あらすじ
カナダの巨匠、14年ぶりの新作にしてブッカー賞最終候補作続篇
1917年、戦場で瀕死の重傷を負ったジョンは記憶の断片にすがりながら生還する。やがて北ヨークシャーへ戻り写真館を再開するが、写した像に亡霊が現れ始め――夢幻的な語りの断片が紡ぎだす四世代にわたる物語。詩的な文体で記憶と愛を描き出す巨匠の最新長篇
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Posted by ブクログ
表紙は雪の中2人の男女が歩いている。よく見えない霧のなかをあてどなく歩くような本だった。命は簡単に失われ、同時にまた新しい命が生まれる。命は個人の意思で生まれず、与えられ、去っていく寂しさがある。抱擁は1人ではできない。寂しさを埋めるために抱きしめ、暖かさを確認するためにきつく抱き合う。昔、小猿の代理母の実験があった。針金の代理母とタオルの代理母が用意された。すると小猿はミルクが出るかどうかに関わらずタオルの代理母にしがみついたという。小猿が求めていたのは、単なるミルクだけではなく、触れられる温かさなのだろう。人間もただ生きるだけではなく、誰かの温かさを感じなければ、生きている実感を持てないのかもしれない。
Posted by ブクログ
アン・マイクルズは「儚い光」でオレンジ賞(女性小説賞)受賞、BBCの〈世界を作った100冊〉にも選出されたカナダの詩人・小説家。
ブッカー賞候補になった「抱擁」は、なんだか詩を読んでいるような清らかな作品だった。翻訳者曰く、彫心鏤骨(チョウシンルコツ)の作であると。
『もし今いっしょにすわってくれたなら、自分はこの人と一生涯テーブルをともにするだろうと感じたことを。』