あらすじ
なぜ働かなきゃいけないの? よい労働ができない人は、ひどい人生を送る?
労働ばかり称揚する社会を痛烈に批判したアーレントの思想とは。
「働く」を根本から問い直し、一人一人のかけがえのなさをつかみなおす。
「いま」を生き抜くための100ページ〈すごい古典入門〉創刊。
「よい労働ができる人は、よい人生を歩めるし、
そうではない人は、ひどい人生を歩むことになる。
だから若いうちから自分に適した職業を見つけないといけない。
それが人生の至上命令のようになっているのではないでしょうか。
しかし、歴史を遡れば、こうした考え方は必ずしも真実であるとは限りません。」
(第3章「なぜ働かないといけないの?」より)
◆目次◆
第1章 ハンナ・アーレントはどんな人だった?
第2章 働くってどういうこと?
第3章 なぜ働かないといけないの?
終 章 アーレントと冒険に出よう
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Posted by ブクログ
すごい古典入門シリーズ。
「すごい」という煽り文句、100Pという文量。うむ、私のような素人には丁度良い内容であるとお見受けしましたよ。
アーレントは人文・思想書を読んでいると目にする最重要人物の一人。だけれども、その実どのような思想を構築したのかはよく知らなかった。
『人間の条件』のキーワード、労働、仕事、活動それぞれの定義を卑近な例を織り交ぜて解説してくれている。つまり生命維持のための労働至上主義への異議を呈し、かけがえのない個人としての営みである仕事と活動へ重心を移すのことを提案している、という理解。
図らずも同時によんでいた東畑開人『カウンセリングとはなにか』に通ずる理念を感じる。人は生存(生命維持のための労働)を大前提とするのは確かである。しかし、90年代で生活的に豊かになった後人は実存(仕事や活動を通じての自由)の喪失に苦しむ。その心の破局を文学的変化をを通じて改善を図るのがカウンセリングである、と。
本書が述べているように『人間の条件』は具体的な結論を提示するのではなく、疑問を投げかけるにとどまっている。だからこそ、時代を経た現代においてもアーレントを土台とした生きるとは?という命題への挑戦が盛んに行われているのだろう。
アーレントへの超入門として、一緒に本書から始めましょう。
Posted by ブクログ
これまでいろんな本で触れられてきたこの本をついに手に取るその前に背中を押して欲しくて読んだ本。
要約の正確さなどは自分が読んでからコメントすべきだと思うので、今は一旦保留しておくものの、今まで何冊か著者の本に触れた中で一番しっくりきた。おそらく、最終章が活動的だったのだな、と振り返っている。
さて、原著にあたれるかどうか…
自分への約束としてとりあえずこの感想を書いておく。
Posted by ブクログ
ハンナ・アーレントの『人間の条件』について徹底的にフランクでわかりやすく書かれた文字通りの入門書。人間の複数性(Plurality)は個人としての多様性を認め、公共空間において創造的な活動を行うことを可能にする。現代社会は労働にあまりにも重きを置かれているがその別の可能性を示している。本書は元となった書籍の結論から更に一歩進み、議論を踏まえた上での現代における労働の価値と意味合いを見出している。
Posted by ブクログ
入門書ということで、非常に読みやすく哲学知識ゼロでも楽しめる。私もどういった内容なのか、さわり程度をまずは知りたいと思って読み始めたので、そういったことを期待される方にはおすすめ。アーレント本人は哲学者という肩書きを嫌っているようなので本書では思想家という肩書きで話が進む。嫌っている理由はちゃんと根拠があり本書で説明されている。
思想家ということで、色々と難しいことを考えられていて、独自の理論を日常で使用している言葉を使って別の意味合いで定義をしている。アーレント曰く「労働」と「仕事」は違うと主張している。ここでいうこの二つの言葉は我々が日常で使っている言葉とは違う意味合いで使用されていて、端的に「労働」とは人間の生命活動に必要な強制的にしなければならない営み、例えば食事をするための金稼ぎなどを指し、特徴として労働によって作られたものは消費されると主張している。「仕事」は人工物を作る営みとして紹介されていて、例えば椅子やテーブルなどを作成することを指す。
思想や哲学に関する本は、日常で使用する言葉を別の意味合いで定義していて、そこが難しくややこしいと感じるが面白いと感じるところでもある。
アーレントが一番主張したかったであろうことは、社会に染まって個性を押し殺すことは、より良い社会を形成するに当たって健全ではないと主張したかったのかな、とこの本を通じて得た自分なりの結論である。
「私」という存在は、今までの歴史上存在しなかったし、これからの未来でも全く同じ「私」は存在しない。だからこそ「私」は今だけ生きる唯一無二の存在であり、「私」にしか出来ない思想や主張がある。だからこそ個性を出さずに画一的な社会の一員になるのではなく、自分が考えることは、今は常識はずれでも、主張し続ければ新たな常識となる世になるかもしれない。そう信じて社会をアップデートし続けていくのが、よりよい営みである、そう言いたかったのかもしれない。
個人的には、この本を読んで良い励みとなった。
Posted by ブクログ
ゼミで幾度となく聞いた「ハンナ・アーレント」
教授からきく彼女の「公共性」の話はずっと心にあって、また映画で彼女の一生をみて、その逞しさに憧れた。
「人間の条件」は、読んだことがなく、また話を聞いても「???」だったので入門書から!
