あらすじ
町の腐敗に挑む女性刑事を描く社会派ミステリ
米西部の町で移民の少女が殺された。地元企業や教会、保安官すら刑事の捜査を妨害する中、事件の裏には戦慄の事実が潜んでいた。
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Posted by ブクログ
オースマ・ゼハナト・カーン『黒い滝 上』ハヤカワ文庫。
面白そうなタイトルに惹かれたのだが、原題の『BLACKWATER FALLS』の直訳であることには驚いた。地名なのだから固有名詞と同じで、訳す意味のはおかしいように思うのだ。この事実に気付いた時点で、ハズしたなという諦めの気持ちが頭を過ぎる。
腐敗した町にイスラム教徒の女性刑事が立ち向かう社会問題を痛烈に描いた警察小説という触れ込みである。
これまでの国の繁栄を多くの移民や奴隷として連れて来られた黒人に支えられて来たアメリカは、大統領がトランプに変わってから手のひらを返すように移民に対する対応を変えてしまった。このことが国家の分断を生み、その怒りを外に向けるためかのようにロシアによるウクライナ侵攻に口を出し、イランに対してはイスラエルと組んで、軍事攻撃まで仕掛け、世界を混乱の渦に巻き込んでいる。
本作は、そんなマイノリティのコミュニティを舞台にそこで起きた少女の殺人事件を描いている。
著者自身も人種的なマイノリティのためなのか、マイノリティのコミュニティの話題ばかりで、なかなかストーリーは進まない。
コロラド州の田舎町の特殊なコミュニティでイスラム教徒で移民少女のラザン・エルカデルが殺害され、モスクの扉に磔にされた状態で発見される。少女と同じイスラム教徒のイナヤ・ラフマーン刑事は難民への迫害の末に起きた事件だと直感する。捜査を始めるが、白人至上主義のアディソン・グラント保安官に事件から手を引けと脅される。
さらにはキリスト教会が抱えるバイカー集団に襲われ、応戦したイリヤは首謀者を逮捕するが、その裏にはさらなる闇が潜んでいた。
本体価格1,640円
★★★