あらすじ
深井龍之介氏、推薦&特別解説!
時間がない、停滞してはいけない、もっと稼がなきゃ、数字は絶対、羨ましいと思われたい……ビジネスパーソンの「しんどさ」は、資本主義でできている。
では、その資本主義は、どのように生まれたのか?
再生回数1億回超の超人気ポッドキャスト「COTEN RADIO」歴史調査メンバーが、圧倒的なリサーチ力で、資本主義の「どうしてこうなった?」を探り、適切な距離感を提案する。
先行き不明な時代で、振り回されずに生きる指針が見つかる!
【第1部 追手】
1章:時間 なぜいつも時間に追われているのか?
2章:成長 なぜ休日も心が休まらないのか?
3章:数字 なぜ「数字の支配」から逃れられないのか?
4章:労働 なぜ働くことは辛いのか?
5章:お金 なぜ人を年収で評価してしまうのか?
6章:消費 なぜ「つい買ってしまう」のか?
【第2部 構造】
7章:「6人の追手」と資本主義の関係
8章:分業 得意を活かせば世界はよくなる
9章:市場 自由な市場がこじ開ける人間の欲望
10章:商品 お金が世界の頂点に君臨する理由
11章:資本 労働者の生き血をすするのは誰か?
12章:イノベーション 資本主義はラットレースのように
13章:金融 「カネがカネを呼ぶ世界」は幸せか?
14章:欲望拡張原理 資本主義の原動力
【第3部 距離感】
15章:資本主義との適切な距離感
16章:「追手」との距離感を調整する
17章:時間はかかるが、変えられる
◆深井龍之介氏(株式会社COTEN代表取締役)特別解説
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Posted by ブクログ
「成長しないと社会に置いていかれる」「成長しなければ価値がない」──。
そんな漠然とした焦りが常につきまとい、育児中も休日も、仕事が頭から離れない。なぜ自分はこんな状態なのかーーその正体を知りたくて手に取った一冊。
本書では、資本主義の構造がその成り立ちや歴史とともに解き明かされ、「もっと成長しなければ」という焦燥感を生み出す仕組みが見えてくる。
特に印象に残ったのは「成長の呪い」という言葉。名前がついたことで、自分を追い立てていた正体をようやく認識できたような感覚があった。
教育や家庭にまで資本主義のものさしが浸透しているがゆえ、知らず知らずに「成長の呪い」に支配されている。
会社で成果を出すことは、会社員としての価値ではあっても、一人の人間としての価値のすべてではない。
資本主義のものさしから距離を取ってもいい。
足るを知る。
生きるために必要なものが満たされていれば、それ以上の富や成長を追い続けなくてもいい。
資本主義と自身との、適切な距離感を見つめ直せる一冊。
Posted by ブクログ
資本主義を無くすのではなく、距離感を考えるというのは、非常に腑に落ちた。成長や数字が求められる世の中ではあるが、俯瞰して生きていくきっかけになりそうな本だった。
Posted by ブクログ
資本主義への違和感を感じていたところで、本屋で目に留まった本。
COTENに興味を持ち、深井氏と山口周氏の対談本を読んで、対談動画を観た後だったし、これはタイミング良い、と思って購入。
注釈の数が膨大で、この本を書いた労力の割にはすらすら土日で読み通すことができた。資本主義の6つの構成要素について、適切な距離感で付き合えているか、を考えよ、という本書のメッセージは、まさに今自分が資本主義に感じていた違和感にピッタリだった。
違和感をうまく整理いただいた。折に触れて読み返したい。
Posted by ブクログ
何度も、何度も読み返したくなる一冊。
時間に追われ、成長に追われ、お金に追われる——そんな感覚に陥っている人も結構いるんじゃないかな。
本書は、それを資本主義の構造の問題として捉え直してくれる。おかげで、現代を生きる苦しさみたいなものが少し和らいでいく。
かといって資本主義を否定するわけではない。その構造を丁寧に解き明かしたうえで、著者がたどり着いた一つの「資本主義との付き合い方」を提示してくれる。
