あらすじ
部下や社員が、思うように動かない、育たない……。そんな悩みを抱えているマネジャーは少なくない。例えば、ある職場では、文字通り「手取り足取り」といった風情で、部下に懇切丁寧に仕事を教えているマネジャーがいる。しかし、そうした「教育熱心なマネジャー」の下で、なぜか優秀な人材が育たない。また別の職場では、周囲から見ると気の毒なほど、部下に気を遣っているマネジャーがいる。しかし、そうした「気配りのマネジャー」が、必ずしも部下から信望を集めているとは限らない。さらに別の職場では、意見を理路整然と語る「論理的なマネジャー」が、なぜか部下や社内を説得できない……。企業の経営や職場のマネジメントにおいて、我々はしばしば、一般の常識の逆とも思える「逆説」に直面する。本書では、こうした逆説(壁)が、なぜ生まれ、どうすれば乗り越えられるかを、読みやすい連続講義の形式で解き明かしていく。著者のマネジメント論の原点ともいえる名著、待望の電子化。
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Posted by ブクログ
なぜ、マネジメントが壁に突き当たるのか
成長するマネジャー 12の心得
著:田坂 広志
出版社:PHP研究所
PHP文庫 た 51 7
本書を読むと、マネジメントとはなんと複雑なものなのだと思ってしまう
著者が感じたマネジメントに関する12のパラドクスが掲げられています
現代科学では、決して解明できな福雑怪奇な世界がマネジメントと感じます。
マネジメントとは、暗黙知であり、膨大な知識を含んでいて、決して言葉では表せないもの
それは叡智とよばれていること、が、冒頭に掲げられています
また、複雑系というメカニズムがでてきます。全体が変化していて、単純化ができない世界
全体をとらえることでしか考察ができないモデルを言います。
人間の叡智とは、いまだ、世界をとらえることができていないのです。
気になったのは、以下です。
・暗黙知とは、うまく言葉にできないもの、上手に表現ができないもの、であるが、マネジメントにおいては、もっとも高度な能力が発揮されている 「うまく言葉にはできないのだが……」
・われわれは語ることができるよりも、多くのことを知ることができる
我々は知っていることを、すべて言葉にすることはできない
暗黙知とは、言葉でっ語り得ない智恵の世界である
・業務を論理だけで割り切ることはできない、なぜならば、企業とは生き物であるから
すなわち、企業とは、単純な論理で理解することができない複雑な生命体であるから
・世の中には、分析の限界というものがある
分析とは対象を分割し、それぞれを、詳しく調査し、最後に総合する
しかしながら、分析のために、単純な要素に還元したときに、新しい性質が失われてしまう
問題を部分に分割したり、問題を単純化することなく、企業全体をその複雑性のままに理解する手法がもとめられている
それは何か、それは、直観力であり、洞察力である
・直観力、洞察力とは、論理の対極にあるものである
・安易な方法を選ぶな、「狭き門より入れ」、それはマネジメントにおける大切な心得である
・直観は過たない、過つのは判断である
・重要な意思決定の場面で必要なのは、何を選ぶか、ではない、いかなる心境で選ぶか、だ
・現代において、問題分析⇒原因究明⇒原因除去⇒問題解決という直線思考こそが問題解決を妨げている
なぜなら、現代の問題は、直線構造ではなく、循環構造をしているから
・現代の問題を複雑系という
複雑系は2つの特徴をもつ
①フィードバック・ループをもつ
②解決にはポジティブ・フィードバックを示すことである
・バタフライ効果 小さな揺らぎが、大きな変動をもたらす
・病むときは、部分にとどまらない、全体が病む
・特効薬はない、全体観察⇒構造理解⇒要所加療⇒全体治癒
循環構造には、最初に手をつけるべき要所がある。東洋の医学では、それをツボという
・大局観にすぐれたマネージャーが使う言葉とは
①バランスがよくない
②筋がわるい
③形を成していない 等々
・どちらも正しいと思えることがある、それを整理するには「割り切り」を行う
「割り切り」を行わないと、自己の精神が安定しないから
精神の厳しさを保持しているなら、「割り切り」ではなく、「腹決め」を行う
・「割り切り」とは、自分が楽になりたいから
「腹決め」とは、現場が動かないから
だから、「割り切り」ではなく、「肚決め」を行うべきである
・細部には神が宿る
だが、細部にはこだわるべき細部と、こだわるべきでない細部がある
・常住坐臥禅:寝てもさめても、日常のふるまいのすべてが禅になっている
・エキスパートを集めた、ベストチームなのに何故動かない
そもそもチームとは、様々な性格や感情をもった生身の集団である
メンバー同士の相性や、メンバーと職場文化との相性などがしばしば問題となる
・人間通という力を身に着けようとしても身につくものではない
人間通という能力を身につけたかったら、人間と「格闘」すること
・部下にどんなに好意をしめしても部下は動かない
部下のため、ではなく、部下を動かすためであれば、部下はそれを感じてしまい「動かない」のである
では、どのように部下に接するのがいいか、それは、「共感」である
部下に共感する、ということは、決して、部下の共感を得る、ために行うものではありません
