あらすじ
トランスジェンダーをめぐる信頼と対話の物語
〈『ここが海』は、岳人が「受け入れることができる」という信頼を友理のなかに積み重ねていく物語です。〉(本書「あとがき」より)
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岳人と友理は、ともにフリーライターとして働き、高校生の娘・真琴を連れて、日本各地のホテルやロッジなどを転々としながら生活している。
海辺のホテルに長期滞在中のある日、岳人は友理から、その性自認をためらいがちに告げられる。
「自分は女じゃないかもしれない」
友理からのカミングアウトを聞き、岳人は、その性別違和の告白に驚きつつも理解を示す。それはまた、心を寄せる側にも〝受け入れられてゆく〟時間が始まるということだった──。
心をふりしぼり、潮目を変える。そこから生じる「移ろい」のなか、当事者との信頼関係を構築してゆく会話劇。
巻末には、この作品づくりにおいての配慮の大切さを記した「あとがき」と、登場人物達のサブテキスト(感情の流れ)を理解するためのみちびきとなる「演出ノート」が付録する。
トランスジェンダーをめぐる信頼と対話の物語。
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Posted by ブクログ
何気ない会話や和やかに思えるシーンにもさりげなく変化が織り込まれていて、何度読み返しても面白い作品だと思った。「ここが海」。帯には「心をふりしぼり、潮目を変える。」とあるけれど、なんでタイトルに海を選んだんだろう。「怖いって思ってるって思われたくない」男性的な岳人は海を怖がっているけれど、そこも関係あるんだろうな。「景色のいい観光地」のときも思ったけれど、あとがきを見ながらしみじみ振り返ることができるのは楽しい。
性別違和という昨今増えてきたテーマで、だけど(私的には)珍しい終わり方をしている作品だと思う。かなり好き。読者とか観客に考える余地を与えてくれる作品って大好き。「当事者」だから正解が出せるわけじゃなくて、岳人も友里も真琴だっていろんなものに板挟みになっていろいろ考えて、ってそういうのが静かに伝わるお話だった。
まだまだ読み直したい。考察できるほど賢くないけど、私なりに何度でも味わいたいなと思えた。
ただやっぱりどうしても、現地で観たかった……!!!どんな演出だったんだろうとかここどんな風に発声してたんだろうとかめちゃくちゃ考えちゃうよーーーーー演劇としても台本としても楽しみたかった…!!!
そういう意味では今度初観劇するのが余計楽しみになった、っていうのも感想のひとつかも……。