【感想・ネタバレ】グランド・バンクスの幻影のレビュー

あらすじ

2012年、巨大プロジェクトが計画された。ニューヨークへ向かう処女航海の途中、グランド・バンクス沖合で氷山に衝突、沈没したタイタニック号。多数の犠牲者をだしたこの悲劇の豪華客船を、沈没100年を記念して引き揚げようというのだ!もうひとつの未踏の領域、深海を舞台にした近未来テクノロジーSF。

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Posted by ブクログ

安心して読める面白さがあるが算数は要らない
表紙   6点浅田 隆
展開   6点1990年著作
文章   6点
内容 618点
合計 636点

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2017年03月27日

Posted by ブクログ

 「神の鉄槌」では幻滅したが、こっちは良かったなぁ。1990年の作品だが、とても良かった。

 筋書きは、タイタニック号を引き揚げるという近未来のSF。もちろん、これにまつわるさまざまなドラマが展開される。私には無駄と思える登場人物も沢山いるが、それはそれなりにクラークがいいたいことを代弁させる役割として許してしまえる感じ。

 中身は非常にハード。ハードSFと言う言葉が一斉を風靡した頃の流れがここにある。日本では(今はどうしているんだろうか)堀晃氏等がハードSFをよく書いており、私も好きだ。ハードSFって明確な定義は知らないが、要するにひとつふたつの虚構(仮定)を除けば、かなり理論的な展開が存在することだと思う。

 この作品ではマンデルブロー集合の話がある。数学に詳しくなくても、その魅力はパソコンなりでよく見る形だけに一般に知られているだろう(だから私も知っている)。タイタニック号の引き揚げという目でこれを見るとあまり面白くない(お決まりの結末)。

 でも、それが大きな背景となっており、その背景の中でいろんなドラマなり論理的な楽しさがあるというのがクラークの雰囲気かな。地球から一気に宇宙空間に飛ぶエピローグのキレもいいと思うし、クラーク自身による25ページに及ぶ謝辞や資料、講演会記録なども読みごたえがある。

 物語の中で引用するにもっともふさわしいところを私の言葉で少し書いてみる。

問題1:
 2つの正四面体がある。この2つを放して置くとき、面の数は合計いくつか。

答え1:
 8。(当たり前)

問題2:
 2つの四面体のひとつの面をくっつけて1つの立体を作る。新しくできた立体の面の数はいくつか。

答え2:
 6。(互いにくっついた面がひとつずつ消えるから、これも簡単)

問題3:
 正四面体とピラミッドがある。この2つを放して置くとき、面の数は合計いくつか。
(正四面体の全面の三角形とピラミッドの側面の三角形は等大とする)

答え3:
 9。

問題4:
 正四面体とピラミッドのひとつの面(三角形)をくっつけて1つの立体を作る。
新しくできた立体の面の数はいくつか。

答え4:
 7。

 さて、答えの1~4の中に間違いがある。もちろん、トンチではない。これが頭の中で解る人がいれば私は感動する。私は絵を書いてようやく理解できた。とても面白いのでこの立体を作ろうかと思うほどだ。作品には直接関係ないが、面白い問題だったもので。

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2011年11月29日

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