【感想・ネタバレ】日本ホラー小説史のレビュー

あらすじ

オカルトブームやホラー映画ブームと共鳴しつつ広がったホラー小説の歴史を、江戸川乱歩からモキュメンタリー人気に至るまで追う。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

今、ホラーが熱い!

普段ミステリ畑にいる私でもそう感じています。
雨穴、梨、背筋という3名によって牽引されるモキュメンタリーブーム、リミナルスペース、「恐怖」を体験できる展示などなど。書店でも実に多くの”怖い話”を見かけます。
これらのブームを俯瞰的に捉えたいと思い、ウェブサイト「好書好日」などで連載を持っておられる朝宮運河氏の著作を手に取りました。怒涛の参考文献の量もさることながら、リアルタイムでホラーブームの渦中にいたからこそ書ける熱量の高い文章は、およそ新書とは思えないほど満足感のある内容でした。


とはいえ、私は”怖い話”が苦手です。
が、私が抱いていた苦手意識は『リング』や『呪怨』のようなJホラーに対するもので、そもそも「ホラー」がどれだけ多くの「恐怖」を対象としてきたか……その間口の広さに思わず唸ってしまいました。
また、今では一大ジャンルとして君臨している「ホラー」が、どれほどの先人たちの苦労で確立してきたものなのか。
雑誌や賞を立ち上げても短命に終わってしまう。けれど諦めずにチャレンジしてきた歴史があってこそなのですね。
そこには、「怖いものへの好奇心」というおそらく人間が持つ原始的な欲求と、「こんなに面白いものを世に広めたい」という使命感があったのではと推察します。
それにしても、『トリビアの泉』のパネラーの一人だった荒俣宏さんがこんなにすごい人だったなんて……!
江戸川乱歩に始まる系譜が現代まで脈々と受け継がれているさまに、門外漢の私ですら感慨深いものがありました。

本書は主に戦後からの「ホラー小説史」に重点を置いていますが、隣接するジャンルであるミステリ、SFへの言及も多く、その点でも非常に興味深く読みました。
私は”白装束に黒髪の女”や”顔色の悪い男の子”はダメですが、本書でも何度も名前が出てくる宮部みゆきさんや京極先生、綾辻先生の大ファン。
ということは、これまで「ホラー」というだけで敬遠していた作品群にも惹かれるものがあるのでは……と、おっかなびっくりで手を出してみたくなりましたね。
朝宮氏はブックガイドに特化した著書も出しておられるので、怖がりでも大丈夫そうな一冊からチャレンジしてみたいと思います!(でもきっと『残穢』は読めない……)

0
2026年06月24日

Posted by ブクログ

ホラー小説の歴史をたどる一冊。当時の社会情勢とも紐づいていて、どのように昨今のホラーブームが生まれたか、というのがとてもわかりやすく記されています。もちろんホラーブックガイドとして読める面もありますよ。
読むとますますホラーが好きになって、さらに読みたくなっちゃう一冊。殺伐とした世の中は嫌だけれど、虚構のなかでは楽しいよね。いつまでもホラーが楽しめる世の中であってほしいと感じます。

0
2026年03月15日

Posted by ブクログ

戦後の出発点から令和のブームまでを概説した好著。時代毎の重要作品と人物を軸に周辺ジャンルや変化点も捉えており、非常にためになる。何より著者自身が執筆を楽しんでいる感情が伝わり、熱量と分かりやすさのバランスも秀逸だ。日本ホラー小説愛好家必読の一冊。

0
2026年03月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 日本のホラー小説、その起点を終戦後の1945年、及び江戸川乱歩の評論『怪談入門』と定め、現在のいわゆる"令和のホラーブーム"にまで繋がる歴史を、近縁のジャンル―ミステリ、SF、怪談、さらには昭和中期のUFOや超能力、オカルト等のブームや映画など周辺との関わりも交えて詳説した1冊
 幻想文学、あるいは海外の怪奇幻想、ホラー小説史に併記する形で本邦に於けるそれらの歴史が語られた著書は過去にも少なからずあるが、こと"日本のホラー小説の歴史"として書かれた本は確かに初だと思われる。

 平安朝の頃から長く幽霊や狐狸妖怪、魑魅魍魎が登場する豊穣な"怪談"文芸が存在した日本に、明治期以降海外の怪奇幻想文学が数多く紹介されながらも、その後はミステリやSFの辺縁あるいは亜種として扱われがちであったものが、どのような紆余曲折を経て"ホラー小説"という一つのジャンルとして独立するに至り、さらには他ジャンルや書籍以外のメディアと交差しながら現在の何度目かのブームを迎えているのか―が詳細に綴られている。

 新書という紙数が限られた体裁では言及し切れず、著者が泣く泣くカットした事項も少なくないだろうと察するが、戦後の一文学史、サブカル史の一面を語った一冊としても貴重だと思う。
 ホラー小説に少しでも興味のある読者は必読の書といっても大げさではない―気がする。

