あらすじ
9世紀の天台僧・円載にまつわる唐の秘宝探しと、1つの指紋も残されていない部屋で発見された身元不明死体。無関係に見える2つの事柄の接点とは? 日本シリーズに沸く福岡、その裏で跋扈する2つの力。複雑怪奇な事件の解を、名探偵・石動戯作(いするぎぎさく)は、導き出せるのか? 賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作。(講談社文庫)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
前知識なく読むとまさに壁に叩きつけたくなる気持ちはわかります。私は事前に壁本、バカミスとわかっていて読んだので、法術バトルのシーン、そしてクトゥルフにつながる部分はまさに手を叩いて大喜びしましたが。
個人的に色々想像の余地を残す作品の方が好きなので、あのラストは◎です。
Posted by ブクログ
シリーズ物の探偵、石動戯作ものなので、当然これは本格ミステリだと思ったのです。
ところが読み進めるうちに、何やら雲行きが怪しくなってくる。
これは伝奇小説なのか?
結果的には名探偵石動戯作は、依頼された案件の外に殺人事件の謎も解いてしまうのだけど。
でも、これ、絶対受け付けない人が一定数いると思うわ。
『ハサミ男』を読んだ時の衝撃は「おおっ!」だとしたら、この作品の衝撃は「ええ~っ!?」
面白いなあ、殊能将之。
デビュー当時から評価が高いのは知っていたけど、個人的にはノーマークだったので、今さらながら衝撃が大きすぎます。
もっと早く読んどけばよかったなあ。
もったいないことをしました。
Posted by ブクログ
痛快のなんのって。賛否両論なのはりかいできるけど、 初めからなんか変だな感をにおわせているんだから、これはアリだと思う。最後の一行がすごすぎる。たのしかった。
Posted by ブクログ
前作『美濃牛』の展開は予想出来たとしても、この結末は誰にも予測出来ない。名探偵が超人的トリックに挑んだ作品。嫌いじゃないです。最後の一文も好きです。例えばこれが単発の作品として終わるのならそれまでのことだが、シリーズの一つとしてこの物語が存在することにも魅力を感じる。
Posted by ブクログ
「なんか色々な前評判は聞くけれど、講談社から出ている探偵ものなのだから多少設定が特殊でもジャンルはミステリなのだろう」
そう思っていました、実際に読むまでは……。
衝撃は受けたけど、ふざけんなって思ったけど、面白かったです。
石動さんから見える手がかりだけを総合するとちゃんと石動さんと同じ推理にしかなりようがないように作られてるのが何気にすごいなと思う。
Posted by ブクログ
まさかの非現実要素の介入!ホラーかと思いきやSFを仕掛けてくるとは。
名探偵の推理がだまされたのはちょっと残念でしたが、終始楽しく読ませていただきました。
もっと深く知りたかったけど、あれ以上書くのは蛇足になるのかも。
アントニオが暗躍していて、石動は何も知らないのがコメディでした。
Posted by ブクログ
美濃牛のように正統派ミステリかと思いきやまさかの…!という感じでした。
アンチミステリになるのかなぁこれは…。
人によっては、なんだこれー!って投げつけそうな感じ。
私もまさかこんな感じとは思わなかったので二章の最後のあたりでかなり驚いたけど『あぁ、こういう世界観なんだ…』と思えばこれはこれで楽しめました。
続きもこんな感じなのかは知らないけど読んでいきたいです。
Posted by ブクログ
超絶技巧の超問題作ということで、ハサミ男以来の殊能将之さん作品。
これは…とんでもない展開の作品でした…
円載というお坊さんが、かつて唐から日本へ持ち帰ろうとした仏にまつわるミステリー。
名探偵石動戯作が、異常なまでの行動力で行なってきた推理を、実際は妖怪達の仕業だから全然違うよ〜〜〜!!!というトンデモないところに落とし込むラスト…笑
ある意味かなりすごい作品です。
これは賛否分かれるのも分かります。
が、個人的にはこういう作品があってもいいのかなと思いました。
Posted by ブクログ
かなりの反則でぐだぐだになりそうなところ、よくまとまっているところはすごい?
どこまでが反則なのかわからなくなってくるので最後の方はちんぷんかんぷんな点もあり。
Posted by ブクログ
前作「美濃牛」作中で、ガン末期患者病がよく分からない理由で完全治癒するという奇跡が起こっていたが、石動探偵シリーズの世界設定はこういうことなんだな、と本作を読んでわかった(ような気がする)。
普通のミステリー小説かと思ったら予想を裏切られた。
Posted by ブクログ
「2002年版SFが読みたい」でトップテン入り。だが果たしてSFなんだろうか…。
いや、SFの定義は人によって違う。
そして、私のSFの定義はかなり幅広い。
しかし、これをSFのベストテンに選んでしまってよいものだろうか。
一応、裏表紙のあらすじや、帯の煽りを見る限りにおいては、推理小説くさい。
実際、途中まではそうなのだ。
しかし、それを根底から覆してしまう。
賛否両論、前代未聞なのもうなずける。
推理小説としても、SFとしてもなんとなく中途半端な気がしてしまう。
でも、別にこの小説は嫌いじゃない。
すらすらと読めるくらいに面白い。
ただ、ちょっと物足りない。
「黒い仏」では、物語の核心に迫る前に話が終わってしまう。
それは、主人公の探偵すら見通せない事実があるからだ。
普通の人間には、表面の物事しか見えてないのだということを、痛感させられる。
それでも、「黒い仏」の端端にちりばめられた人知を超えた世界は、想像力を程よく刺激してくれる。例えば、助手のアントニオの過去なんて、それだけでも長編小説になりそうな勢いだ。
「黒い仏」の終わりは、そのまま新しい物語への幕開けだ。
しかし、普通の人間である我々には、その続きを見ることが出来ない。
それがなんとも口惜しい。