【感想・ネタバレ】25時のバカンス 市川春子作品集IIのレビュー

あらすじ

海底から月、宇宙へ。生命の彩りはどこまでも。さらりと深い、フシギな3編を収録。●「25時のバカンス」深海生物圏研究室に勤務する乙女(おとめ)は、久しぶりに弟の甲太郎(こうたろう)と再会する。深夜の海辺にて彼女が弟に見せたのは、貝に侵食された自分の姿だった。●「パンドラにて」土星の衛星に立地する「パンドラ女学院」。物言わぬ奇妙な新入生・ロロに気に入られたナナは、幼き日の記憶を思い起こす。●「月の葬式」勉強も親の期待もわかってしまう天才高校生。試験の日に乗る電車を「間違えた」彼は、雪深い北の果てで、ひとりの「王子」と出会う。

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Posted by ブクログ

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「25時のバカンス」美しくて美しくて、市川先生の描く海が本当に好きです。最後に乙女さんが戻ってきてくれてよかった……。眼球を割れた脚から取り出すところで2人とも赤面してるのが可愛くて…
「パンドラにて」最後の展開が置いてけぼりな感じでした。これはまた読み直したいです。役目を終えてもまた次の役目を負う。形を変えて。
「月の葬式」これはまた市川先生らしい、リモコンって月を破壊する装置だったんですね。それを自分から捨てたという。月を破壊する見開きの描写がまた美しい。
市川先生のお話って、場面の切り替わりが、かなりわかりにくいんですよね。セリフも説明的なものではない。そこが、人なのに人じゃない感じのお話でも、自然で好きなんです。

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2023年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前々から読んでみたいと思っていたのですが、宝石の国を買いに行ったら隣にこれと虫と歌が置いてあって、ピーン!ときたこちらを先に購入しました。

ビニールをはがしたら、表紙に透明な浮き出る加工がしてあってとてもきれいでした。うわあ~と声がでました(笑)
カバーを取ると、その加工の模様が描かれていてよくわかります。シャンデリアみたいです。

描き込んである緻密な絵ではないので、ちょっとわかりづらいところも正直あるのですが、もう気にならないくらいすべてがとても素敵で漂う空気がもうたまらないといった感じです。
この世界の空気を吸って生きていたい。
とても詩的で、漫画でこんな風な表現ができるのだと、普段あまり漫画を読まないからかもしれませんが、とても感動しています。
漫画も小説もだいたい一度読むとしばらくいいかな、という感じですが、これは何度も、もう何度も読み返してページをめくって一コマ一コマを丁寧に見てしまいました。
各話の最後のページの裏にちょっとした挿絵が入っているのがかわいい。わたしは「月の葬式」のよみちが小さな男の子に月のぬいぐるみ?を差し出してる絵が好きです。
3話収められていますので、1話ずつ感想を。

「25時のバカンス」
表題作です。全編と後編があり、3話の中でいちばん長いお話です。
宝石の国のふわふわわんこがとっても好きなので、ヒメに寄生した3匹(?)のイソギンチャクちゃんたちもとってもかわいくて好きになりました。
弟くんの目を見た時ドキッとしました。
海で写真を撮ってもらっているシーンのカチッという音、最初読んだときは乙女が煙草の火をつけたのだと思ったのですが、もう一度読んだときにドライバーで顔を外しているのだと気づきました。
登場人物がみんな魅力的で(それは他のお話もいっしょですが)、姉弟がいちばん気に入っていますが、次点で八木くんも高得点です。
弟の目をつくって、最高得点を射止めたまま粉々にされるところまでが乙女の考えだったのかな、と最後の夕陽に照らされるシーンを見て思いました。
あっ今読み返したらヒメに寄生したのはイソギンチャクではなくどうやら貝のようです。

「パンドラにて」
教科書ぐらいでしか読んだことないのですが、星新一みたいなお話です。
ナナが服を脱いで罰(×)をつけられるシーンにドキッとし、切り分けられたイチジクのミルフィーユのようなもの(もしかしたらトリュフかも)の層が気に入ってしまい、見開きのダンスのシーンがとてもきれいで見とれてしまいました。
ロロもといクアドラが飛び降りたあと、ページをめくればナナと再会するか、哀しい顔で去っていくナナを見送っているのだと思ったのに、まさかあんなことになるとは。
「新しい星で新しいダンスパーティーをしましょう」
いつかどこかで使いたいセリフ。

「月の葬式」
3話の中で唯一男性が主人公のお話です。
ボタンがカラーンと落ちた次のページ、服を捲り上げた体を見て何が何だかわからなくなってしばらく混乱しました。この漫画の中で一番ショックでした。
すごくグロテスクで気持ち悪い。でも美しい。見たくないけど見たい。でもそのうち見られなくなりそう。
リモコンを見つけてもう死んでしまったと思ったから、穴だらけになっても生きていてよかった。しかも治せる!ほっとしました。

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2016年01月29日

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ネタバレ

「25時のバカンス」
中身を食べられて貝殻になったお姉ちゃんと片目が赤い弟のお話。
幸せになってくれ。

「パンドラにて」
宇宙にあるお嬢様学校の不良生徒と、無口な新入生とのお話。
ラストがいまいちすっきりしないが、好きな人は好きそう。

「月の葬式」
医者志望だった天才男子高校生と、病気を煩っている月の王子様のお話。
体の皮膚がボタンになっちゃうってかわいいけど、結構グロい病気が印象的。
本当に兄弟ぽい2人が見てて寂しい気持ちになっちゃう。

もー市川さんの作品って本当に人間だけの物語が無いよね(笑)
いつも人間じゃないのが出てくるから面白い。

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2016年01月26日

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ネタバレ

25時のバカンス 市川春子作品集(2)

マッドサイエンティストと言えば服装に無頓着な髪がぼさぼさのおじさんと相場が決まっていますが、市川さんの作品ではスタイリッシュな美男美女のマッドサイエンティストが登場します。
サイエンスと言ってもバイオ系なので、ロートルな竹蔵の印象はあてにならないですが。。
『25時のバカンス』:深海の生物に寄生されたサイエンティストと弟のとの交流と愛情。
『パンドラにて』:土星の衛星に立地する「パンドラ女学院」の不良学生・ナナと奇妙な新入生との交流。
『月の葬式』:天才高校生が雪深い北の果てで、月から来た奇病を持つ男と共同生活。
SF的なガジェットやプロットがまず楽しめます。それから、きれいなラインの絵が素敵です。更に、近親、同姓の愛情も・・・
登場人物の顔が結構似ていて、誰が誰だかわからなくなる(=ストーリーの持つ意味が変わる)ところが玉に瑕です。
第一作の「虫の歌」も併せてどうぞ。お奨めします。

竹蔵

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2025年08月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・市川春子先生の独特な感性に惚れ惚れしたり置いてかれたりする短編集。
・「25時のバカンス」、優秀で和気藹々とした人が集まる理想の研究所だ。臨海観測所でバカンスっていう発想が素敵すぎ。市川春子先生の描くパーティの阿呆みたいな陽気さが好き。割れた太ももから体内に手を突っ込む描写はあまりにも性的ですよ...。
・「パンドラにて」、難解。終盤の展開が理解できない...。
・「月の葬式」、よくこんな設定思いつくな。月の地下は内臓を晒した死体だらけって。地球の葬式の見開きページの静けさが好き。さらっと月が粉々になってる?ので、潮汐が狂って結末の時点の地球はめちゃくちゃですわ。

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2023年10月09日

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