳月を経て、当時の芸人たちの物語を聞きにいく。
それは、かつて日本にあった貴重な場所の記録であり、今は失われた「故郷」と出会い直していくような経験だった。
気鋭のノンフィクション作家による注目作。

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Posted by ブクログ

稲泉連『サーカスの子』講談社文庫。

幼い頃、一時期だけ母親と共にサーカス団で過ごした経験を持つ稲泉連が失われたサーカスの時代にスポットを当てるノンフィクション。

キグレサーカスの最後の公演が2010年の盛岡だったとは知らなかった。自分も幼い頃、両親と盛岡八幡宮の境内や県営体育館近くの空地で開催されたキグレサーカスの公演を観に行った記憶がある。キグレサーカスの丸い金属ゲージの中を走り回る2台のバイクの芸や空中ブランコには驚いたものだ。

また『親の因果が子に報い……』の口上の見世物小屋もサーカスとセットであったことを初めて知った。盛岡八幡宮の境内に来た見世物小屋で犬少女とか蛇少女とか見た記憶がある。どちらもオバサンだったが。

さて本作。著者の稲泉連は幼い頃の一時期、母親がキグレサーカスの団員たちの炊事係を務めていたことから、サーカス団に帯同していたとのことだ。稲泉はたまたま再会した当時の知り合いの元団員から、サーカス時代の思い出をヒアリングしていく。

サーカス団の中での共同生活や入団するまでの経緯、退団した後の苦労などが生々しく描かれる。サーカス団の団員の子供は年に何度も転校するようで、それはそれで大変なことだったに違いない。そう言えば、自分の通っていた小学校にもサーカス団の子供が転校して来たような記憶がある。県営体育館の近くで公演していたならあり得る話で記憶違いではないだろう。

なかなか面白いテーマのノンフィクションを書き上げたものだ。サーカスには昭和の時代を象徴するような懐かしさがある。

本体価格920円
★★★★

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2026年03月27日

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