あらすじ
物理学や工学を志す人の最難関である量子力学を納得させる。量子力学は現代物理の基本中の基本であるが、根本を理解することは一筋縄ではいかない。数式の背後にある意味を明らかにすることによって、量子力学を納得させる。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
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Posted by ブクログ
数学がダメな私には難しすぎて歯が立たない本でした。前書きでは、数式を抑えて書いてあるということでしたが、いえいえ、数式はたくさん出てきます。とはいえ、量子力学は本質的に物理を数学の側から追求した学問分野であり、これは当然のことなのだ、と改めて思い知った次第。
本書はおそらく理科系大学生向けの教科書を補完する学習本だろうと思います。理科系と言っても理学部物理学科や数学科とか、半導体や化学の物性物理工学とか、もしくは高レベルな大学の理科系の学生向けじゃないかと思います。
内容は、科学者たちが量子力学にたどり着くまでの過程を順番にたどります。その過程とは、ある問題が苦労して一つ答えを出すといくつも疑問が出てくるような展開のため、話題は螺旋のように行ったり来たりします。このように曖昧さを無くすための色々な試行錯誤をきちんと順を追って説明しなければ「なっとく」したことにならないわけですね。
そしてその解決法の詳細は、数学のテクニックのオンパレードでもあり、同じ著者の姉妹書「なっとくする熱力学」や「なっとくする統計力学」、朝永振一郎博士(著者を指導した先生らしい)の著作(どうやら非常に厳密あるいは緻密に正しく量子力学を構築する名著の専門書らしい)に譲ったり、あちらこちらで煩雑を理由に省略されていたりします(一部の証明は巻末に12ページが割かれています)。おそらく「なっとくシリーズ」らしい分量に収める必要もあるのでしょう、省略が多々ありながらも、内容は非常に広くたくさんの過程を説明することになります。
実はわたくし、理科系工学部なので(汗)、量子力学の講義も受けたことがあり、一応のことは大昔に習っていたはずなのですが、たぶん必修科目ではなく当時も理解していなかったはず。まあ、それ以前に大学レベルの数学(何10年も前の)を理解できていないわけですけど。
私の場合、各種の数学の専門用語は(意味はよくわからずとも)言葉としてだけは記憶にはありました。しかしもう本書の数式の理解は諦めて、日本語文章を理解することに努め(ようとし)ました。こうなると、理論物理学者の奮闘の歴史(面白いはず)をたどる一般向け科学啓蒙書のような読み物になってきますが、それでも1ページ読むのに10分ぐらいかかったりと、結局苦行のようでした。
連続量を扱う古典物理学では説明のつかない物理現象が、離散量の量子力学でなら説明がつき、また、ミクロの世界では物質は粒子でもありかつ波でもあり、質量が決められつつもその位置が確率でしか決まらない、方程式は意味不明で不思議だが受け入れるしかない、というようなことが繰り返し述べられます。わたしも、もはや疑うことは諦めて、「なんとなく納得」(インチキな納得)しようと自分に言い聞かせながら読み進めました。
(理解が合っているか分からないが)私が印象に残った部分。
(1) 波動方程式は実体の確かな自然物理の変数や関数というよりも、実体が不確かであっても(そうだったのか!)(複素数まで持ち出して)関数を仮定することで、(やっと)ミクロな世界の現象を記述できる(らしい)こと。
(2) 波動方程式の理論から炭素原子の持つσ結合やπ結合といった分子間引力を説明できる(らしい)と知ったこと。
(3) (やっかいな?)量子世界の偏微分方程式やら積分を、行列(マトリクス)を用いることでより簡潔に(?)処理できる(らしい)こと。
誤解してますか?...(汗)
(星はあくまでも素人の自分にとっての本書の個人評価なので、気にしないように)