【感想・ネタバレ】慈悲のレビュー

あらすじ

稀代の仏教学者が追究した仏道の根本概念 その出発点にして到達点
他者へのあたたかな共感がここにある

友愛の念「慈」、哀憐の情「悲」。生きとし生けるものの苦しみを自らのものとする仏の心、そして呻きや苦しみを知る者のみが持つあらゆる人々への共感、慈悲。仏教の根本、あるいは仏そのものとされる最重要概念を精緻に分析、釈迦の思惟を探究し、仏教精神の社会的実践の出発点を提示する。仏教の真髄と現代的意義を鮮やかに描いた、仏教学不朽の書。

慈悲の実践はひとが自他不二の方向に向って行為的に動くことのうちに存する。それは個々の場合に自己をすてて他人を生かすことであるといってもよいであろう。(中略)それは個別的な場合に即して実現さるべきものであるが、しかも時間的・空間的限定を超えた永遠の意義をもって来る。それは宗教に基礎づけられた倫理的実践であるということができるであろう。かかる実践は、けだし容易ならぬものであり、凡夫の望み得べくもないことであるかもしれない。しかしいかにたどたどしくとも、光りを求めて微々たる歩みを進めることは、人生に真のよろこびをもたらすものとなるであろう。――<「結語」より>

※本書の原本は、1956年に平楽寺書店より刊行されました。

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Posted by ブクログ

慈悲について、インド、中国、日本の文献を広くひもときながら、その意義をさぐる。なかなかこのような横断的な論は珍しいのではないか。専門書だが、段落が小さく、大変に読みやすい。

愛とは異なる仏教固有の概念・慈悲。

社会、国家事業としての慈悲の発現など興味深い論点であった。

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2022年09月27日

Posted by ブクログ

仏教が説く本質とは何か?
という問いに対して著者は「慈悲」と解説している。
慈・・・喜楽の因果を与える事
悲・・・憂苦の因果を与える事

いわゆる抜苦与楽であるとするが、ではその慈悲というものはどのように捉えられて、各宗派や歴史の中でどのように扱われていたか探求していく本。

とはいえ、一般人の日常生活に即してというよりは専門の仏教学者向けに書いてあるようで、なかなかとっつきにくかった。
また、学術的に扱っている面が大きい分、全体的に客観的であり淡泊な感じがした。

なので、もったいなさも含めて☆4つ。

以下、覚えておきたいなとおもったこと。

・ヨーガ信者では、楽に対しては友情を、苦については同情を、徳に対しては喜びを、悪に関しては平静であることを修する

・自己を護ることが、同時に他人を護る事であるような自己は、もはや互いに相争うような自己ではない。
すなわち、一方の犠牲によって他方が利益を得るというような自己ではない

・自他一如。自他同じく利するなり。
 他人を自己と同一に扱うべし。

・慈悲の観法は瞋恚の人には必要だが、貪愛の強い人にとっては不適切である。
慈しみ人間的な愛情に基づいているが、人間的な愛情は同時に欲情に転嫁する危険をはらんでいる。

・愛と敬とともに行われるのが、よき人のありさまである。

・恋愛は常に憎しみに転じうる可能性をもつ、しかるに慈悲は愛憎の対立を超えた絶対のものである

・慈悲は修行者の本質であり、それさえ失わなければよい。他人からどう思われようと、それは意に介するところではない。

・栄西の実践、自分はたといこの罪によって地獄に落ちても、ただ衆生の飢えを救いたい

・自己が救われるということは、他人を救うという働きのうちにのみある。他人のために奉仕するという事を離れて自己の救いはあり得ない

慈悲の実践は人が自他不二の方向に向かって行為的に動くことのうちに存する。
それは個々の場合に自己を捨てて他人を生かすことであるといってよいだろう。
もしも単に自己を否定するというだけあるならば、それは虚無主義とならざるを得ない。

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2021年05月08日

Posted by ブクログ

◯仏教にかかわらず、慈悲に関する言行や思想を集めたエッセイといった感じ。
◯宗教であれば、それぞれの宗派における根本的な思想があると思えば、そのうちの慈悲という概念を引っ張り出して、著者の定義する慈悲に比定しているようにも感じる。果たしてその慈悲の解釈はそれであっているのかと疑問に思うことも多々あり
◯古今東西の書籍や思想についての博識は流石というか、驚嘆するところであるが、この本自体がどうだったかというと、新しい知識が得られたわけでもなく、どことなく、物足りない気がしてならない。

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2019年11月02日

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