「距離感」と表現されているそのバランスが僕には心地よかった。
"人間は本来、お金をじゃんじゃん稼げるとか、偏差値が高いとか、SNSでいいねをたくさん集められるとか、そんな単純なモノサシでは測れない存在です。私たちはもっともっと複雑で、めんどくさくて、だからこそ愛おしい生き物なのです。"
ついついお金や成長というモノサシで測ってしまいがちだけど——人間はもっと複雑で、愛おしい存在なんだと、改めて気づかせてくれた一冊です。
Posted by ブクログ
COTENにて歴史調査にかかわる品川皓亮(しながわこうすけ)さんの資本主義に関する著書。
私たちの人生の中に知らず知らずに起きる、時間を無駄にした、成長しなきゃ、数字を追わなきゃ、衝動買いしちゃったなどのプレッシャーと資本主義の関係を解説した良書。
私たちの側に当たり前として存在している資本主義からの影響を認識し、適切な距離感を探ろうと提案します。
【資本主義が生み出した6つの追手】
資本主義社会に生きる上で、6つの追手の歴史的背景とそれを生んだ資本主義の要素を紹介します。
1. 時間と分業
古代は永遠に繰り返される循環的な時間間隔だった。しかし、キリスト教の始まりと終わりの世界観や修道院の旋律的時間(すべての作業に時間が決められている)が誕生した。
フーコーが「監獄の誕生」と表現し、身体では工場労働にふさわしい時間感覚を刻み、精神面では疑うことのない機械のように時間を守る心構えを作り出すと言います。
これらの価値観は、資本主義の求める生産性の拡大の要請の中、分業による生産性の向上が取り入れられたことで大いにブーストされる。18の工程を持つ押しピン製造を1人でやることに対し、分業することで240~4800倍の生産性が生み出されることを紹介。分業は当たり前ですが、ボトルネックを生まない前工程と後工程の時間的連携が重要です。分業は効率性と生産性への侵攻を生み、やがて人々の私生活をも浸食し、時間という追手に変化した。
2.成長とイノベーション
現状維持=悪という価値観が生み出されたのは、近代以降の特徴です。科学革命では、実験と観察による科学が人類の進歩と発展に寄与するとされた。また、過去の積み重ねにより新たな発見が生み出されるとし、啓蒙主義や植民地主義へ発展する。
ヘーゲルは、弁証法による進化論を、ダーウィンは曲解を経て、自然淘汰や適者生存が、資本主義と結びつけられ、生きるために進歩せよという社会的な圧力として追手となる。
これは、資本主義ではイノベーションという形で資本主義を推進させる原動力として、取り入れられる。創造的破壊が、人々を豊かにする一方で、成長の呪いを強化し、成長としての追手に変化した。
3.数字と金融
ガリレオは、宇宙という書物は数字という言語で書かれているといい、ベンサムは幸福の数値化を真剣に模索した。フレデリックテイラーは、工場の科学的管理という概念で、数値化による生産性向上を目指した。
一方で、グッドハートの法則のように、数字の負の側面も示された。
資本主義では商業圏が拡大した中、金融業が発達した。例えば、東インド会社による出資とリターンという関係性だ。また、アメリカによる固定相場制から、変動相場相場への移行は、現物と紐づかない数字だけの世界を作り出した。
全てわかりやすい数字で測らなければならないという追手に変化した。
4.労働と資本
古代文明では、労働は過酷で卑しいモノとされてきた。宗教改革以降、神の国へ近づく尊いものとして扱われる。労働の本来的な辛さと人類が上乗せした期待の間で引き裂かれる。市場の中では、等価交換が基本なので価値は生まれていない。価値が生まれているのは、現場。労働自体も商品で、新しい価値を生み出す唯一無二の存在。資本家に自分の労働力を売り渡し、資本家は付加価値の最大化を目指すため、搾取構造が生まれる。この搾取構造が労働の長時間化や労働の疎外という形で、労働という追手になる。
5.お金と商品
