【感想・ネタバレ】イノベーターの条件のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年03月15日

何がニューソサエティをもたらすのか。何がニューソサエティを形作るのか。その社会では絆をいかに創造するか。 P. ドラッカーは、それは組織を通して個人の強みを活かした社会貢献であるといい、そのための、教養と生涯学習の重要性を訴える。

20世紀の変化の本質は、知識社会の出現である。そこで働く知識労働者...続きを読むは、その本質からして専門家でなければならない。知識は専門化することによって成果をあげる。しかし、専門化した知識はそれだけでは役に立たない。組織との関わりが不可欠である(組織社会)。そこでは「マネジメント」が中心的な機関となる。その本質は知識を生産的にすることにある。人の強みを生産的なものとし、弱みを意味のないものとしなければならない。ここで重要なことは、組織を通して社会に対して貢献するということだ。社会は「一人ひとりの人間に『位置づけ』と『役割』を与え、そこにある権力が『正統性』をもつとき、はじめて機能する」(p.4)のである。

知識社会では、家族、村、教区などの昔ながらのコミュニティは、ほとんどが消える。そのものの多くは、新しい社会結合体としての組織、NPOの役割が大きくなる。NPOは意義ある市民性の回復の核として、企業、政府に次ぐ、三つ目の社会セクターとなる。そもそも知識労働者は、仕事を超え、組織を超え、さらには自らの専門を超えた意味ある社会生活、人間関係、貢献も必要とする。この社会セクターが、社会サービスとコミュニティという紐帯を提供し、能動的な市民性を回復するという。

専門職に就く学生には「一般教養」が必要である。しかしこの書では一般教養とは何かを明らかにしていない。そこで次の阿部謹也氏の定義が参考になる。「教養とは、自分が社会の中でどのような位置にあり、社会のために何ができるかを知っている状態、あるいはそれを知ろうと努力している状態である」(「『教養』とは何か」講談社)。つまり、個人と社会との関係を考えることが、教養の前提となるのである。

知識社会の大学には、教育と研究に加えて、知識を行動に移し、成果をもたらすという機能(社会貢献)が加わった。現代社会の動力源としての知識は、適用され仕事に使われて初めて意味を持つ。従って大学は、応用分野のニーズを中心として学部の再編成が必要。応用こそ知識の目的であり、それが経済と社会の基盤となり、あらゆる社会的な行動の原理そのものとなるのである。

学校は枢要な社会的機関として、学生、生徒一人ひとりに対し、自信と能力を与え、学習の方法を身につけさせ、組織と共に働く能力を身につけさせ、貢献し成果をあげさせなければならない。同時に、継続学習の能力や意欲も欠かせない。これが知識社会における学校の社会的責務である。

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