あらすじ
居場所は、私たちがどのように生きたいか、その価値基準そのものです。
濱口竜介さん(映画監督)絶賛!
「11人の永い回復。それぞれが生きづらいはずなのに、奇妙な快活さと楽天性が本書を貫いている。一人ひとりの「工夫」、それに対する著者の「リスペクト」が織り合わされ、私たちは生を見つめ直す視点をもらう。あえて言いたい、何と面白いのか!」
摂食障害、ナルコレプシー、ALSなどの障害や病気の当事者。診断がつかない人、治療の道がない人、人種的マイノリティ――
本書に登場する11名は、体に「問題」を抱えながら、日々の工夫の積み重ねで、どのように「体の居場所」をつくってきたのか。
一人ひとりから出てくる言葉は、ときに文学のようにファンタジックで、そこには、その人の何十年分かの人生が結晶のように凝縮されています。それに耳をかたむけ、ともに悩み、混沌とした状況を進む手すりとなるような言葉を探すために伴走する――そうして綴られた、生きるための究極の工夫とは?
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本書に収められた十一の章は、居場所をつくり、整え、試すその繊細な営みをつづったものです。
願わくば、本書が、どんなシビアな意思決定の場面でも、世間のプレッシャーにさらされて硬くならず、のびのびと自分の心地よさに問いかけることができるようになるための、余白をつくる手がかりになるとよいなと思っています。(エピローグより)
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【目次】
プロローグ
第一章 体とまた出会いたい
第二章 脂は敵だから好き
第三章 日常にひそむスイッチ
第四章 帝国主義者のまなざし
第五章 電車の中のチマチョゴリ
第六章 希望と分断のお薬
第七章 グニャグニャでいてやろう
第八章 因果関係の外で
第九章 グレーの中で生きる
第十章 ベールの向こうに
第十一章 自分が花みたい
エピローグ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
靴の中に小石が入ったり
目にまつ毛が入ったりしたら気になって意識がそこに向く
聞きたい音、見たいものだけ見て
他はシャットダウンする
敏感と鈍感
自動的なオンオフ
体ってうまくできてるなと思っていたけれど
「自動的」「程よく」は当たり前のことではなく
簡単にバランスは崩れ得る
途端に体はよそよそしく、不気味な「他者」になる
病を得る
年を取る
とはそう言うことなのだろう
誰もが体と対話をすべき時が来る
距離の取り方
原因の外側を模索する
体は唯一無二で
同じも絶対もない
「寄り添う」ことの難しさも忘れずにいたい
Posted by ブクログ
フィールドワークを徹底的に行うことを通じて、身体をめぐる思考を深く豊かに展開してきた伊藤亜紗の最新作。
期待を裏切らない快著だ。
さまざまな不自由を抱えるインタビュイーの経験の特異性と、彼らの自分の経験への向き合い方の魅力、そして言語化の力に加えて、やはり著者の共感力と分析力の卓越性によって、非常に興味深く読ませる。
特にALSの新井英夫氏と、PAPA症候群という難病(医者の私も知らなかった稀少な病)の今井美佳氏の話には、心打たれた。
全篇を読み終え、あらためてこの本が「体の居場所をつくる」と銘打たれていることに、深い感銘を受ける。
ふだん私たちが自分の体に面と向き合って格闘しなくて済むということ、そもそも自らの体を意識せずに活動できる(自分の体が当たり前に自分の居場所になっている)ということが、どれだけ奇跡的に幸福なことなのかを、あらためて知らされた。
それにしても、ここに登場する人々の、なんと魅力に溢れていることが。
生きている、ということを、あらためて慈しみたくなる本。
Posted by ブクログ
何だろう、単なるポジティブではないし、空元気でもない、どの方も決して余裕があるわけではないと思うのに、それでもユーモアは生まれてくる。
伊藤さんの本を読むといつもあたらしい視点を教えてもらえて元気が出る。
Posted by ブクログ
身体そのものが「外部化」してしまうのは、健常の人たちにも熱が出たりだるかったりした時にしばしば起こることだが、ここに出てくる方たちの状況は、苛烈である。
コロナ後遺症による筋痛性脳脊髄炎の「ともちゃん」が数分のうちに身体がコントロール不能になってしまうさま、壮絶だった。
だが、ここに出てくる人たちはそれを悲観することよりも、因果関係に落とし込まずに「居場所をつくる」。それしかないといえばそうなのかもしれないが、逃れられない現実から得た強靭さに、人間の持つ、うーん、なんと言えばいいか、崇高さ?みたいなものを感じた。
Posted by ブクログ
面白かった。
接触障害から回復した方の話で出てきた、「そこにあるトラブルとどうにか折り合いをつけて生きていくという対処法は、原因があって結果があるから原因を特定して取り除く、という現代的なアプローチの強烈なオルタナティブになる(意訳)」というのがとても印象的だった。
今、常習累犯窃盗のおばあちゃんに話を聞いているけど、自分でも「なんでやってしまうのかわからない」ということについてどうにか原因を特定しようとするのはあまり意味のない作業なのかもしれない。
Posted by ブクログ
体の居場所なんて考えたことがなかったけど、11人のインタビューから「体」との距離感を通して自分を向き合う問いが突きつけられた。苦しさもあるけどなんかとても尊かった
Posted by ブクログ
自分の体に何かしらの不具合を抱えている11人の話。摂食障害、ALS、PEM…色々な人達が登場するけれど、驚いたのは伊藤亜紗さんのインタビューの切り込み方が思いの外、ストレートだったところ。気になったとしても、なんとなく触れにくい事を率直に聞いていて、逆に相手も話しやすくなるのかもと思った。
自分の体でありながら、自由にならない体。この不自由さを様々な工夫や気持ちの持ちようで、なんとかしている。皆さん、明るさが感じられるところもあったりして、ただただすごいなと思ってしまった。
自分で自分の体の居場所をつくる。健康であることに感謝しつつ、不具合があるところも折り合いをつけて付き合っていく。状況に関わらず、自分の心地よさを探していくことは大事だなと感じた。
Posted by ブクログ
身体が自分の一部と考えられないような、様々な状況にいる方々への取材を通して、身体と意識の関係を描いていく。とても大変な中身でありながら、読みやすかったのは文章のうまさゆえか。一方、弱っている時に読むともっていかれそうなくらい、描写はうまい。心身元気な時に読むのが良いかも。
改めて無意識にしている呼吸、空腹感、思い通り動いてくれる身体に感謝。
Posted by ブクログ
自分の体と心のずれ。それは症状であるとともに対処なのかもしれない。誰しも孤独で、思うように共感されうることはない。どう折合いをつけて居場所を見つけていくか、11人それぞれの向き合い方が自分へのヒントになるかも。