お金を稼ぐことは卑しいとされてきた。マルクスによれば、商品の交換は人間の自然な行為ではなく、資本主義が生み出した特殊な現象。人間は自分たちが必要な使用価値以上の商品を求め、人間が商品を支配するのではなく、商品が人間を支配している物象化が起きている。人のつながりのない社会で交換するため、商品の交換を潤滑にするために、マルチ交換能力を持つお金が生まれる。資本主義における物象化された世界では、人間の上に商品があり、その頂点にお金が君臨する。
6.消費と市場
必要を満たす消費と見せびらかしの消費。他人とは違う差異化のための消費。例えば、推し活はアイドルを応援している自分という記号を買っている。近年SNSにより記号消費がブーストしている。社会的地位、理想の自己像、他者からの証人という記号的意味を求めて、必要以上の商品を買ってしまう。
分業による生産性の向上は市場の拡大を必要とした。フォードは大量生産、低価格化で市場を作り、GMはモデルチェンジやブランドやグレードを導入し、買い替え需要で市場を作り出した。市場は商品の売買の場から、欲望を生み出す場となった。例えば、手術用の消毒液だったリステリンが生み出したのは、うがいよりも口臭という概念であった。
【資本主義を貫く欲望拡張原理】
ここまで、6つの追手と資本主義の構成要素(基本装置:分業、商品、市場、ブースト装置:資本、金融、イノベーション)に貫かれた原則は、欲望拡張原理である。人間の欲望が資本主義を無限に拡張していく原動力となるのと同時に、資本主義が人間の欲望を無限に拡張していくという相互関係。外への拡張として、金を探せ!やコショウを探せ!と、西洋の外へ向かう帝国主義や植民地主義で頂点を迎える。
内への拡張は、差異を生む記号(例えばリステリン)の掘り起こしにより欲望拡張してきた。
【資本主義との適切な距離の取り方】
資本主義は欲望拡張原理に従いわかりやすいものさしを人間社会に埋め込む。
「焚火に近づきすぎれば焼け死に、離れれば凍え死ぬ」
時間に関し、循環的な時間間隔を取り戻したり、時間は消費の対象ではなくその中で生きるものであると認識する。
成長に関し、進歩史観の物語から降りる勇気を持つ。現状維持=悪とみなす思考パターンを疑う。休むことを自己目的化して休む。
数値に関し、数値管理の弊害を理解し、測定執着に陥っていないか点検する。
労働に関し、一生懸命働かないといけないという価値観の内面化に気づく。働く自分と本当の自分というのを切り離す
お金に関し、お金と道徳の綱引きをしてみる。これ以上は余剰という線を引いてみる。欲望を敵とせず観察対象とする。
消費に関し、欲しいという感情の出所を問い直す。楽しむことの強制に気づく。
【感想】
僕たちが日常生活で感じる、休みの日にダラダラしたときの罪悪感(成長、時間)、勤務中に集中してアウトプット最大化しないといけないというプレッシャー(労働)、衝動買いしてしまった靴や洋服に感じる悔恨(消費)、従業員満足度や健康診断の結果など複雑な現象を数値化することでの偽の安心感(数字)などが、資本主義の欲望拡張原理にしたがった各構成要素により、構造的に引き起こされている引き裂かれであることがよくわかった。
構造的な価値観は普遍のモノではなく、自分の人生を豊かにするものもあれば、そうでないものもある。この本を読んで、こういう構造的価値観に従っているけど、本当なんだっけ?と俯瞰して、生活を編みなおすきっかけにできた。
Posted by ブクログ
資本主義の六つの「追手」(時間・成長・数字・労働・お金・消費)という視点が新鮮だった。
その構造を理解した上で、西洋思想を軸に資本主義との付き合い方を見直してゆくというのが本書の概要だ。
文章が読みやすくて著者の謙虚なお人柄もうかがえる大変な良書なのだが、たまに「コレ、チャッピー(AI)に校正させてない?」と思うような言い回しがあったりするのが若干引っかかった。別にAIを否定はしないんですが、なんとなくAIが書いた文章にお金を出すのはモヤっとする…もちろん、私の勘違いだとは思いますが!
