あらすじ
なぜ働かなきゃいけないの? よい労働ができない人は、ひどい人生を送る?
労働ばかり称揚する社会を痛烈に批判したアーレントの思想とは。
「働く」を根本から問い直し、一人一人のかけがえのなさをつかみなおす。
「いま」を生き抜くための100ページ〈すごい古典入門〉創刊。
「よい労働ができる人は、よい人生を歩めるし、
そうではない人は、ひどい人生を歩むことになる。
だから若いうちから自分に適した職業を見つけないといけない。
それが人生の至上命令のようになっているのではないでしょうか。
しかし、歴史を遡れば、こうした考え方は必ずしも真実であるとは限りません。」
(第3章「なぜ働かないといけないの?」より)
◆目次◆
第1章 ハンナ・アーレントはどんな人だった?
第2章 働くってどういうこと?
第3章 なぜ働かないといけないの?
終 章 アーレントと冒険に出よう
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Posted by ブクログ
ハンナ・アーレントの『人間の条件』について徹底的にフランクでわかりやすく書かれた文字通りの入門書。人間の複数性(Plurality)は個人としての多様性を認め、公共空間において創造的な活動を行うことを可能にする。現代社会は労働にあまりにも重きを置かれているがその別の可能性を示している。本書は元となった書籍の結論から更に一歩進み、議論を踏まえた上での現代における労働の価値と意味合いを見出している。
Posted by ブクログ
ハンナ・アーレントは知ってはいるもののその思想や主張といわれると全く知らない…という訳で購入してみました。
薄くて字が大きくて読みやすいです。
『人間の条件』というアーレントの著書を中心としてアーレントの思想を解説した本です。
アーレントは全体主義を強く批判しました。それはなぜかというと、人間を画一化し複数性を奪うからです。また、資本主義社会も人間を画一的する点や無限の勢力拡大志向において全体主義とよく似ているといいます。では、いつから複数性は失われたのか…ということを古代ギリシャまで遡って考えていきます。
現代では、労働こそがもっとも重要な活動だと考えられていますが、それは歴史的に形成されてきた思想に過ぎないのだということが分かりました。
そうした考え方が押し付けられることをアーレントは批判しています。
ただ、やっぱりこの本だけでは全然物足りないというか、もっと詳しく知りたいなと思いました。
『人間の条件』は複数の翻訳書が出版されているようですが、かなり難しそうなので、参考文献に挙げられていたアーレント関連の本の中で読みやすそうなものを読んでみたいです。
Posted by ブクログ
働くということについて気になっていたので読んでみた。まさに職業(労働)だけがアイデンティティのようになっていることに疑問を感じて。
労働が重視されはじめたのは近年だし、そうとも限らないよ、という考えを知ることで少し楽になるのかもしれない。
噛み砕いて書かれていてとても読みやすかったと思う。疑問や理解できない部分もありましたが、最後に「どんな哲学の概念も完全ではありません」とあり、まあそれはそうですよねと安心できました。
原著は難しいらしいですが、できたらちょっと触れてみたいなと思いました。
Posted by ブクログ
アーレントの主著『人間の条件』を題材に彼女の「労働」に対する思想を古代ギリシャでの考え方にまで遡って分かりやすく解説された入門書。
彼女は人間の活動を、労働、仕事、活動の3つに分類し、「労働」は生命維持のために必須であるが、それ以上に人々が関わり合い新しいものをうみだす「活動」を重要視した。
それが近代では重商主義の誕生などに端を発し、そのヒエラルキーが逆転してしまったと主張している。
しかし、この逆転現象は長い歴史の中で、ごく最近になって出てきたものに過ぎず、労働が絶対的に重要であると考える必要はない。
アーレントの『人間の条件』は「労働」に対する考え方に答えを提示するものではなく、一思想家として問題提起するものである。