あらすじ
◎「巻頭特別対談」を新たに収録!
<巻頭特別対談>
郷原信郎×大久保和孝(新日本有限責任監査法人CSR推進部長・公認会計士)
環境変化への不適応が組織の不祥事を招く―九州電力問題から何を学ぶか―
*全柔連問題、プロ野球統一球問題、学校の体罰問題など、最新の組織の不祥事を斬る!
「九電は社会の信頼を完全に失った!」
震災・原発事故から1年、社会環境の激変の中、企業に降りかかる新たなリスク。
不祥事企業が生まれ変わるための「変革のエンジン」・第三者委員会についての大論考。
やらせメール、証拠廃棄、第三者委員会の調査報告書受け入れ拒否・・・間違いだらけの九電の不祥事対応は、震災後の環境変化に適応できない企業の在り方を浮かび上がらせた。
九電問題の第三者委員会委員長を務め、“九電社長・会長の暴走”を社会に訴え続けたコンプライアンスの第一人者、注目の書き下ろし。
◎「奇跡の本」
通常は、守秘義務の壁に守られ、秘密のベールに包まれる不祥事ガバナンスの現場、第三者委員会の内幕。
著書に言わせると、本書は、まさに「奇跡の本」。
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Posted by ブクログ
九州電力「やらせメール」問題の深層という副題が示すとおり、九州電力の玄海原子力発電所の運転再開をめぐるメール問題などを調査した第三者委員会委員長が書き綴った詳細な調査にかかわる人間模様である。
また、最近の組織の不祥事で設置された第三者委員会と九州電力との対比も書かれている。
あとがきでは、検察という組織が「組織としての一体性」が崩壊し、統制が働かなくなっているとの指摘もある。
人間社会は、多様なステークホルダーの調和により成り立っている。
なかんずく、公益という価値に携わる組織においては、高邁な理念哲学を保有するトップの存在が重要である。
プリンシプル、プリミティブな正義感、ノブレスオブリッジな態度でガバナンスしなくてはならない。
その態度を見て、組織員全体のモラルが保たれ、外部のステークホルダーにもいい影響を与えられるというものだ。
しかしながら、人間というものは、ふとしたことがきっかけで不祥事を起こしてしまうものであり、そういうことも惹起してしまうという前提で、色んな制度設計をしていかなければならない。
第三者委員会の適切な運営をできる資質を備えた人材の育成・確保も人間社会にとって大切なことである。