あらすじ
2012年夏、小笠原の海で、10年以上にわたってダイオウイカを追い続けてきた男たちが、奇跡を起こした。誰もなしえなかった撮影を可能にしたのは、いったい何だったのか? プロデューサー、ディレクター、カメラマン、研究者への膨大な取材で明かされる、撮影までの苦難の道のり。 16.8%の高視聴率を記録した「NHKスペシャル 世界初撮影! 深海の超巨大イカ」の公式ドキュメント本。
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Posted by ブクログ
ダイオウイカ撮影プロジェクトのドキュメンタリー。なんとなく明るい話題の本を読みたくなり選んだが、無事目的は果たされた。夢がある明るくて良いお話。時折り差し込まれているクスリとくる表現やエピソードトークが、当事者たちのリアルな感情を表しているようでいい味が出ていたように感じた。
Posted by ブクログ
研究者の立場ではなく、番組制作者の立場でダイオウイカの撮影に成功するまでを綴った本。
なので、ダイオウイカの詳しい生態等が知りたいという人向きではないかと。
放映された番組では、美味しいところだけを1時間程度にぎゅっとまとめているのでわからないが、ダイオウイカを撮影するまでに10年近くを費やし、手探りで試行錯誤を繰り返す姿はぐっとくる。
ダイオウイカはそれだけの情熱を注ぐに値する、魅力あふれる生物であるということなんだと思う。
個人的には、撮影に使用された機材をどうやって開発したのかも気になるところ。
Posted by ブクログ
チェック項目11箇所。ダイオウイカが現れた時間は、わずか23分間、誰も成し得なかったことを、やりとげてしまった23分間、この物語は、その23分間のために10年の歳月と情熱を捧げた人々を負ったものだ。ダイオウイカの映像が放送された後、「世界で初めてダイオウイカを撮影して何の意味があるのですか?」と誰かがテレビで話していた、その通りなのかもしれない、でも、10年の物語は-変わらぬ夢をもち続け、逆境を跳ね返し、時にはばかばかしいほど熱くなる物語は-そこに意味があるということを、きっと教えてくれる。小笠原は世界でもっとも遠い場所なのだ、小笠原は東京都の島だが、東京からは1000kmも離れている、だが、問題は距離ではない、小笠原にはなんと航空便がない、船で行き来する以外に選択肢がないのだ。1998年、マッコウクジラの目の下に、くっきりとした巨大な吸盤の痕を発見したのだ、クジラの黒い皮膚に、丸い模様が点々と筋のように残っている、科学的には、マッコウクジラの胃の内容物がダイオウイカとの対決の決定的な証拠となるが、多くの人にそれをイメージさせるには、マッコウクジラに付いた吸盤痕の映像ほど明快なものはない。ダイオウイカの筋肉のなかには、液胞と呼ばれる、アンモニアを多く含む水の入った微小な袋が、多数分布している、その微小な袋がダイオウイカのグニャグニャとした身体の柔らかさを生み出している、イカ類は、そのままでは身体が海の底へ沈んでしまう、海水より身体の比重の方が大きいのだ、比重の小さいアンモニアを含んだ液胞を身体にもつことで、やっと沈まずに浮力が保たれる。じつは私たちが食用にしているスルメイカなどは、アンモニアを含む液胞をもたない、こうしたイカたちは、とにかく高い遊泳力で、沈むより速く泳ぐことで、生息環境の水深にとどまっている。「タコは8本、イカは10本」とはよく言うが、大人になると自然に2本の触腕が取れてしまう、8本腕のイカもいるのだ。2009年秋、小山と河野は、次こそはなんとか撮影を成功させようと、新しいカメラを開発した、その名も「期待の星・イカメラ4号」だ、期待の星・イカメラ4号は、1日にして、サヨナラとなった。数センチほどのダイオウイカの赤ちゃんは、わずか3年ほどで、10mを超えるまでに成長するという、生物のなかでも驚きの成長速度だ。マッコウクジラは社会性の高い動物で、仲間同士助け合って生きているとされる、捕鯨の時代には、1頭のマッコウクジラを撃つと、撃たれたものの周りを仲間が囲むため、一度に何頭も捕ることができたという、切ない話だ。