めちゃくちゃ読みやすくて、!これまで分かりたくても分からなかった政治思想家たちの話、このくらい薄っぺらい入門書なら読める気がする。。。
「人間の条件」の内容について、
人間の活動、その視点から分ける?みたいなのがあって面白い。労働について考える学者の礎になるのも頷ける(気がする)。
あとアレントの定義する「労働」はアレントからかなり悪く評価されており、それはナチスの時代を生き抜いたアレントだからこその、人々が画一化されることへの強い危機感なんだろうなと思う。
戦争とかの悲しいニュースを見かけると、「アレント生き返ってほしいー。アレントみたいな人現代にいないのかなあ」とめっちゃ思う。
彼女のような人がいてくれたら世界がギリギリで救われる気がするなと思いつつ、そういう英雄的な存在を願っている時こそ、独裁政治が成立しやすい状況なんだろうなあとも。
Posted by ブクログ
とても「入門書」って感じの本だった。5年前に2年弱かけてちくま学芸文庫の『人間の条件』を読んで覚えていたところを、より知識同士の連関を説明してもらった。忘れかけていたが、少し思い出すことができた。
Posted by ブクログ
東浩紀さんやその辺の人の話を聞いたり書籍を読んでいると、たびたび引用される人がいる。ハンナ・アーレントはよく出てくる人の一人なので、気になっていたところ、たまたまこの「すごい古典入門」シリーズの第一弾で出てきたので、購入してきみた。
どうも理解するのが難しいらしい。ながらで不真面目に読んだので、一応読んだが、内容は理解していない・・。
Youtubeで戸谷さんの解説があったので、そちらも参照したい。
Posted by ブクログ
まさに仕事に悩んで悩んでたまらず書店に飛び込んだら出会った。ハンナ・アーレント超入門書って感じで軽く読めた。やはり植民地支配から重商主義始まり今日の資本主義まで続いてると思うと本当に、人間の欲望がある限りこの地獄は永遠に続くのだろうな。
Posted by ブクログ
労働は円環のイメージなので歴史がない。作られたものは消費されて、また作られることを繰り返す。
仕事は過去から未来へ向かって延びる直線で進展していくイメージ。作られたものは保存されて世界を構成する。
舞台刀剣乱舞でも円環とか過去が保存されて未来に伝わるとかそんな話あったなー
読みやすく書かれているので最後までさくっと読めて大枠は掴めた。ここでその話いるかな?みたいな話が差し込まれるところがちょっと気になった。
Posted by ブクログ
全体主義と資本主義の共通点。
人間を画一化してしまう恐ろしさ。
ヤスパースの元で学んだというアーレントは、従来の哲学とは反対に、”活動”として、新しいことを開始することの重要性を問いかける。
解説の戸谷さんのいう通り、結論や答えのようなものはないが、
「歴史を相対化することでより良い働き方を考える」きっかけとなるような本だった。
Posted by ブクログ
ハンナ・アーレントは知ってはいるもののその思想や主張といわれると全く知らない…という訳で購入してみました。
薄くて字が大きくて読みやすいです。
『人間の条件』というアーレントの著書を中心としてアーレントの思想を解説した本です。
アーレントは全体主義を強く批判しました。それはなぜかというと、人間を画一化し複数性を奪うからです。また、資本主義社会も人間を画一的する点や無限の勢力拡大志向において全体主義とよく似ているといいます。では、いつから複数性は失われたのか…ということを古代ギリシャまで遡って考えていきます。
現代では、労働こそがもっとも重要な活動だと考えられていますが、それは歴史的に形成されてきた思想に過ぎないのだということが分かりました。
そうした考え方が押し付けられることをアーレントは批判しています。
ただ、やっぱりこの本だけでは全然物足りないというか、もっと詳しく知りたいなと思いました。
『人間の条件』は複数の翻訳書が出版されているようですが、かなり難しそうなので、参考文献に挙げられていたアーレント関連の本の中で読みやすそうなものを読んでみたいです。
Posted by ブクログ
働くということについて気になっていたので読んでみた。まさに職業(労働)だけがアイデンティティのようになっていることに疑問を感じて。
労働が重視されはじめたのは近年だし、そうとも限らないよ、という考えを知ることで少し楽になるのかもしれない。
噛み砕いて書かれていてとても読みやすかったと思う。疑問や理解できない部分もありましたが、最後に「どんな哲学の概念も完全ではありません」とあり、まあそれはそうですよねと安心できました。
原著は難しいらしいですが、できたらちょっと触れてみたいなと思いました。
Posted by ブクログ
アーレントの主著『人間の条件』を題材に彼女の「労働」に対する思想を古代ギリシャでの考え方にまで遡って分かりやすく解説された入門書。
彼女は人間の活動を、労働、仕事、活動の3つに分類し、「労働」は生命維持のために必須であるが、それ以上に人々が関わり合い新しいものをうみだす「活動」を重要視した。
それが近代では重商主義の誕生などに端を発し、そのヒエラルキーが逆転してしまったと主張している。
しかし、この逆転現象は長い歴史の中で、ごく最近になって出てきたものに過ぎず、労働が絶対的に重要であると考える必要はない。
アーレントの『人間の条件』は「労働」に対する考え方に答えを提示するものではなく、一思想家として問題提起するものである。