あらすじ
旧友のカリーナから「あなたにしかできない」と頼まれて、コインロッカーにスーツケースを取りに行ったニーナ。そこに入っていたのは、素裸の3歳くらいの男の子だった。ニーナは、コインロッカーで今しがた自分が開けたドアを蹴り飛ばして怒る男を目撃する。そしてその男もニーナを見た――。とにかく、この幼い子を守るしかない。ニューヨークタイムズベストセラーをはじめ、世界で絶賛された北欧ミステリー。(講談社文庫)
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デンマークとリトアニアを舞台に展開するスリリングな物語である…「知られざる不幸な境涯」が実は密かに多々存在していて、それに気付いて「何とかしてみたい…」という正義感を持っている女性が、期せずして恐るべき事態に巻き込まれてしまう…勿論、本作はフィクションだが…「全くの絵空事」ではない、「迫るモノ」が在る…
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スティーグ・ラーソンの「ミレニアム」と賞レースを争ったというデンマーク作家二人による共作ミステリ。
友人から頼まれてコインロッカーから取り出したスーツケースに収められていたのは、全裸の少年だった。誰が、何のために?
物語は複数の主要な登場人物の視点に切り替わりながら進んで行く群像劇となっており、読者はある意味神の視点で物語を読むことができる。その意味で、少年が誰なのか、黒幕が誰なのかは比較的早い段階で想像でき、また明かされて行く。一方でなぜ?という命題は物語終盤まで明かされず、群像劇にもかかわらず、良質なホワイダニットのミステリとしてまとめられており、ミレニアムと賞レースを争ったというのも頷ける。
登場人物はいずれも精神的に問題を抱えていて、現代社会の暗部にも触れているあたりはいわゆる社会派ミステリとしての側面も併せ持ち、物語の説得性を高めている。
ミレニアムと比較すれば、テンポは圧倒的にこちらの方が良いが、面白さではミレニアムに軍配が上がるか。とはいえ、かなりレベルの高い勝負ではあるのだが。
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デンマークの作家「レナ・コバブール」と「アニタ・フリース」の共著の長篇ミステリ作品『スーツケースの中の少年(原題:DRENGEN I KUFFERTEN、英題:The Boy in the Suitcase)』を読みました。
『キリング』に続きデンマーク発の北欧ミステリです。
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昔からの友人の「カリーナ」から「あなたにしかできない」と頼まれて、コインロッカーに預けられたスーツケースを取りに行った「ニーナ」。
「ニーナ」はクリニックに勤め、DVなどから逃げる人々や依存症に苦しむ人々を助ける仕事をしている。
やけに重いそのスーツケースに入っていたのは、素裸の男の子だった。
生きていることを確認し、話しかけてみるも、どうやら母国語が異なるらしい。
この子に母親はいるのか?
なぜ裸でいたのか?
なぜスーツケースにいれられていたのか?
そもそもこの子は一体誰なのか?
「ニーナ」は、コインロッカーで今しがた自分があけたドアを蹴り飛ばして怒る男を目撃する。
そしてその男も「ニーナ」を見た――。
とにかく、守るしかない。
ヨーロッパのさまざまな場所をまたぎ、デビュー作で世界中から喝采を受けている本作がいよいよ日本語翻訳版刊行。
世界各地で絶賛!
『ミレニアム』に続き世界を驚愕させた北欧ミステリ作家登場!
