あらすじ
「わが死の謎を解ける魔術師を呼べ」フランスの古城を移築後、中世の騎士として振舞い始めた江里。750年前の死の真相を探れ、という彼の奇想天外な依頼で古城を訪れた石動戯作(いするぎぎさく)は、殺人事件に遭遇する。嫌疑をかけられた江里が向かった先は……。ミステリの枠に留まらない知的エンタテインメントの傑作! (講談社文庫)
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Posted by ブクログ
これが遺作なのか……。
巻末解説に拠ればバカミスだそうだが、二つの密室殺人のトリックはどちらも脱力もの。ことに現代で起きる秘書殺しのトリックには怒った方がいいのかも知れない。とはいえ、このトリックを成立させうることから逆算した結果、中世の騎士が現代に現れる設定にたどり着いた気もする。でもやっぱりマイケル・ムアコックが先なのかなあ。古城の密室に対する、水城探偵のやっつけ推理にも爆笑。先例について色々言われていますが、そもそも推理の根拠が「天○」なら、成り立たないじゃないか。
Posted by ブクログ
殊能将之の作品は,掛け値なしに面白い。文体も肌に合うが,名探偵役の石動戯作,ワトソン役のアントニオ,鏡の中の日曜日に続いて登場しているもう一人の名探偵,水城優姫。そして,この作品の主人公,エドガー・ランペール。どのキャラクターも個性たっぷりに,生き生きと描かれている。
本格ミステリとして読むと,完全なるバカミス。750年前の密室と,現代の密室,二つの密室の謎が出てくる。現代の密室トリックは,抜け穴があったという信じられないトリック。一応,心理的なトリックは用意されているが,密室を扱った事件で,「抜け穴があった」というトリックの作品を読むことができたのは,逆にラッキーだったと思える。750年前の密室の謎は,被害者が犯人であったというもの。自殺は神に対する背信行為なので,自殺はできない。塔の梁から剣を糸でつるしておき,毎日その下で祈りをささげる。糸が切れて剣が落下したとき,下にいるかもしれないし,いないかもしれない。このような状況で自分自身を殺したというトリック。
750年前の密室の方は,エドガーのキャラクターの魅力も合わせ,なかなか考えさせる。
密室トリックがアレなので,本格ミステリとして読んだ場合は三流だが,エンターテイメントとしては一流。バカミスとして読んでも一流。好みの作風であり,★4をつけたい。
Posted by ブクログ
最後の石動戯作シリーズ
750年前の密室殺人に主人公が挑む。
一見やな奴、でも案外いい奴という憎めないキャラが多かった。本作でも主人公はいいとこなしで終わり、結局「美濃牛」以降まともに名探偵としての役目を果たしていないという…
個人的には中盤の暴力団員達と江里の戦闘が疾走感があって好き。
このシリーズは本当に好きだったので、もう少し読みたかった。
Posted by ブクログ
今度は中世ヨーロッパの騎士が現代に甦り、750年前の死の真相を石動が解き明かす!?本当に色々と楽しませてくれるなぁ。もう何が起きても驚かない自信はあった(耐性は付いた)が、これが名探偵石動の最後の事件かと思うと物足りない。
もっと読みたかった。。。
Posted by ブクログ
殊能先生が亡くなられて、もう1年が経つのですね…。ご逝去の報に接した当時、ハサミ男を是非読もう、と思いながらも時間ばかりが経ってしまった(汗)。そして、何故かハサミ男ではなく、絶筆の作品となってしまった今作から入るという邪道っぷり…←
だって、お城の平面図に…滾ってしまったんだもの…←←
※以下、トリックのネタに触れまくってます(一応伏字)。未読の方はご注意ください。
750年前に殺害された亡霊が、「自分の死の真相を解明してほしい」と依頼する設定や、亡霊の視点から見た現代日本の描写が面白い(笑)。
ぶっちゃけてしまいますと、750年前の殺人事件と現代で起こった殺人事件の謎解きは、呆気に取られるくらい味気ないです。平面図に書かれていない出入り口、っていう設定そのものは綾辻先生の館シリーズで免疫がある私には許容範囲ですよ。それでも、×××はないでしょ、×××は~(笑)。
実際の殺害トリックよりも、やはりミステリスキーの端くれとしては、名探偵イスルギー(笑)が途中でぶっこんできたトンデモトリックが良かったですね~。城がまさかの××しちゃうなんて、盲点でした(笑)。
赤川作品にも、【建物が凶器】っていうトンデモトリックがありましたが、このトリックもそれに類するものですね。こういうネタは、現実性とかどうでもよくなるくらい、「ようやってくれた!その意気やよし!」と嬉しくなってしまうのが常でございます(笑)。
GW中にハサミ男も読めたらいいな~
750年前に密室と化した塔の中で背中を刺され死亡した騎士が、現代の日本に甦った?!「我が死の真相を探る魔術師を呼べ」――そうして呼び出された探偵・石動戯作だったが、事件検証後に関係者の一人が撲殺されてしまう。嫌疑をかけられた騎士の嫌疑を、石動は晴らすことができるのか?