Posted by ブクログ
「資本主義が悪い」のではなく、資本主義との距離感をどう設計するか。
そんな視点を与えてくれた一冊だった。
特に印象に残ったのは、「時間は所有するものではなく、その中を生きるもの」という考え方。
現代は、時間を「減っていく残り時間」として捉えがちだけど、本来は季節の移ろいや年中行事のように、循環する時間の中で生きてきた。時間の中を泳ぐように生きる感覚を取り戻すことで、「もっと成果を」という時間の追手から少し自由になれるという考え方が、とても心に残った。
また、「これ以上は余剰。あれば儲けもん」という線引きも印象的だった。
人間のお金に対する欲望には際限がない。だからこそ、自分の中で「十分」を決めることが、お金の不安から距離を置く第一歩になる。まだ自分はその境界には達していない。でも、その境界まで急いで走る必要はなく、そこへ向かうスピードは自分で選べるのだと感じた。
さらに、「暇や退屈こそ最高の贅沢」という言葉にも共感した。
暇を消費で埋めるのではなく、余白そのものを味わう。最近、自分が大切にしている散歩や読書、ドラム、静かな時間とも重なる考え方だった。
最後に一番好きだったのは、
「資本主義のバグになることを楽しもう」
という一文。
資本主義から降りるのではなく、その仕組みを理解した上で、自分の価値観に正直に生きる。その姿勢は、新百姓0号で読んだ「グッドバイ資本主義」とも重なりつつ、自分には「グッドバイ」よりも**"距離感を調整する"**という表現の方がしっくりきた。
そして、自分らしい選択を積み重ねることは、資本主義にとっては「バグ」かもしれない。でも、そのバグこそが、新百姓で語られていたクリエイティビティズムにも通じるのではないかと思った。
「資本主義を否定する」のではなく、「資本主義を理解し、自分との距離感を選ぶ」。
そんな視点を与えてくれた一冊だった。
Posted by ブクログ
とても読みやすい本でした。6つの追手の存在を理解認識したうえで自分なりのそれぞれとの距離感を見つけて生きていく。読み返して自分の中に染み込ませたい一冊です。
Posted by ブクログ
自分が普段から感じている生きづらさ、実はだいたい資本主義社会によるものでは?と思わされる一冊。
本書では資本主義社会に存在する6つの追手、そしてその根本にいる資本主義の6つの構造的特徴について紹介している。そしてそれら6つをパラメータとし、自分がそれら6つと現在どのぐらいの距離感でいるのか、それによって生きづらさを感じているなら距離感を見直す必要がある、という話をしている。
我々が生活する中で、ふと感じる焦りや罪悪感、その出どころについて資本主義の一側面ごとに照らし合わせて解説されている。
そしてそういった感情は、資本主義社会で生きるうえでは大なり小なりついて回る。であれば、構造一つ一つを理解した上で自分なりに距離を取るよう心がけてみる。そうすることで少しでも生きやすくなれば良い。
我々が共存している資本主義というものに補助線を引いて分かりやすくしている。やはりこういう本が好きだ。
自分を生きやすくしてくれるのは自分しかいない。このように感情と社会構造の重なるところに補助線を引き、自分なりの現在位置を見つけ直していきたい。
Posted by ブクログ
資本主義という、現代を生きる私たちの空気ともいえるシステム。
それがあまりにも巨大で、かつあまりにも無自覚に私たちの価値観を規定していることに、息苦しさを覚えることはないだろうか。
株式会社COTENの品川皓亮氏による「資本主義と、生きていく。」は、まさにそんな息苦しさの正体を、歴史というメスで鮮やかに解剖してみせる一冊だ。
ページをめくるたびに資本主義が極めて構造的に整理・分解されていく様は、痛快ですらある。
それはまさに、リスナーの知的好奇心を刺激し続ける「コテンラジオ」の活字版と言える。
本書の特筆すべき点は、資本主義を単なる経済システムとしてではなく、息苦しさを生む6つの「追手」として分解・捉え直していることにある。
例えば、特徴的な2つの追手を挙げてみよう。
第一の追手【時間】
かつて循環していたはずの時間は、アウグスティヌスを経てキリスト教的な直線へと変わり、やがて修道院で磨かれた時間管理システムが、産業革命という名の巨大な工場へと移植された。
