あらすじ
旧ソ連のグラーグ(強制労働収容所)で生まれ育った元KGB諜報員ターボ。ニューヨークで調査員として暮らす彼は、銀行の会長マルホランドから誘拐された娘の救出を依頼された。この時から因縁深い人物が次々と現われる。今はマルホランドと結婚している彼の別れた妻、KGB時代の同僚、彼をグラーグから救い出しKGBに入れた恩人。誘拐事件を探るターボは、やがて恐るべき陰謀を知る。巧妙に練り上げたサスペンス巨篇。
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Posted by ブクログ
昔ながらのハードボイルド小説だと思ったーースーパーマンではない主人公が愚直に、ボロボロになりながらも忠義や信念を貫き通し、時には良い関係になれるのではと期待された「女」とも別れ、「子」とも人生が交わりながら深く関わることなく、孤独の中でただ生きていく。
みたいな、一昔前の懐かしきボガードの香りがするぜ、「君の瞳に乾杯(カサブランカより)」
とはいえ本作は旧ソ連の関係者が鮨詰め状態なので、最後まで登場人物一覧を見返し「君、だれだっけ」の繰り返しであった。そこを加味しても結構最近にはない伏線や物語の組み立てで面白かった。
途中から「推理小説じゃないなこれ」と思ったので純粋にストーリー展開を楽しんでいたのだが、それもまた正解だったように思う。
全ての黒幕は「まぁそうだよね」というところに収まったし、ポリーナは可哀想だったところもあるけど、私個人としてはエヴァとアレクサンドルが幸せに長生きしてほしい。
600pに渡る長編、主人公がボロボロにされてからの展開が怒涛で楽しかったと思うのは私だけだろうか(実に後半100pくらいである)