マネージャーに求められるものは、若い世代のこころと正対し、かれらの声を聞き届け、彼らの思いに深く共感する感性に他なりません。
一途であること
一徹であること
いかなる計算もなく、いかなる駆け引きもない一途さ、一徹さ、です。
・部下を育てること
教育に熱心であってはいけない
育てる、のではなく、育つ
何度ころんでもいい、良い失敗がある
①成長の方法を与える
②成長の目標を持たせる
③成長の場を創る
ではマネージャーは何をするのか
①マネージャー自身が成長すること
②マネージャー自身が成長し続けること
③マネージャー自身が、成長したいと願い続けること
マネージャーは部下が育たないと嘆く前に、自分が成長しているか、を問わなければならない
・暗黙知を伝える3つの方法
①否定法
言葉で表せないこと、ちがうものをひていしつづけることで、暗黙知を伝える
②隠喩法
隠喩をつかうことにより、想像力をかき立てて、暗黙知を伝える
③指示法
暗黙知の内容そのものを伝えるのではなく、
どうやればそのような体験をすれば、暗黙知を獲得できるかを伝える
暗黙知ではなく、暗黙知を伝達する方法を伝える
目次
はじめに
開 講 なぜ、マネジメントには「沈黙は金」の瞬間があるのか
第1講 なぜ、「論理的」な人間が社内を説得できないのか
第2講 なぜ、マネジメントにおける「直観力」が身につかないのか
第3講 なぜ、「原因究明」によって問題を解決できないのか
第4講 なぜ、「矛盾」を安易に解決してはならないのか
第5講 なぜ、「多数」が賛成する案が成功を保証しないのか
第6講 なぜ、成功するマネジメントは「完璧主義」に見えるのか
第7講 なぜ、「成功者」を模倣することができないのか
第8講 なぜ、「経験」だけでは仕事に熟達できないのか
第9講 なぜ、「ベスト・チーム」が必ずしも成功しないのか
第10講 なぜ、「動かそう」とすると部下は動かないのか
第11講 なぜ、「教育」しても部下が成長しないのか
第12講 なぜ、「優秀な上司」の下で部下が育たないのか
閉 講 なぜ、マネジメントは「アート」になっていくのか
ISBN:9784569760384
NDC分類 335.04
Cコード C0134
判型:文庫
ページ数:320ページ
定価:705円(本体)
2013年06月19日第1版第1刷
Posted by ブクログ
"・「我々は、知っていることを、すべて言葉にすることはできない」(暗黙知⇒反対:言語知)
・「企業とは、単純な論理では理解することができない複雑な生命体である」(複雑系)
⇒論理の本質は単純化⇒直感力、洞察力
・論理思考によって考え、考え、考え抜いた時、大局観の世界が開ける(徹する・無我夢中・寝ても覚めても)
・東洋的治癒(西洋的治癒では問題の根本解決にならない)
・マネージャーには大局観
○「構造理解」の力量が必要
○「考える力」ではなく「感じる力」
○「論理的思考」ではなく「幾何的感覚」
○「美醜」の感覚
○「アーティスト」の感覚
・×「責任転嫁ゲームと犯人探し」
・×「割り切り」判断(不安に耐え切れず、精神的に楽になりたい誘惑)
⇒○「腹決め」※矛盾と対峙し続ける姿勢
・マネージャーはバランス力(仏教の「中道」、儒教の「中庸」)
・「未来がどうなるか?」より「未来をどうするか?」
・「腹が据わっている」⇒「リスクを取る」「自ら責任を取る」
・×「頭は良いけれど、部下はついてこない」
・○言葉に力を与えるもの「信念」
(客観性や論理性だけではない)
⇒「熟練の経営者が説明を受けるとき、じっとマネジャーの目を見つめる
・「こだわるべき細部」(直感導かれる)と「こだわらなくても良い細部」
・「あの人は完璧主義者」⇒「あの人は気配りの細やかな人」
・熟練のマネージャーは「言葉」使い方が極めて「細やか」≠「細かい」
・完璧主義者のマネ-ジャーはメンバー一人ひとりに対するアドバイスも「細やか」
・アンチョコ本はやり。。。⇒「普遍的な成功方法は存在しない」
・「現実との格闘の中から掴み取りなさい」「悪戦苦闘」⇒「暗黙知」
・熟練のマネージャーは部下に対して
×「何を身につけるか」ではなく
○「何を行えば身につくか」
・経験に際して「問題意識」や「仮説」を持つべき
・ビジネスマンの基礎体力とは「集中力」
・組織は戦略に従う⇒現実は「組織は人材に従う」
・人間には、独りでいるときに示す正確と、複数の人間が集まる時に示す性格、ある特定の人間と共にいるときに引き出される性格がある。
⇒職場のメンバー同士の「相性」や、メンバーと職場の「相性」などがしばしば問題になる
・組織は機械を設計するような発送で取り組みと失敗する(組織は感情をもった人間の集まり)
・人間通⇒生身の人間と格闘
(赤提灯の耳学問、書籍では無理)
・×「操作主義的人間観」・・・人間は道具でも機械でもない
⇒「部下に、自分の内面にある操作主義や計算が見えてはいけない、己のエゴは見られていないか?」
・「マネージャーが部下に共感」が大事(甘やかすことではない)⇒「聞き届け」(深い共感の心を持って部下の話を聞く)
・部下に正対(賛同やガス抜きではない、心を込めて真剣にぶつかること)
・「一途」、「一徹」・・・いかなる計算、駆け引きもない
・①成長の方法を与える②成長の目標を持たせる③成長の場を創る
・マネージャーが部下に無邪気に語る「夢」というものが、若木に注ぐ太陽の光のように、その成長を促す
・マネージャーは一人のビジネスマンとして何を学ぼうとしているのか?
