【感想・ネタバレ】トリック・シアターのレビュー

あらすじ

空前の劇場型犯罪が幕を開ける。2010年3月21日未明に、奈良と東京で、女性と男性が殺害された。被疑者は被害女性の夫であり、被害男性の大学時代のサークルの先輩だった。同一人物による500km離れた場所での同時殺人。警察庁「裏店」のキャリア警視正・我孫子弘が捜査の指揮をとると、被疑者の大学時代の映画サークルの仲間4人がこれまで、3月21日に事故・もしくは自殺で死亡していたことが明らかになる。(講談社文庫)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

乱歩賞受賞作の前作は好みだったが、受賞後第一作の本作は完全に外れ。東京と奈良で同日同時刻に起きた殺人事件の容疑者は同一人物という不可解な状況にその関係者である映画同好会のメンバーが年は違うが同じ日に死んでいるという事実は非常に魅力的だが、それを全然生かし切っていない。妙に信長を引き合いに出す冴えない主人公とか奇抜な服装と言動だが頭はキレる元公安の警視正という主要人物は白けるし、映画研究会絡みが現実的なのに対して、背景に見せるテロ組織とか国家機密だとを持ってくるので不安定さを感じてしまう。極めつけはラストの突飛な演出である。不可能犯罪をやりたいのも分かるし、裏側に大きな秘密を持ってきたいのも分かるし、ラストのサプライズを仕込みたいのも分かるが、総じてアンバランスなので、それが魅力ではなく、むしろうわーって感じで引いてしまうのだ。内容は入り組んでいる割に、読みやすさはあるのですいすい進めることができるのが救い。事件を解決に導いた警視正は裏店シリーズとして続いているみたいなので、きっとそちらは面白いのだろう。

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2015年04月23日

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