あらすじ
1931年9月18日,柳条湖の鉄道爆破をきっかけに勃発した満州事変.事件はいかにして引き起こされ,なぜ連盟脱退にまで至ったのか.関東軍・陸軍中央部・政府指導者などの諸勢力間でどのような力学が働き,外交政策を変容させていったのか.戦争への道を突き進んだ日本の歩みに政治過程論的な分析を加えた記念碑的な著作.著者の第一作でもある.(解説=酒井哲哉)
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Posted by ブクログ
読み切ったが、一度読んだだけで理解出来る情報量ではない
だが満州事変をほとんど知らない状態で読んだことを考えると、かなり分かりやすい内容だと感じた
単純に何が起こったか、というよりも、その時代背景や諸外国の動き、民意、軍隊、政府などが当時どう考えていたかなどが非常に生々しく描かれている
この当時から中央が関東軍を制御できていない点、若者たちの暴走、しかも「具体的な解決策もなく、ただ突っ走るだけ(あいつが悪いと決めて暗殺する)」である。だが、民意はそれを支援していく。今を否定したいがためにやがて軍も当初の思いから変化していく。当初は民主的な内容だったが、帝国主義の勢いは止まらず、戦線は拡大していく。。どこに向かっているかを見通せていたとは思えない
思えば日露戦争では諸外国の駆け引きをしながら進めたが、この満州事変はどちらかというと「追い詰められた状態」からのスタートである。色々と条件が異なるが、それにしても出口がみえない
連盟脱退にしても、脱退を決めたというよりも、脱退になった、という「流れに任せた」感がある。その無責任な対応は、今後日本が「空気」に任せて迷走を続ける、まさにスタートラインだったように思える
Posted by ブクログ
(一読目)
緒方貞子氏の博士論文。
満州事変はなぜ起きたのか、日本国内の政治的対立と、列強諸国および中国との外交関係を論じ、最終的に日本国内での政策決定の権力がどのように移行していったかを論じている。
秀逸なのは、日本金現代史を論じた本にしては極めて党派的偏りが無く整然とした論理構成がなされており、且高度な論述にもかかわらず初学者にも分かりやすく事変の経緯が記述されている点。
これは解説にもあるように、著者が1960年代アメリカで本論を執筆したため、日本の煩わしい党派対立から距離を置くことができ、かつ当時の日本人にとっては当たり前のことも丁寧に記述する必要があったためであろう。
大日本帝国のたどってきた足跡を見る上でとても有用な良書。