あらすじ
幼くして母・常盤御前と別れて鞍馬に入った遮那王(義経)は、やがて平家打倒を志して鞍馬を脱出、奥州平泉の藤原秀衡のもとへ身を寄せる。幾年を経て凛々しい若武者となった義経は、挙兵した兄・源頼朝と黄瀬川で対面。その後は先に上洛した木曽義仲勢を宇治川に破り、一ノ谷の合戦では鵯越えの奇襲で平家を屋島に追い落とした。颯爽たる英雄となった義経が絶世の舞姫・静御前と出会ったのは、一ノ谷の後、京の警備を任されていたときである。静の舞に母の面影を見た義経は、急速に彼女に魅かれていった。だが、兄・頼朝との関係が悪化するなかで、屋島・壇ノ浦と戦勝を重ねながら勘気を蒙り、義経は静を伴っての逃避行を余儀なくされるのだった……。歌舞伎や講談などで広く日本人に知られ、伝説化されてきた二人の悲劇の物語を、生身の男女のドラマとして血肉を通わせて描ききった力作小説。2005年のNHK大河ドラマ「義経」の世界が楽しくわかる本。
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Posted by ブクログ
タイトルから見ると、歴史を無視して女性キャラが出しゃばる小説かな、と危惧してしまうのですが、とても素敵な(でも切ない)読後感です。
リアリズムに走って、義経の伝説をぶっ潰すのが目的みたいな作品も存在しますが、これはとてもバランスがよく、義経のはかなげなイメージを壊さないようにしながら、比較的客観的な視点からの記述がイイです。
司馬遼太郎さんの『義経』も、政治力ゼロの(!)かわいげのある義経でしたが、それよりも柔らかい記述なので、義経入門としてお勧めできると思います。