【感想・ネタバレ】複数の日本語 方言からはじめる言語学のレビュー

あらすじ

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津軽弁もウチナーグチも……方言は標準語よりも「世界標準」だった!?
「落ち葉が散りよる」と「散っとる」の違い? 「おかあさん干してある」ってどういうこと?
日本語はこんなに面白い!

世界の中の日本語を考えるとき、その「日本語」とは、いったいどこの言葉なのでしょうか?
北は青森県から南は沖縄県、さらにブラジルの日系人社会まで、各地で使われている方言の豊かな表現をとりあげ、さらに世界の言語との比較をすることで、日本語の多様性を発見する旅へと誘います。
その道のりでは、均一で単一な「標準語」だけが日本語なのでは決してないことが発見され、さらには、各地の方言が世界の言語と共通する普遍的なあり方をしていることさえも明らかになるでしょう。
世界の言語学の現場で研究が進展している言語類型論の手法を用いて、世界各国の言語と方言・標準語を自在に横断する、刺激的な日本語論です。


【本書の内容】
1.「あっこに花子ちゃんがいてる」―存在をいかに言い表すか
2.「桜の花が散りよる/散っとる」―標準語は世界標準じゃない!
3.「落ちよった!」―目撃者の文法・エヴィデンシャリティー
4.「生ちゅとーてーさやー」―テンスが伝えるのは時間だけじゃない
5.「花子、美人でら」―美しいのは今日だけ?現象と本質の違い
6.「おかあさん、干してある」―「シテアル」にひそむ地域差
7.「花子、元気ない」は「花子は元気だ」?―ふらふらする形容詞と形容動詞
8.「全部食べれれんかった」―可能をいかに言い表すか
9.「ねえ花子、明日学校来る↓」―質問が尻上がりイントネーションとは限らない
10.「みんなでシュラスカリア、アジューダしよる」―言語接触と日本語

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Posted by ブクログ

桜の花が散っている。
ーこの文を見て、あなたの頭にはどちらの絵が先に浮かんだだろうか。
(1)桜の花びらが既に地面に到着して地表にある状態
(2)桜の花びらが枝から地面に向かってはらはらと動いている状態

以上は、第2章からの引用です。
(1):結果も(2):進行も、「~している」といいう表現になることからくる現象ですね。
普段何気なく使っている日本語ですが、こんな不自由さが潜んでいたことに目から鱗でした。
(1)と(2)とを言い分けたいときは、それこそ(1)や(2)のように語を増やして言い換えればいいわけですから、母語文法の窮屈さは外国語のそれよりも気づきにくいかもしれません。

ただし、本書の面白いところはここからです。
窮屈なのは標準語の方であって、宇和島方言では(1)と(2)とを簡単に言い分ける、ということを紹介が続きます。
(1)道路に木が倒れとる(結果)
(2)道路に木が倒れよる(進行)

同じ日本語なのに、一部文法が違うものがあるというのは楽しいです。
方言というと単語の違いやアクセントの違いが目立ちますが、文法の違いというのは読んだことがありませんでした。

標準語で驚いて、方言でまた驚く。1冊で2つの味が楽しめます。

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2022年07月09日

Posted by ブクログ

日本語の方言(琉球語を含む)からエヴィデンシャリティーやミラティヴィティーといった、文法研究の比較的新しいトピックに迫る。一般向けに噛み砕いて書かれているので、専門知識がない人も読めるはず。

0
2018年08月24日

Posted by ブクログ

日本語『標準語』の文法と、青森~沖縄の方言文法とを比較し、
『標準語』の文法が実は整っていないことや、
方言文法の方がグローバルに視て標準的(なこともある)ということ述べる。

宇和島方言における進行相「ヨル」や、
ウチナーヤマトゥグチでエヴィデンシャリティーを表す「ヨル」に詳しく、
「トル」と「ヨル」について卒論を書く際、非常にお世話になった。

ただ、動作/変化動詞を分類する際、「開く」に読み仮名が要ると思う。

0
2017年08月28日

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