あらすじ
◎郷原信郎弁護士との「巻末対談」を新たに収録!
・巻末対談
郷原信郎×佐藤真言
「粉飾」問題の二つの断面
―経済社会の実態に目を向けない司法の“闇”―
さらに、著者・佐藤真言氏の書き下ろし「特別章」も収録!
・特別章
金融システムのひずみ
―粉飾の消滅へ向けて―
全国から反響続々の経済事件ノンフィクションが、
スペシャルコンテンツを収録して待望の電子化。
郷原信郎弁護士との<巻末対談>、
著者の書き下ろし<特別章>を新たに収録。
(佐藤真言氏は5月30日に最高裁で上告が棄却され、懲役2年4ヵ月が確定。)
「私は刑務所に入ることなどしていない! 」
“粉飾詐欺”で懲役2年4ヵ月―最高裁で争う元銀行員が明かす、この国の検察、
裁判所の矛盾。
粉飾決算に手を染めざるをえない中小企業の現実に、真正面から踏み込んだ問題
作。
「中小企業のために、まだできることがあるはずだ」
経営コンサルタントとして第二の人生を歩み始めた男が目のあたりにしたのは、
明日の資金繰りにも頭を抱え、やむにやまれず粉飾決算に手を染める中小企業の
姿だった。懸命に社長に寄り添う日々に生きがいを見いだしていくが、突然、自
宅が特捜検事らの強制捜査を受けることになり……。
ついに東京地検特捜部が、一般市民に刃を向けた!
今まさに上告審を争う厳しい状況の中で、一人の市民が実体験を基に書き下ろし
た、経済事件ノンフィクション。取調室における特捜検事との会話からは、粉飾
決算に手を染めざるをえない日本の中小企業の実態と、事件を組み立てる検察の
“独善的な論理”とのズレがありありと浮かび上がる。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
400万企業が哭いているというドキュメンタリー本の、
登場人物の当事者が書いた本。
400万企業〜本を先に読んでからみると、
さらにおもしろいです。
著者の今後が凄く気になります。
応援してます。
Posted by ブクログ
速読。
粉飾する側から見た特捜部と裁判の進行過程を説明した本。見せしめ的な逮捕起訴は無意味だと主張する著者。確かに裁判の進行過程は疑問である。ただ昔見学した某有名大学の教授の痴漢裁判でも弁護側の原告に対する威圧的な態度と、検察と裁判官の癒着と打ち合わせには驚いたくらいだから、日本も中国とかわらず法律によって正義を勝ち取るなんてことは存在しないのね。君子危うきにを肝に銘じて生きなければ。
Posted by ブクログ
粉飾決算は中小企業にとって必要悪である。
これに納得できるかどうかに尽きる。
正直中小企業の決算とか全く知らない立場からすると直ちに肯定できないものがある。
真面目に決算してる中小企業に失礼じゃないのだろうか?とも思う。
粉飾を必要悪だと割り切ってしまうのがコンサルとして正しいのかもわからないけど、裁判では戦いずらいのは容易に想像がつく。
本音と建前の日本の社会を見せつけられる気もするけど、プロフェッショナルとしてのコンサルがそういう選択でいいのかという疑問は残る。
それぞれのポジショントークが散りばめられている本だとも思い、金を稼ぎ生きていくというのは大変なことなんだと改めて感じさせられた。
Posted by ブクログ
中小企業の税務やコンサルティング業務に携わる者には必読の書だろう。本書から何を感じ取るか、個々人で違いがあると思うが、敢えて感想(ややネガティブだが)を述べてみたい。
中小企業を助けようとする著者の奮闘ぶりは感心するし、著書の言い分にも一応納得できる。確かに、予め出来上がっていたシナリオに乗せられてしまった感も強い。しかしながら、粉飾に加担して融資を引き出した罪は重い。
中小企業経営者にとって、自分の会社は100%の存在であるが、コンサルタントや税務顧問にとっては、所詮取引先の1社だ。立場の違いがある以上、これは致し方ないことであり、経営者とコンサルタントが一体になることは不可能だ。仮に、一体になれると考えていたとすると、かなりナイーブと言わざるを得ない。ドライかもしれないが、顧問先との「適度な距離感」を保つことが重要だと思う。
さらに、右肩上がりの成長が期待できた時代とは異なり、粉飾を隠したままで将来の収益で(粉飾が)解消できるというのは、甘い見通しと言わざるをえない。仮に黒字が続く(楽観的な)見込みがあっても、内外の経営環境の変化で損益が大きくブレ、将来予測は大幅変更を余儀なくされるケースが多い。しかも、環境悪化に対する耐性が大企業に比べて弱いのが中小企業である。
また、コンサルタントが示すことのできる収益(利益)アップ策は、コストカットが中心だ。コストカットは、(売上アップに比べ)予想しやすいし、効果がすぐ目に見える。しかし、コストカットは、現在の出血(赤字)を止めるのが精一杯の手段である。過去の(累積的な)負の遺産である粉飾を解消するには、材料として不十分だ。加えて、コストカットが長期化すれば、全体のモチベーションも下がり、縮小スパイラルに陥る。粉飾がそう簡単に解消しないことは、過去の実例からも明らかだろう。
一方、コンサルタントは自分で会社の製品を売り歩くわけにいかないから、売上アップは結局、会社(社長)頼みになる。しかも、売上アップというのは、かなり不確実性が高い。今回の手記のケースも同様である。結局、収益(売上ー費用)改善の一部しか、コンサルタントは担保できないのであり、収益予想も不確実なものにならざるを得ない。
なお、蛇足ではあるが、「売上アップ」を標榜するコンサルタントの実績については、相当「割り引いて」判断する必要がある。
ありきたりではあるが、やはり正攻法(セオリー)に勝る手法はない。たとえ教科書的と揶揄されようが、セオリーから外れた方法には、どこか危うさがつきまとう。
粉飾に加担するのは論外だが、粉飾の事実を知ってしまった場合にどう対応すべきなのか、改めて自身の襟を正す機会を本書は与えてくれた。決して対岸の火事ではない。
なお、今回の事件の背後にある、中小企業を巡る金融機関の融資実態であるが、この点は日本の金融システムに係る制度的な問題であり、この点は早急に解決しなければならないと強く感じた。
内容的には★3であるが、仕事の取り組み姿勢について、考える材料を提供してもらったという点で、★4の評価とした。
Posted by ブクログ
粉飾決算を指南した元銀行員コンサルタントとして逮捕された筆者。しかし中小企業の粉飾決算てのは横行しており、融資金を詐取するつもりも、融資を引き出したお金で報酬を得ることもない、極めて悪質性の低い事件。でも検察の目にとまればそう言う言い訳は通用せず、実刑罰が下される。社会の実情など無視した事件であるとともに、一度起訴したら後戻りできないため、自分達の都合のいい様に事実を歪曲してでも既定のストーリーを作り手出していく検察、裁判所の組織の闇を描き出している。
Posted by ブクログ
「四〇〇万企業が哭いている」を先に読んでいたので、すっと読めた。◆検察のプライドのために、人生がめちゃくちゃにされて良いものか?◆それとヤメ検の宗像は、ひどいな。亡き母のなけなしの大事なお金500万を貰って、辞任するかね。