私たちが日々感じている「時間に追われる」という感覚は、実は近代化の歴史が生んだ必然だったのだ。
第二の追手【成長】
フランシス・ベーコンが帰納法を提唱し、人類が「未来は変えられる」という傲慢ともいえる希望を手にした時、私たちは終わりのない進歩のレールに乗せられた。
ダーウィンの進化論さえも、生き残るために進歩し続けなければならないという社会ダーウィニズムの圧力として再解釈される。
ガリレオが宇宙を数学で語り、ベンサムが幸福を数値化し、テイラーが生産性を限界まで追求した。
すべてを測定可能にしようとする情熱は、効率化の極致を生んだと同時に、人間をも数値化してしまう弊害を内包している。
一方で、本書は資本主義を断罪したりポスト資本主義を提唱するわけではない。
アダム・スミスの「見えざる手」が描く、利己心が公共の利益へと昇華する美しい真理や、資本の自己増殖メカニズムを鋭く暴き出したマルクスの苦闘、そして資本主義のアクセルとしてのシュンペーター的なイノベーションの力。
それら相反するダイナミズムを、著者は「バランスの原則」に則り、フラットに配置してみせる。
では、私たちはこの巨大なシステムとどう対峙していけばよいのか。著者が提示する「人文知を人生に活かす三つの原則」は、その荒波を泳ぎ切るための羅針盤となるだろう。
1. 個人視点の原則:システムに回収されるのではなく、自分にとっての意味を問い続けること。
2. バランスの原則:成長や効率の論理と、人間本来のあり方との均衡を保つこと。
3. 希望の原則:システムに翻弄される現実を超えて、自らの中にある根源的な希望を見失わないこと。
資本主義とは、人間が手にした知性という剣が、時に自らに向けられてしまう物語なのかもしれない。しかし、その歴史的な成り立ちと構造を理解することで、私たちはこのシステムを「利用」し、より豊かに生きていくための立ち位置を見つけることができるはずだ。
「資本主義と、生きていく。」というタイトルは、まさにこの抗いがたい構造を冷静に見据えた上で、自分自身の人生を自律的に取り戻すための、力強い処方箋なのだと感じた。
Posted by ブクログ
資本主義の生み出す6人の追っ手に追われる現代人。資本主義とうまく距離をとって暮らすために俯瞰するための良書。
単に資本主義を批判するだけでは暮らしていけないが、本書ではゼロかイチではなく、自分の持ちたい距離をとって暮らすべきと示されており現実的。東京は特に資本主義に飲まれている、自分を見つめなおすために定期的に読みたい。
Posted by ブクログ
「資本主義とは何か」を理解したくて、購入。
素人の私でも、資本主義の構造が、割と理解できたように思う。しかも薄いガイドブックのような薄い内容でなく、マルクスの資本論の一部なども、分かりやすくではあるが書かれていて、割と骨太(だけど分かりやすい)本だったと思う。
けどこれも、私が超・素人だからこそ思うことで、もっと学んでいけば、この本に書かれていない論が、わんさかわんさかとあるのだろう。
そのような多数の枝をバッサリ切り落とし、本質となる幹を、具体例などもつけながら、ストーリーに沿って書いてくれているから、骨太な内容なのにスッと入るような印象を持ったのかもしれないな。
内容については、マルクスの資本論のお話が、これまで未知の世界だったので、新鮮で面白かった。
「なんでもかんでもが商品化される世界って、当たり前じゃない」というのは、かなり衝撃だったな。
「なんでもかんでも商品化される」ということは、「お金があれば何でも手に入る」という便利さを備える反面、「お金がないと生きていけない」という不安にもつながっている、と感じた。
この文脈で考えたときに「商品」や「貨幣」とどのように向き合うか、という素材を、この本が提供してくれたような気がする。
資本主義のこと、もっと勉強したいな、と思わせてくれた一冊だ。
Posted by ブクログ
資本主義とは何か、
平易な言葉で解説していく。
アダムスミス、マルクス、シュンペーターなど
様々な偉人の主張をまとめて紹介。
読んでいて、純粋におもしろい。
内容もしっかりまとまっている。
資本主義との距離感を考えさせられる1冊。
