あらすじ
古い文と書いて、「古文」。平安時代と江戸時代では、数百年を隔てているのに、なぜ『源氏物語』と『奥の細道』は同じ文法で読めるのか。また、昔の中国の文章である「漢文」。なぜレ点などの印までつけて、「中国語」を「日本語」で読もうとするのか。「そういうものだ」と思って学んできた「古文・漢文」という教科は、たびたび要不要の議論の的となるが、それぞれの主張の前提が一致していない。そもそも古文とは何か。漢文とは何か。書き言葉の日本語史を精緻に解き明かし、議論の基礎を供する。
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Posted by ブクログ
田中草大「古文と漢文」(ちくま新書)
古文は単に古い文章ではなく、平安・鎌倉期に確立した古典文法に則った文章だという。室町時代、江戸時代の文章も古典文法に則っている限りは古文である。一方で狂言などに保存されている室町の話し言葉、キリシタン版文書にある戦国の話し言葉、江戸の戯作の会話文などは古文ではなく、遥かに現代文に近い。
漢文は中国古典を日本語で読もうとして訓読したことから始まり、その訓読の文章が古文にも大きな影響を与えた。また江戸期の候文は漢文の知識が無くても公式的な文章を書くための発明だという。
日本語の書き言葉と話し言葉がそれぞれどのように変遷してきたのかが多くの例文で示され、興味深い。
Posted by ブクログ
良い。速く読んでも今までなんとなく分かっていたことが整理され、ゆっくり読めば知らないこと例えば訓読は日本以外でも行われたことを知ることができる。
1箇所、詠嘆のナリのところが勉強不足でよくわからなかったので後で読み返そう。
Posted by ブクログ
国語の先生が、当たり前ではないかと切り捨ててしまうかもしれないけど、内心うまくは説明できないなぁというところを、非常に端正にしかも深く説明してくれる。
古文教材というのは、古典文法に則った書き言葉で書かれた文章だというのは、本当に分かりやすい説明だ。
Posted by ブクログ
はじめに各章の概観を示した上で、章と節をきちっと分け、例文はふたつ以上、章のまとめまで。
本論の前後に見取り図をしっかり示してくれるのだが、親切心というより、書き手のキッチリした人格がにじみ出ているかのようで、全然関係ないが大西巨人を思い出した。
話し言葉と書き言葉は不一致だったが、言文一致(文語文の口語化)、特に文芸において、というのが序盤。
中盤は、古文の一部としての漢文訓読。
終盤はその他という感じ。
古文漢文の要不要論の前提のための本。
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内容紹介
学校では教わらない古典学習の「入門」
・いつからいつまでが「古」文?
・なぜ源氏も論語も舞姫も一種類の文法で読めるの?
・なぜ「レ点」を使って中国語を読むの?
古い文と書いて、「古文」。平安時代と江戸時代では、数百年を隔てているのに、なぜ『源氏物語』と『奥の細道』は同じ文法で読めるのか。
また、昔の中国の文章である「漢文」。なぜレ点などの印までつけて、「中国語」を「日本語」で読もうとするのか。
「そういうものだ」と思って学んできた「古文・漢文」という教科は、たびたび要不要の議論の的となるが、それぞれの主張の前提が一致していない。
そもそも古文とは何か。漢文とは何か。書き言葉の日本語史を精緻に解き明かし、議論の基礎を供する。
目次
はじめに――本書の目的・構成・特色
第一章 古文とは何か(1) 話し言葉と書き言葉
第1節 教科書から見る古文の範囲
第2節 「古文」ではない「古い」文章
第3節 話し言葉史と書き言葉史
第4節 古文の用途と範囲
第5節 本章のまとめ
コラム 書写による古典の伝来
第二章 古文とは何か(2) 変わっていく古文
第1節 古文の変化
第2節 古文の衰滅
第3節 現代の古文
第4節 本章のまとめ
コラム 不遇なる現代の古文学習者
第三章 漢文とは何か(1) 訓読という方法
第1節 なぜ漢文が国語なのか
第2節 漢文訓読の方法と実態
第3節 漢文訓読が日本語に与えた影響
第4節 日本漢文と訓読
第5節 本章のまとめ
コラム 文言文と白話文
第四章 漢文とは何か(2) 変わっていく漢文
第1節 漢文の訓み方の変化
第2節 漢文の書き方の変化①――候文
第3節 漢文の書き方の変化②――仮名交じり文への遷移
第4節 本章のまとめ
コラム 訓読の弱点と「復文」
第五章 古文のことば・漢文のことば
第1節 和文と漢文訓読文
第2節 和漢混淆文
第3節 散文と和歌
第4節 奈良時代の古文
第六章 歴史的仮名遣いとは何か
第1節 仮名遣いとは何か
第2節 いろは歌
第3節 歴史的仮名遣いの方針
第4節 歴史的仮名遣い以外の《歴史的》な仮名遣い
第5節 現代仮名遣いとは何か
コラム 点字仮名遣い――「現代仮名遣い」以外の現代の仮名遣い
あとがき