あらすじ
オトコとオンナの関係に人が注ぐエロスのエネルギーこそがモードやファッションを盛り立て、そうした品々の消費が資本主義を牽引してきた。しかし、中世以来のそんなサイクルが今世紀に入り、ついに停止してしまった! 金融危機・経済危機で注目されているのはグローバル経済の変化だが、その背後には、人々の恋愛観、倫理観、人間関係の大変動があると著者は見抜く。時代の映し鏡であるモードを通して、劇的な変化を遂げる社会をリアルにつかむ一冊。【目次】序章 リセッショニスタの復活/第一章 倫理を着こなすリセッショニスタ/第二章 「失わない」ための服装術/第三章 暴走資本主義が愛を蹴散らし、モードを殺す/第四章 現実を超えていくための「マンガ」と「エロい」/第五章 ラグジュアリーと激安品のはざまで/あとがきにかえて
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ファッショントレンドを中世ヨーロッパから現代の原宿まで大きな潮流として紐解きつつ、ブランド論・資本主義と人の欲望の関係性において論じた一冊。
人の欲望が最も衰えにくいとも言われる「ファッション」というジャンルにおいて、”道徳性・ソーシャリズム” ”贅沢性” エロス” ”発信のフラット化”など、世相トレンド分析でよく語られるトピックを分析している書き口は、個人的にはとても新鮮で学びが多かった。
「エシカルラグジュアリー」という単語、まさにいまの世相を象徴するブランドの価値観。あとファストコンテンツ化はファッション界にも等しく押し寄せているんだね。より早く、より得やすく、より簡単になる一方で、マスマーケティングの数の理論の裏側で失われてしまう文化性は必ず存在してしまう。人が元来、本能的に持っているはずである「エロス」と、「資本主義・ビジネス論」が相反する稀有な時代に入っていっているという整理は、いろいろ頭のもやをすっきりさせてくれました。 すらすら読めちゃう良著。