Posted by ブクログ
読みやすいのに、内容が濃い本です。注釈がとてもありがたく、面白いです。資本主義に対して否定的な本はたくさん読んできましたが、適切な距離をとるという意味ではコテンラジオ的、メタ認知的な本です。目からウロコが落ちるほどの気づきはありませんが、現代人のモヤモヤの言語化と、それらの多くはすでに学術的にも議論されていることが分かるいい本です。私は同じ悩みを先人たちが同様に持っているととても安心します。この本はそういう先人たちの知恵もたくさん紹介してくれる本です。
Posted by ブクログ
・「しんどさ」の原因の言語化
日常で感じる「時間に追われる」「休日も休まらない」「数字の支配」「年収による人への評価」といった息苦しさを、個人の心の持ちようではなく、現代人の思考に染み込んだ「資本主義」の弊害(6人の追手)として捉える。
・歴史と思想による構造の解明
時間、成長、数字、労働、お金、消費という6つの要素が、なぜ現代において人を追い詰める仕組みになったのかを、歴史的な背景(キリスト教の時間革命、科学革命、宗教改革など)や思想の変遷から紐解く。
・資本主義を否定しないスタンス
資本主義そのものを悪として完全否定したり、極端な隠居・退職を勧めたりするのではなく、システムを客観的に「知る」ことで盲従から抜け出すことを目指す。
・適切な距離感の提案
「測らない勇気を持つ」「偽物の欲求を疑う」「無駄な時間を取り戻す」といったアプローチを通じ、資本主義の構造を理解した上で、それらと適切な距離を取りながら主体的かつ健やかに生きていく実践的な知恵を提示する。
Posted by ブクログ
学びが多く読みやすく、良い本でした。
考えてみると、最近は私も上手く資本主義と距離感を保って生きていけているようになったと思います。
数年前にコテンラジオに出会ったことはそのように相成ったひとつの理由ですね。
本書で印象的だったのは、ヴェブレン(1857-1929)の「見せびらかしの消費」、マルクーゼ(1898-1979)の「偽の欲求」、ボードリヤール(1929-2007)の「記号消費」の3つです。
本来必要のないものを見栄のために消費して見せびらかす、まさに現代的ですが、100年くらい前にはすでに指摘されていたことなわけです。
そう考えると、また違う見え方ができませんかね?
ここが歴史を学ぶ面白いところのひとつだと思います。
Posted by ブクログ
とても大きなテーマを扱いながらも、読んだ人がそれぞれ自分の暮らしに引き寄せて考えられる本でした。
資本主義という社会構造の中で、私たちはどう生きていくのか。
そこに飲み込まれすぎず、かといってすべてを否定するわけでもなく、自分にとって健やかな距離感をどう保てばいいのか。そんな問いを与えてくれる一冊です。
特に印象に残ったのは、現代人が感じている「何かに追われている感覚」が丁寧に言語化されていたことです。
時間に追われる。
成長に追われる。
数字に追われる。
労働に追われる。
お金に追われる。
消費に追われる。
会社員として働いていても、自分で事業をしていても、どこかで「もっとやらなければ」「遅れてはいけない」「取り残されてはいけない」という感覚がある。そうした現代社会の息苦しさを、本書では「6人の追手」として整理しています。
この整理がとてもよくできていて、自分の中にある焦りや不安を、個人の性格や努力不足だけに閉じ込めず、社会の構造から見つめ直すことができます。
アダム・スミスについての話も興味深かったです。
資本主義の出発点にいる人物として語られることの多いスミスですが、もともとは道徳哲学の文脈を持つ人でもありました。市場や分業の仕組みだけでなく、人間の道徳感情や社会性へのまなざしがあったことを知ると、資本主義は最初から単なる欲望の解放装置として構想されたわけではなかったのだと感じます。
ただ、その仕組みが実際に社会へ実装され、さらに科学技術やメディア、エンタメ産業が発達していく中で、資本主義は人間の欲望を加速させる装置にもなっていったのではないか。
たとえば、かつてはその場でしか味わえなかった音楽や演劇のような体験も、記録され、複製され、商品として何度でも消費できるようになりました。そこにYouTubeやSNSのようなメディアが加わることで、欲望や比較はさらに可視化され、増幅されていく。
