あらすじ
魔都シカモア。吸血鬼や人狼が跋扈する魔界〈ブラックランド〉への出入り口(ポータル)が出現する町。巷では連続惨殺事件が発生し、血塗れの現場から遺体が消えた。「夫の遺体を探してほしい」依頼を受けた探偵フィリックスは、勝気な女性司書を相棒に、まさかのブラックランドへ足を踏み入れる羽目に……。様々な要素を丸呑みにし、フーダニットとしても完成された最先端特殊設定ミステリーの誕生!(解説・阿津川辰海)
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Posted by ブクログ
どういうジャンルとして位置付けたらいいか難しい作品だった。
ミステリーとして評価するならかなり物足りない。なぜなら世界設定がふわふわしていて、読者側に謎解きをするだけの材料が揃っていないから。しかし最後まで読むとなるほどミステリーではあるとも思える。
SFとしても中途半端で、《ブラックランド》という異世界の存在がそこまで干渉してくるわけでもない。ただ確実に物語の背景として存在している。個人的にはもっとモンスターや異世界で大活劇を繰り広げてくれた方が面白かったけれど、作者はあくまでハードボイルド調の探偵ものにしたかったんだろうと思う。
巻末の解説で阿津川辰海さんが「怪奇幻想ミステリ」と書いており、ジャンル分けするなら確かにそういう名前なんだろうと思う。
ただ探偵であるフィリップ自体にも、《ブラックランド》という設定にもまだまだ謎が多く、おそらくこの一作だけで完結している話ではないんだろうということは感じた。作者のこだわりの範疇なので(そして出版されるかは謎)、一作の中で消化しきれてないという意味では好き嫌いが分かれそう。
しかし《ブラックランド》シリーズの一作目として読むなら、また続きを読んでみたいと思える作品だった。