あらすじ
物語管理官の少女は、「王子」と呼ばれる少年とともに、物語の世界を救うために立ち上がった――。“世界”の謎を解き、命を与えられた意味を知ったとき、ふわりと心がほどけ、温かな涙があふれる傑作! 読者から募集した物語をカンザキイオリが楽曲化。バーチャルシンガー・花譜が歌う『それを世界と言うんだね』を、綾崎隼がノベライズ。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で総作画監督を務めた錦織敦史の装画で刊行!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「物語で不幸になった登場人物を救う」という設定が魅力的で読み始めた。不幸や悲劇があるからこそ、物語に奥行きが生まれて読者の心を動かす要素となることは自明のことであるが、その上で「マッチ売りの少女」や「裸の王様」などの有名作品をどう救っていくのか大変興味深かった。物語の大筋は変更しない、などある程度のルールが決められている中でも、やはり無理やりハッピーエンドに持ち込む展開は綺麗事感が拭えず刺さらないなというのが正直な感想だった。だが後半で、この作品の本質の面白さはそこではないことに気付き綾崎隼さんの世界に引き込まれた。物語管理官の王子が作者であることを理解した上で考えると、作者は自分の不幸な境遇や悲劇体験での辛さを物語として形に表したが、物語管理官として不幸に立たされるキャラクター達を救いたいと願った、そしてキャラクター達自身も作者の根本的な部分にある辛さや孤独を救いたいと願った、この思いやりの連鎖が素敵で、物語というものは読者だけでなく作者までも救う力があることをこの作品が象徴していて、この世界に物語がずっと存在していてほしいなと思った。