もちろん、私たちは資本主義の恩恵をたくさん受けて生きています。便利さも、選択肢も、仕事の可能性も、その中にあります。
一方で、生きづらさの原因もまた、同じ構造の中から生まれているのではないか。
この本は、そのことを少し引いた視点から捉え直すための補助線になってくれます。
読後に強く残ったのは、「足るを知る」という感覚でした。
これは単に、物を持たないとか、欲を捨てるという話ではないと思います。
自分にとって何が満たされている状態なのか。
どこまで求めれば十分なのか。
その感覚を、自分の内側で見つめ直すこと。
物質的な欲求に振り回されるのではなく、自分の認知の中で「何を満たしたいのか」を捉え直す。そこに気づけると、資本主義の中にいながらも、少し健やかな距離感で生きていけるのかもしれません。
この本を読んだからといって、明確な答えが出るわけではありません。
でも、自分にとっての「ちょうどいい距離感」を考えるきっかけにはなります。
ビジネスパーソンはもちろん、移住を考えている人、新しい挑戦をしたい人、今の暮らしや働き方を少し変えてみたい人にもおすすめしたい本です。
資本主義の中で生きることを、ただ肯定するのでも否定するのでもなく、いったん立ち止まって見つめ直す。
そんな時間をくれる、素敵な一冊でした。
Posted by ブクログ
人間の欲望と資本主義が互いに拡張させ続け合うという欲望拡張原理が資本主義の中心に存在するのに対し、我々人間はそれ以外にも様々な価値観や信念によって成り立っており、このギャップが資本主義の中で生きる難しさにつながっている、という資本主義の中で何かに迫られる焦燥感を言語化した本。
本の前半を大きく締める資本主義の焦燥感の裏にある「追手」に関する解釈はいわゆる通説や過去の哲学者たちが解き明かしてきた内容の噛み砕きではあるものの、終盤の資本主義の構造的しんどさに対する言語化は面白く読むことができた。
Posted by ブクログ
なぜ働くことは辛いのか、優しく、しかし、論理的に説明してくれる本でした。
会社から成長を求められ続けて、休みの日も専門知識の勉強を強いられる生活を過ごしていたこともありました。過当競争の中で、周りよりも優位な立場に立つには自分の労働力を安売りするしかないとの考えからでした。
しかし、これは資本主義の構造が生み出した追手であり、上手く付き合えば人生を豊かにできるものの、他の大切なものまで削って実現する必要はないものと気づきました。
自分が何をしたくて努力するのか、考え直すきっかけになる本だと思います。
Posted by ブクログ
本書を読み、現代思想に触れて青臭い思想に浸っていた学生時代を思い出した。社会学者や経済思想家のエッセンスを凝縮したダイジェストのような一冊である。形式は論文的だが、いわゆる学術論文ではない。それでいて、注釈に自らの本音をぶつけるスタイルが近年では珍しい。著者と自身の興味が時折リンクし、思わずニヤリとさせられた。
著者は、資本主義を構成する「6つの要素(分業、市場、商品、資本、イノベーション、金融)」に対し、「6人の追手(時間、消費、お金、労働、成長、数字)」を1対1で対応させることで、資本主義の「しんどさ」を明らかにしようとしている。これがかなり大胆な要約であることは、著者自身も十分に理解しているだろう。随所に見られる注釈は、著者の免罪符のようにも映った。
特にシュンペーターの「非連続の革新」という結論には、ある種の希望が持てる。例えば生成AIは、まさに非連続の賜物といえる。何かがブレイクスルーする余地がまだ残されていることに気付かされる。
少し背伸びをして資本主義の本質を考えたいとき、本書を手に取ってみるのも良いだろう。
Posted by ブクログ
資本主義の構造を平坦な言葉で説明し、最後には資本主義との距離の取り方を提案してくれる本。
資本主義の構造や成り立ち、基盤となる思想の話がわかりやすいかったし、面白かった。全体的に読みやすかった。一方で資本主義との距離の取り方をもう少し踏み込んでほしいなという気持ちにはなったが、書いてある通り、時間をかけて探らなくちゃいけない。
