あらすじ
生まれつき耳が聴こえない捨て子のゲンさんは生きる意味すら知らない物乞い。御家人だったソウさんは、視力を失ったことで妻娘と離別、過去を捨てた按摩。あることをきっかけにともに暮らすことになった二人は、お互いの不自由を補い合いながら日々を過ごしていたが、生活の厳しさは増すばかりだった。そんなある日、思いがけずも女の赤ん坊を拾ったことで二人に生きる歓びが訪れる。赤ん坊を育てながら江戸両国で小さくも味が評判の味噌汁屋を営むこととなった二人だったが、それはさらなる試練の始まりでもあった……厳しい境遇に生きる人々の絶望と希望を、温かくも透徹した眼差しで描き切る傑作時代小説!
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Posted by ブクログ
松下隆一『源さんの味噌汁』ハルキ文庫。
時代人情小説。
松下隆一の小説は『羅生門に啼く』と『侠』の2作ほど読み、なかなか味のある小説の書き手だと思っていた。本作もまた行間からあふれる人情の温かみと世の中の不条理を感じさせる良い小説であった。
人生は山もあれば谷もあり、なかなか報われないことも多い。人間は一時の欲望のために道を踏ま外すことが多いが、勤勉実直、真っ直ぐに生きていれば、必ず幸が訪れるのだ。
生まれつき耳が聴こえず、口もきけない捨て子のゲンさんは生きる意味すら知らない物乞いとして何とか生きていた。かつては名家の御家人で、視力を失ったことから妻子と離別し、過去を捨てて按摩として生計を立てるソウさん。
ひょんなことから溺れそうになったソウさんをゲンさんが助けたことを切っ掛けに2人は一緒に暮らし始めるが、生活の厳しさは増すばかりだった。
ある日、女の赤ん坊を拾ったことで2人に生きる歓びが訪れる。赤ん坊を育てながら江戸両国で小さくも味が評判の味噌汁屋を営むこととなった2人だったが、その赤ん坊を是非養子にと金持ちの商人に連れ去られてしまう。
本体価格860円
★★★★