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タイトル通りですが… スーツケースの中から少年が発見されるという意外性のある事件で幕を開け、その少年を預かったことにより看護師の「ニーナ・ボーウ」は事件に巻き込まれ、物語の舞台はリトアニアとデンマークを行きつ戻りつしながら、徐々に事件の背景が明らかになり、中盤~終盤は複数の女性たちが少年の命を護るために危険を顧みずに奮闘する、、、
そして、事件が解決したと思えば、別な事件が… という、続篇を読みたくなるような幕切れでしたね。
中盤以降の怒涛の展開は一気に読めました、、、
そして、盛り上がりつつも、哀しいクライマックス… 愉しく読めました。
コペンハーゲンの赤十字センターに置かれた保護施設「エレンズ・ハウス」で働く看護師「ニーナ」は、ある日、疎遠となっていた旧友「カリーナ」から突然の連絡があり「あなたにしかできない」と頼み込まれ、事情もわからないままに駅のコインロッカーに預けられたスーツケースを取りにいく、、、
取り出したスーツケースが、あまりに重いことが気になった「ニーナ」は、人通りが途絶えた場所でスーツケースを開けてみた… そこに入っていたのは全裸の少年だった、、、
そして、コインロッカーで騒ぎが起こり、激怒した大男がスーツケースの入っていたロッカーを蹴りつけているのを見た「ニーナ」は、危険を察知し、少年を車に乗せその場を後にする。
その少し前、リトアニアのヴィリニュスでは、シングルマザーの「シギータ」が病院で意識を取り戻す… めったに酒を飲まないのに、血中からは多量のアルコールが検出され、一切の記憶がない、、、
さらに3歳の息子「ミカス」がいなくなっていることに気づく… そして、最近、息子につきまとっていた見知らぬ女のことを思い出す。
隣人「マゼキエネ夫人」の証言から、別居中の夫「ダリウス」が連れ去ったのかと思われたが、「ダリウス」は「ミカス」の行方など知らないと言い張る… 「シギータ」は警察の力を借りつつ、自らも最愛の息子を探すために行動を起こす、、、
一方、デンマークでは、富豪の「ヤン・マルカート」が、妻「アンネ」に気づかれないようにチューリッヒに飛び、そこからコペンハーゲンの銀行に送金し、とんぼ返りしてある取引をしようとしていた… だが、飛行機が予想外に遅れ、他に手がないため住み込みで雇っている看護師の「カーリン」に協力を求める。
信頼する「カーリン」の協力により、取引は無事に成功したと思われたが… リトアニア人「アンドリウス・ユツァス」から「ロッカーに約束のものが入っていない」と連絡を受けた「ヤン」は、自ら立てた計画の狂いに不安をかきたてられた、、、
それぞれの思惑が蠢く中、スーツケースの中の少年「ミカス」の運命は… 「ユツァス」からの追撃を逃れるための手に汗握る逃走劇、そして殺人事件、、、
苦難が「ニーナ」と「ミカス」を襲う… 「ニーナ」は逃走しながら少年の母親を探すことを決意し、リトアニア出身の娼婦「マリア」の助けを借りながら、「ミカス」が誘拐された真相に迫っていく。
そして、「ニーナ」と「ミカス」、「ユツァス」、「シギータ」は、それぞれの目的を達成するため、地元住民から要塞と呼ばれている「ヤン」の豪邸に向かう… 「ヤン」の養子「アレクサンダー」の出自の秘密と健康状態を知ったとき、「ミカス」が誘拐された理由が明確に分かりましたね、、、
「ヤン」の豪邸でのクライマックスは見応えありました… 女(母)は強いなぁ。
次作を読みたくなるようなエンディングなんですが、次作は翻訳されていないようなんですよね… 残念。
以下、主な登場人物です。
「ニーナ・ボーウ」
「エレンズ・ハウス」の看護師
「モーテン・ボーウ」
ニーナの夫
「イーダ」
ニーナの娘、13歳
「アントン」
ニーナの息子、7歳
「ヤン・マルカート」
デンマーク人の富豪
「アンネ・マルカート」
ヤンの妻
「アレクサンダー」
ヤンの息子
「アンドリウス・ユツァス」
リトアニア人
「バルバラ・ウォロンスカ」
ユツァスの9歳年上の恋人
「シギータ・ラモシュキエネ」
リトアニア人のシングルマザー
「ミカス・ラモーシュカ」
シギータの息子、3歳
「ダリウス・ラモーシュカ」
別居中のシギータの夫
「ジョリータ」
シギータの伯母
「アルギリダス・ヤヌセーヴィチュス」
シギータの上司
「ドブロボルスキー」
アルギダスの取引先、地元の大物
「ナターシャ」
「エレンズ・ハウス」の患者、24歳
「リナ」
ナターシャの娘、6歳
「マウヌス」
ニーナの同僚
「アラン」
不法就労者も診療する開業医
「カーリン・コングステッド」
ニーナの15年来の友人
「マゼキエネ夫人」
シギータの隣人
「エヴァルダス・グージャス刑事」
行方不明捜査課の刑事
「ユリア・バロニエネ」
看護師
Posted by ブクログ
なんでかまた、北欧ものを読んでるかな。
なんでかまた、こぶ平のお勧めを読んでるかな。
でも意外と良かった。
闘う女性たちって感じだったし、
あんまりうだうだしないで、話が進んだし。
謎解きはちょっとありきたいな気もしたけど、
看護師ニーナの過去はちょっと切なかった。
Posted by ブクログ
北欧の小説のため登場人物の感覚が少し新鮮で面白かった。ストーリーはそれほど特異なものではなく、オーソドックスだが味付けが変わるとこんなに感じが変わるのかと面白くよめた。ただし登場人物に似たような名前がいくつか出てくるので少し混乱しそうになった。
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デンマーク、看護婦のニーナ、コインロッカーのスーツケースに裸の男の子。謎の大男。息子を誘拐されたシングルマザー。
人身売買、不法移民の少女売春、DV、子供の誘拐、小児性愛、腎臓売買。日本の小説にはあまり見ない状況です。