あらすじ
「会社が面談ばかり増やしてうざい」「部下と何を話せばいいのかわからない」「そもそも社内で心を開く気がない」。今の世の中、丁寧な対話が大事と言われるけど、面倒じゃないですか? 『罰ゲーム化する管理職』の著者が、大規模調査による分析と、社会学や哲学、文化人類学の知見を駆使して、本当に有意義な対話をどう実現するのかを提言。すべてのビジネスパーソンに捧げる、新しいビジネス・コミュニケーション論。
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Posted by ブクログ
職場での会話がすれ違うのは、「コミュ力」や「相性」の問題ではなく、コモンセンス(共有知識)の不足によるものだと本書は指摘しています。
本書はコミュニケーションのモードを5つ(※小包・円卓・跳躍・音楽・創発)に分類し、それぞれの特徴や問題点を整理していますが、組織の「対話」にまつわる問題をよく捉えていると感じました。特に「空っぽ問題」(=語るテーマを持たない人の存在を想定していない、という対話推進側の思い込み)まで目が行き届いている点が印象的でした。
コモンセンスとは、「私が知っていることを、相手も知っている」という、認知されたコンセンサスのことです。本書は、これを組織の対話の場にうまく組み込むアプローチを推奨しています。
基本方針は次の4つです。
①目線誘導:情報を「狭いメディア」(1on1など閉じた場)ではなく、「広いメディア」(全体会議や社内発信など)で伝え、「みんなも知っている」という状態を作ること
②個人協議化を防ぐ:対話の成否を上司個人のスキルや努力に依存させず、部下側にも同じ知識・フレームを提供し、双方が同じ土俵に立てるようにすること
③アンカリング:「この情報は既に共有済みです」と明示的に言及し、特定の知識を「共通の前提」として位置づけること
④アップデート:組織の内輪化・固定化を防ぐため、「外」「内なる外」「外なる内」といった外部視点を定期的に取り込み、コモンセンスを更新し続けること
この4つの基本方針を押さえておけば、1on1や評価面談、会議、プレゼンなど、さまざまな場面に応用でき、目の前の相手を「話が通じない無能」と切り捨てる脳内ブロックを遅延させ、足りない前提知識のパズルピースを一つずつ揃えていくという冷静なアプローチが可能になります。「対話するぞ!」と意気込むとかえってプレッシャーになり失敗しますが、対話を目的化せず、他の業務プロセスという「主菜」の隙間に、さりげなく対話を紛れ込ませる「対話の副菜化」から始めてみる、くらいの気軽さと「うまく話すのではなく、うまく在る(共にいる)」という構えこそが、今の職場の対話疲れを解決し、対話の持つ効能を最大化させてくれるのでしょう。
Posted by ブクログ
進めてる哲学対話の浸透に対して、その限界的な側面を見ることができる。
パーソル研究所の調査レポートはなかなかに参考になるものが多くて、読んでて楽しい。不正と組織文化に関するもので初めて知ったので、監査人にとっても有益な発信多い。
Posted by ブクログ
対話のすれ違いから生じる対話疲れ。
そもそもコミュニケーションはズレるって前提を忘れがちだなと思った。
学ぶところが多かったけれど、特にベースラインを整えることの大切さを再確認。
Posted by ブクログ
職場の対話がうまくいくのって、
結局「相手が本当の自分を出せるか」という
信頼の問題なんだと感じました。
コミュニケーション研修では解決しないのは文化の問題だからであってそのあたりをわかっていないといけないということかなと。
Posted by ブクログ
「本音で話そう」と言われるほど、むしろ本音が言えなくなる。そんな矛盾を感じたことはないでしょうか。
職場の対話はなぜすれ違うのか は、現代の職場で広がる“対話疲れ”の正体を、データと理論で丁寧に解き明かしてくれる一冊です。1on1や面談が増える一方で、多くの人が本音を話していないという現実には、思わず頷かされます。
本書の面白さは、対話を「5つのモード」で捉え直す点にあります。情報伝達だけでなく、相互理解や即興的なやり取りなど、対話の多様なあり方を知ることで、「うまく話さなければ」という思い込みがほぐれていきます。
中でも印象的だったのは、「対話は副菜でいい」という提案です。対話そのものを目的にするのではなく、学びや活動の中で自然に生まれるものとして位置づける。この軽やかな発想が、無理に本音を引き出そうとする息苦しさを解消してくれます。
対話に正解を求めて疲れている人に、「それでもいい」と静かに背中を押してくれる一冊です。