あらすじ
従来の「進化論」を現実に合わせるための新理論! アリ、アブラムシ、ヒラタアブの幼虫、ヨモギなどは、互いになんらかの役割を担う共生関係を結んでいる。もしこのような共生関係に、自分のすべきことをせず利益だけを受け取る裏切り者が登場すると、共生系は崩壊してしまうのではないか? 従来の「進化論」の枠組みでは解けない難問を、アリの共生関係の研究を行なった進化生物学者が解き明かす。橘玲氏(作家)推薦!「自分勝手な生きものが集まっても共生できるのはなぜ? 画期的なのにわかりやすくて面白い!」 ●ダーウィンが自然選択で説明できなかった生物 ●群れをつくることは「協力」ではない ●進化の単位は「種」ではない ●アブラムシの甘露はアリを攻撃的にする ●なぜ共生関係は滅びないのか――現実の空間構造に基づいた予測
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Posted by ブクログ
「老兵はただ去り行くのみ」と書き捨てて一般書を終えるの、なんかカッコいい。
全体を通して、かなり嫌味な文体だなと思いながら読んだが、書いてある内容は極めて鋭く、特に血縁選択のところは極めて難解な理論が展開されており、私には半分も理解できなかった(働きアリと女王アリが分かれることで、遺伝情報を広めやすい? みたいな考え方らしいが、数学的な根拠が私にはよくわからなかった)。ヨモギヒゲナガアブラムシの箇所は、とても面白かった。
この方は、もう私は研究者やめたんで、ということで自由に書き、八丈島でのんびり暮らしているらしい。しかし、思考のスケールは極めて大きく、社会全体を分析するような実験性、批評性に富んでいる。
利己的な生物がなぜ協力し合えるのか、それはそれぞれの生物がコストを払い利益を受け取って、系が持続しているからという、この発想は素晴らしいと思うが、研究の身からも自由になり、専門知を有しつつも闊達に語る様は、さながら仙人(ヨモギヒゲナガアブラムシの「ひげなが」を彷彿とさせる)のようである(が、本人の写真はひげながではなく、ポニーテールの方が長かった)。色んなものから自由になって、あとは後世に託した、というスタンスがとても良い。