 著者の朝宮氏が昨年出版した『現代ホラー小説を知るための100冊』と『怖い話名著88』の2冊と本書、さらに3年前に刊行された風間賢二氏の『ホラー小説大全〈完全版〉』(青土社)があれば、現在の日本における国産/海外のホラー文芸に必要な情報はほぼ得られるのじゃないだろうか。
 これからそこに新たに触れられる読者の方々が羨ましいが、旧い作品がどんどん読み辛くなっている状況を考えると、一概にそうとも言えない……かもしれない。

0
2026年01月30日

Posted by ブクログ

終戦後から現代に至る日本のホラー小説の通史。
約240ページの本文に詰めに詰め込んだという感じの情報量。その密度の高さに驚くがもうちょっとページ数多くても良かったのではないだろうか。全体的に駆け足感があり、もうちょっと詳しくと思う箇所が(特に時代が下り現代に近づくほど)いくつもあった。 新書のため紙幅が限られるというのであれば前半の1945年〜70年代に関する記述は既存の類書に任せて、80年代以降の現代ホラーに絞るという手もあったのではないだろうか。

とわいえそれは自分が古いものに馴染みがあるからそう思うだけで、若い読者にはむしろ80年代以前の情報の方が新鮮なのかもしれないので一概にはいえないか・・・

0
2026年01月23日

Posted by ブクログ

戦前の日本における怪談の扱いにも触れながら、戦後〜現在に至るまでのホラーの変遷を分かりやすく書いてくれている。
ホラーというジャンルがどのように始まったか、このジャンルの隆盛に誰が関わって育ててきたのか、どうしてその時代にそのような形のホラーが流行ったのか、具体的に作家や編者、雑誌、書籍の名前を挙げて解説している。個人的には、ホラーってすごくSFやミステリと近くてジャンル分けが難しいなと感じていたので、なぜそうなっているのか、その辺りを説明してくれていて良かった。
江戸川乱歩がこんなにホラーに力を注いで立役者となっていたのは知らなかったし、気になる作家、作品がたくさん見つかって嬉しい。

0
2026年06月20日

Posted by ブクログ

朝宮運河さんは2025年から2026年序盤に、
「現代ホラー小説を知るための100冊」 (星海社新書) 既読
「怖い話名著88 乱歩、キングからモキュメンタリーまで」 (講談社) 未読
「日本ホラー小説史: 怪談、オカルト、モキュメンタリー」 (平凡社新書) 本書
と立て続けに単著を出しておられている。凄腕。
江戸川乱歩を幕開けと看做して、もちろん前史も抜かりなく、現在までを簡潔に。
素晴らしい見取り図をいただいた。
索引があればなおよかったが。

2026年3月16日の夜時点で、ツイッターの「#1000南無ワニ」は、「ぱぴぷぺぽマンの侵入を防いだ34日後に南無阿弥陀仏と唱えるワニ」。
4月下旬にどうなるのかも楽しみ。



【概要】
モキュメンタリーホラーの人気に代表されるように、今、ホラー小説はかつてない盛り上がりを見せている。日本のホラー小説はいつ生まれ、どのような道のりを経て、この空前のブームへ至ったのだろうか。
本書では、戦後から現在までのおよそ80年にわたるホラー小説の歴史を辿る。江戸川乱歩による「怪談入門」で幕を開けた戦後ホラー小説の歴史は、1960年代の異端文学ブーム、1970年代のオカルトブーム、そして1980年代のホラー映画の人気を受けて発展してきた。1990年代にとうとう文芸の一ジャンルとして確立されると、画期的な作品を次々と生み出しつつ、令和のホラーブームへと至る――。
各時代を彩る300を超える作品を紹介し、ブックガイドとしてもおすすめの一冊。

【「はじめに」より】
本書『日本ホラー小説史』は、令和のホラーブームがどのような状況から生まれ、日本のホラーがどのような発展を遂げてきたかを、戦後の文学作品を中心に記述するホラー入門書である。(中略)今回のブームをきっかけにホラーに関心を持った読者が、日本ホラー小説の歩みを簡単に辿れるようなコンパクトな文学史が、そろそろ必要とされているのではないか。本書はそんな思いから執筆された。

はじめに
序章 日本ホラー小説前史
第1章 ホラー小説の曙 1945~50年代
第2章 高度成長期におけるホラーの展開 1950〜60年代
第3章 幻想と怪奇の時代に 1960~70年代
第4章 ホラー黄金期の到来  1980~90年代
第5章 停滞期から令和のホラーブームへ 2000~20年代
おわりに
関連年表

0
2026年03月16日

Posted by ブクログ

絶好調・朝宮さんの新著。面白いから良いんだけど、基本的には氏の前著とほぼ同様の内容。前はブックガイド、こっちは通史っていう違いはあれど、当然、共通する部分も多いから、未知の内容は少なめ。しかしホラーが熱いんですな。

0
2026年03月02日

Posted by ブクログ

著者の熱量と知識量が物凄く、資料としてとても有用だと思います。
固有名詞のオンパレードなので読むのに時間がかかりました。

0
2026年05月01日

「雑学・エンタメ」ランキング