直接的な時間感覚・啓蒙思想によって、成長は社会の規範となり、その規範が個人に内面化したという論理が展開されていたが、当たり前だと思っていた事柄に名前がついており、それによって相対化され得るものだったとわかり、目から鱗だった。
もともと、成長志向や多忙を美徳とする精神や比較に疑問を持ってたし、自分の周りも辟易している人が複数いる。そうしたときに、解像度荒くぼんやり資本主義全体のせいにするよりも構造を知って、処方を自己決定する方が健全だと思うが、本書はその手助けになりそう。
末尾の解説で、東洋思想にヒントがあると語られていたので、関心を持った。
Posted by ブクログ
資本主義と適切な距離を置いて、生きていく。
分業→時間 循環的な時間(自然観察から生まれた素朴な直感)を感じて、ひと時を味わい直す余白をもつ
季節の移り変わりや年中行事など、日々繰り返されていることに意識を向けて大切にする
市場→消費 それは本当に自分の欲求かと自分自身に問いかける
暇や退屈こそ最高の贅沢である
商品→お金 もっとお金を手に入れたいが道徳的でありたい
資本→労働 労働の辛さの本質は、構造的なものかもしれない という視点をもつ
イノベーション→成長 ダーウィンが論じた進化論 進化は 進歩や発展ではない
どのような変異が生じるかはランダムであり、どのような性質が有利かは環境によって変わる
進化は条件次第でどのような方向にも進みうる
現状維持:変化の激流の中で必要十分なラインを守り抜いた強さ
金融→数字 あくまでも手段であって、目的ではない
Posted by ブクログ
品川皓亮著『資本主義と、生きていく。~歴史と思想で解き明かす「構造的しんどさ」の正体』のレビューです。
タイトルに期待して購入しましたが、資本主義と生きていく方法については書いていないに等しいです。
『あなたはなぜ焦っているのか 〜資本主義の構造が生み出す追手を解き明かす〜』くらいのタイトルなら納得だったのですが。
資本主義から逃れられないこの社会で生きていくためには、資本主義と適切な距離感を保とう、というのが、この本の回答。なんともあっさりしています。
資本主義以前の世界がどうだったのかを簡単に紹介してくれているので、そこは「距離を取る」「思い込みを取り除く」ための助けになりそうだなと思いました。
また、追われていると感じる原因を6つに分けて、それぞれ自分が心地よいと感じる距離感を見つけよう、というのも、目新しくはないですが、重要な考え方ですね。
自分は成長はしたいけどお金にはこだわりがないな、とか、その逆とか。人によっていろいろありそうです。
Posted by ブクログ
いまさら感がある話題ではあるが、好きなテーマなので読んでみた。問題点のあぶり出しだけに注力しており、追手からの追撃をかわす方法にページを割いていない。肩透かしを食らう。
Posted by ブクログ
もっとお金を稼がないと。もっと効率化しないと。もっと成長しないと、って、良く考えたら何でそうしなければならないのか?何に追われているのか?
現在の資本主義の社会がどのような構造になっているのか、歴史と思想から辿る入門書としても良い一冊。現代人の「しんどさ」を解き明かしています。
資本主義社会に「もやもやっとしたしんどさ」を感じている人には、そのもやもやの正体、何が自分を追い立てているのかに、構造的な視点を提供してくれます。
現在の資本主義社会を俯瞰的に捉えて、メタ認知すること。そして、逃げ出すのは無理でも、自分自身に合った資本主義との距離感を作って付き合っていくのに役立ちそうです。
Posted by ブクログ
自分をしばる追手を知り、少しずつ距離を取っていく。
日々時間、成長、労働などに追われて息苦しい… 本書は資本主義に由来する息苦しさを、6つの追手に分け、それぞれが歴史的にどんな流れを辿り、今に至るか、そしてどんな関わり方で接していけば良いかを述べていく。
バランスを取るということで、労働についてなど、視点が複数出て一読するだけだとややこしいところもあるが、豊富な注釈を絡めつつやさしく解説しようとする姿勢が伝わってきた。 資本主義から完全に離れるというのは無理のあることだし、適切な距離感で関わろうというスタンスも個人的に良いなと思えた。