あらすじ
日本企業でかなり広まった「戦略主義」は真新しさを失い、その反動でもある「現場主義」にも限界が見え始めている。本書では、第3の道として「実行」による経営の重要性を説く。
【主な内容】
第1部 問題編/第1章 戦略のコモディティ化/第2章 現場主義の限界/第3章 「正しい戦略」という幻想―今、本当の問題/第2部 転換編/第4章 情報に振り回される経営/第5章 前提の転換―「自社」から始める/第3部 戦略編/第6章 経営における「試行錯誤」の難しさ/第7章 「やってみなければわからない」戦略/第4部 実行編/第8章 組織の三つの役割/第9章 新しいアイディアを育む土壌作り/第10章 実験をする土壌作り/第11章 実行する土壌作り
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
あまり期待しないで読み始めたが、思った以上に良書!デザイン思考を会社組織で実行していくための必要な要素を網羅している
3つの土壌作り
・アイディアを育む土壌
・実験する土壌
・実行する土壌
Posted by ブクログ
p7:どの会社も持っている(戦略)のであれば、それを知らないことはハンディにはなっても、知ってるからと言って差にはならない。:戦略のコモディティ化。
p41:実行されない、できない戦略はそもそも戦略などとは呼べない。
p49:競争他社と同じ事をより効率的にできることは戦略とは言わない。
p189:「あれもこれも」の本当のコストとは、それによって緊張感が薄まること。多くの起業が失敗するのは、事業機会がないからではなく、様々な事業機会がありすぎて、絞り込み、消化ができなくなっているから。
p208:良い判断とは経験からくる。経験とは、間違った判断の積み重ね。
Posted by ブクログ
コンサル会社でコンサルをやっていた時の疑問が
1. 課題ばかり堀下げても、仕方ないのではないか
2. コンサルの評価基準は、いかに仕事をとってきたかだけ
という2つ。
見事に、これらについて触れられていて面白かった。
さて、本書は、
未来はわからない
ものと前提を置き換えて、そのために
・コントロールできる自社に視点を置くこと
・試行錯誤をしてみること
の重要性を説いている。
それは、もともと、
成果(未来) = 戦略 × 実行
と考えられてきたが、
戦略:
・みんなが知ってしまったので差別化できない
・分析は過去の延長にすぎない
実行
・効率の追求による消耗
・部分最適
といった問題があるため、としている。
Posted by ブクログ
分かりやすい話になっている。
戦略を考えたことがある人なら、同じ疑問、悩みを持ったことがあると思う。
結局、正しい戦略は誰も分からないので、たくさん実験するしかないらしい。中小企業は難しいという結論か?
Posted by ブクログ
戦略というものは一過性のものではない。それは確かにそうだ。そして戦略を一生懸命練っている間にも、外部内部問わず環境は変化していく。それもそうだ。そんななかで、旧来から言われている「いい戦略」というのは現在は存在しえないのではないか?というのが、本書の問題提起。実際に仕事をしていて感じるのは、「戦略」自体が陳腐化するスピードが速いこのご時世にじっくりと戦略を練ったところで、戦略立案の前提条件としたことがどんどん変わっていくことで意味をなさない戦略がどんどん生まれていくというのは確かに感じる。そこで本書では、Try & Errorを行いながら良いと思われる取り組みをどんどん実践していくことが結果的に新しい戦略を練ることと同義になってきていると指摘している。わからなくはないんだけど、会社を率いるマネジメント層が考えることは何もないってことでもないんだろう。例えばビジョンだとか、運営の方向性だとか・・・変化の激しい今の時代、実行も含めて悠長に過ごす時間もないのは確かなので、本書の主張はすごく良くわかる。しかしながら、現場の社員が熱心にいろんなことを考え、チャレンジしていくという形で仕事を進めること自体が、今、最もうまくできていないのではないか、そんな気がしている。先に読んだ現場のモチベーションをどうするか?という書籍では、トップマネジメントがどう方向付けをし社員の活動をサポートしていくかが、すごく重要になっている世の中だとの指摘があったが、このような話とセットで考えないと、昔ながらの戦略論と大差ない成果になってしまうのではないかと感じてしまった。「戦略」というキーワードについていろいろ考えるのには、大変参考になったが、今ひとつスッキリ感を感じることができなかったのが、残念。
Posted by ブクログ
(K) 新しい戦略が行き詰まる原因を、イノベーションをもたらす人や組織の観点から紐解いている。MBA的なアプローチで緻密な分析を施し戦略を練りに練ることによって、良い戦略が作れると考えがちであれば、そもそもその考え方が間違いで、正しい戦略などあるわけがないと割り切ってどうあるべきかを考えている。そもそも経営とはスマートなものではなく、試行錯誤の繰り返しの上に成り立っている。これを効率追求として様々なことを試みるが、結局はやってみなければ結果はわからないもの。だったら、容易にちょっとやってみようと思え、そして試すことができる環境を作ることが大切だと説いている。
振り返って見ると、全く同じ轍を踏んでいることに気が付く。個人の思い以上に勝てる戦略に目がいき、リスクを最小限にして大きな成果を得ようとしている。最近考えるようになった、「小さく産んで大きく育てる」や「多くの玉仕込む」という発想は決して間違っていないということを教えてもらった。
全体的に、脱戦略の軸で書かれているのは良いが、頭の使い方という面ではどうも不足感を感じる内容である。
Posted by ブクログ
【要旨】
MBAの普及により、戦略の考え方が一般化した(戦略のコモディティ化)。その一方で環境は刻々と激変している。このような現在では、過去のデータ分析や論理的な問題解決では上手くいかなくなっているのではないだろうか?
環境は変わるという自明の理を考慮し、まずは自社の資源から戦略は始めるべきではないだろうか。
また、イノベーションやブレークスルーをもたらすのは個人の「思い」や「こだわり」であることが多い。この個々の可能性を、アイディアのポートフォリオとして、組織的にマネジメントしてみてはどうだろう。これが「やってみなければわからない戦略」である。
ここで重要なのは「新しいアイデアを育む土壌作り」「実験をする土壌作り」「実行する土壌作り」である。
【感想】
本書は戦略家による脱戦略の本とも言える。しかしながら、どちらかというと、企業経営というよりもイノベーション論に近い。どのようにしてイノベーションを戦略化するかという印象。
残念なのは、組織の話が非常に薄い。「組織は戦略に従う」というが、「やってみなければわからない戦略」に適した組織・組織構造については、基本的に触れられていなかった気がする。そういった意味もあり、物足りなさを感じた。
【目次】
第1章 戦略のコモディティ化
第2章 現場主義の限界
第3章 「正しい戦略」という幻想−今、本当の問題
第4章 情報に振り回される経営
第5章 前提の転換−「自社」から始める
第6章 経営における「試行錯誤」の難しさ
第7章 「やってみなければわからない」戦略
第8章 組織の三つの役割
第9章 新しいアイディアを育む土壌作り
第10章 実験をする土壌作り
第11章 実行する土壌作り
Posted by ブクログ
2008.1.12
海賊団船長にすすめられて購入。
ウェルチさんの言葉について検証し、Implementationがどうあるべきかの具体的アイデアを出した本。
自分が歩いてきた道は良かったんじゃないかと再考できた。そしてまだまだImplementationに課題が山積みなことも。
前半に問題提起と対応方針の示唆、後半で具体的アイデア。