【感想・ネタバレ】鍵・瘋癲老人日記のレビュー

あらすじ

56歳になる大学教授の夫は体力も性的な欲求もめっきり衰えているが、観念的な欲求は旺盛である。そこで、45歳の妻を奔放な女にして、性の享楽を得たいとの願望を日記に書き、それを入れた引き出しの鍵をわざと落し、妻に読ませる。妻も日記に夫の期待に添う気持のあることを書く。ひそかに見られることを願って綴った互いの日記という形をとった『鍵』の他『瘋癲老人日記』を収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

文学と現代小説の境界線にある本を読んだような気分。

「鍵」
お互いに本当の気持ちを隠した夫婦の日記が交互に綴られてて、下世話だけどドキドキして引き込まれた。
懐疑や嫉妬という負の感情は昔から人の心のエネルギーだったんだな、と思い知らされました。
淡々とした日記の文章の裏に潜む妻の陰湿で獰猛な本性が艶かしくて怖ろしい。

「瘋癲老人日記」
「痴人の愛」の主人公がナオミを思い通りにしようとして敵わず最後は軍門に降ったのに対して、この作品の主人公の老人は最初から息子の嫁・颯子に振り回されるのを喜びと感じちゃってるので、哀れむというよりは「どうしようもないなー」と呆れるような気持ちで楽しく読めた。
谷崎の足フェチを思う存分堪能。

0
2013年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

⚫︎受け取ったメッセージ
表面に見えるものが全てではないどころか、
真逆とも言える場合もある。


⚫︎あらすじ
夫婦の日記が交互に描かれている。
お互いが日記を書いていることに気づいて、読んでいるのか、読んでいないのか…

⚫︎感想(※ネタバレ)
夫婦という、どこにでもいる形態、それも場面は家の中だけという形でミステリアスに描かれた作品。夫の、妻に対する欲望と性癖が中心に話が進んでいく。最初はその描写などに気を持っていかれる。妻の方は、夫を嫌う気持ちと愛する気持ちを日記に書きながら、夫の欲望に上手く付き合っている…ように見えて、後半は衝撃。じつはずっと前から妻は夫の日記を読んでいたことがわかる。妻はずっと夫を欺いており、夫を計画的に不健康にしていったのであった。娘の動きが不可解なのは、描写が過激すぎて書き直したところがあり、それも影響しているかもしれないとのこと。

0
2023年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夫婦が互いの日記を盗み見ていたり、浮気を嗾けてみたり…寝取られるか寝取られないかのスレスレで興奮してみたり、夫に気持ち悪さを感じながらも欲を満たす妻、最後は全てが妻の手の内にあったようで何とも滑稽な感じだった。瘋癲老人日記は息子の嫁に性欲を覚える脚フェチの老人の話で、惚れられてるのをいい事に何百万もする宝石やバッグを買ってもらうし、その代わりに脚を差し出す…なんて、エロジジイが上手く弄ばれている感じが良かった。

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2022年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鍵・瘋癲老人日記
(和書)2010年01月27日 19:30
1968 新潮社 谷崎 潤一郎


随分前に読んだ本で、柄谷行人が「瘋癲老人日記」について触れていて、その時から読んでみようと思っていたのです。

カタカナと言うところが、読めるかどうか心配だったけど、この作品に関しては非常に読み易く良かった。

「鍵」「瘋癲老人日記」のエロティシズムがとてもユニークで面白い作品だった。

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2020年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

エロス・足フェチ・ドMと、谷崎の小説をあまり読んだことがない頃に
抱いていたイメージをそのまんまぎゅぎゅっと濃縮した1冊。
どちらも日記形式のお話。

『鍵』は、はじめはこの旦那さん鬼畜だなぁーと思ってたけど、
終盤はぞっとした。最近よく週刊誌の見出しで「死ぬまでS〇X」なんて
フレーズをよく見るのを思い出して、あれは生涯現役な意味
なんだろうけど、こちらは本当に命をかけて性欲を満たそうと
しちゃうんだからすごい。
敏子と木村も日記を書いていたら、どんな内容なのだろうと
想像が膨らみます。

『瘋癲老人日記』
『鍵』に比べるとこちらの方がちょっと陽気というか、滑稽味がある。
足の形の墓石を作って、死んだ後も踏んでもらおうと企むところが
やはり印象的。自分だったらどんな墓石がいいかななんて
想像してしまいました。

これだけ性癖をさらけ出した内容だと嫌悪感が募りそうなものだけど、
それよりも結末が気になる気持ちの方がずっと強かった。
カナの文章が多くてちょっと怖気付くけど、やはり文章が綺麗なので
濃密な世界をたっぷり堪能できました。

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2014年08月09日

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