・上司が優秀過ぎると部下は自立しない、依存心が生まれる。
・マネージャーが部下の成長を本心では望んでいない
・マネジャーはエゴ、劣等感、恐怖感を直面する・・・静かに見つめる
・①個別の分析をするな 全体を洞察せよ
・②設計・管理をするな 自己組織化を促せ
・③情報共有ではない 情報共鳴を生み出せ
・④組織の総合力ではない 個人の共鳴力を発揮せよ
・⑤部分治療ではない 全体治癒を実現せよ
・⑥法則は不変ではない 法則を変えよ
・⑦未来を予測するな 未来を創造せよ
・マネジメントはアート
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・複雑系とは、ひとたび起こったことが、ますます起こりやすくなる仕組みを持つシステム。自己加速性を持つ循環構造
・「全体観察」→「構造理解」→「要所加療」→「全体治癒」。因果ではなく循環を思考することで自然に治すことを考えるのが東洋的治癒
・「腹決め」と「割り切り」は違う。「割り切り」は自分の心を楽にするもの
・「勘が鋭いマネジャー」にとっては、「未来を予測する」という言葉と「未来を創造する」という言葉が同義語
・普遍的な成功法則は存在しない。成功とは常に個性的なもの。
・部下と自分の切磋琢磨によるお互いの成長を大事にする
・成功にも「悪い成功」があり、失敗にも「いい失敗」がある。
・マネジャーが到達した世界が、部下が仰ぎ見る最高の世界となってはならない
・マネジャーに求められるものは、一人のビジネスマンとして自分が「何を学ぼうとしているか」
・自由に伴う責任から逃れたい、というメンバーの無意識が、優秀なマネジャーになることよりも、優秀なマネジャーの部下であることを望ませてしまう
・無理にエゴを消し去ろうとすることではなく、静かにエゴを見つめること。苛立ちを感じたら、まずは自分に問うてみる
Posted by ブクログ
○マネジメントの難しさ、思い込みを一掃してくれる。経験をしていればいるほどわかる内容。
我々サラリーマンにとっては、上司と部下の良好な関係は重要な課題である。
それを一般的に業務上において、マネジメントと呼ばれる手法で上司が部下に対する指導等をするわけだが、その手法は人によって様々で、ときに誤っているマネジメントにより職場や会社・部下・上司を混乱に巻き込むことがある。
この本は、マネジメントのやり始めと、3ヶ月くらい経って成果や課題が見えてきた頃、1年単位で自分の業務を思い返すような時期、それぞれで読み方と捉え方が変わる内容だと感じた。
その理由は、第九講「なぜ、ベストチームが必ずしも成功しないのか」にあるように、さまざまな人間と格闘し、その状況や人に合わせたマネジメントを行わなければならないからです。
そういう点では答えがないマネジメントですが、その曖昧さのほとんどの部分はこの本で解説してくれているような気がします。
経験豊富だからといってマネージャーとしては有能ではない理由、原因究明を行っても課題が解決できない理由など、目からウロコの内容も多く、主に中堅~のマネージャーには再読を重ねることをおすすめしたい一冊。
Posted by ブクログ
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「あのファインプレーは良くない。きちんと守るべきところを守っていたならば、あんなファインプレーにはならない」
「あのエラーは良い。結果としてエラーになったが、彼は、基本に忠実な守備をしていた」144
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見抜かれる「操作主義」223
マネジャーが、部下の共感を得ようとしたときではなく、マネジャーが、部下に共感したときです。236
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こうしたマネジャーは、部下の話に適当に相づちを打ち、部下との表面的な人間関係には気を遣うのですが、マネジャー同士の会話においては、陰で「ガス抜き」などの言葉を使うのです。241
「部下の意見を聞く」ことは一応行っているのですが、「部下の声を聞き届ける」ということは決してできないマネジャーなのです。242
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実は、人間関係が壊れるときというのは、どちらかが、どちらかに対して「シニカル」な姿勢を持ったときです。244
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部下は分かっているのです。
彼が部下と「正対」していないことを。245
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(4)組織の総合力ではない、個人の共鳴力を発揮せよ305
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二一世紀、マネジメントは、人間にとって最高の「アート」になっていく。312
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