あらすじ
AIを使って、会社を爆速成長させる方法
AIでいかに稼ぎ儲けるか? 日本の「勝ち筋」はどこにある?
「経営」と「AI」の第一人者が徹底指南!「AIビジネス書」の決定版。
「この本が、日本を変えていく力になればと思う」
──松尾豊(人工知能学者・東大大学院教授)
・「問う力」を発揮し、“AIのボス”になれ
・熾烈を極める米中AI開発バトルの最前線
・世界に出遅れた日本ゆえ、“リープフロッグ”戦略を
・内需&地方×AIが、巨大デジタル赤字を解消する
・人手不足なのに移民が進まない日本こそ、AI導入を
・AI武装したブルーワーカーが新しい中間層になる未来
・AIで社会課題を解決──日本型モデルとして輸出せよ
・日本の中小企業300万社がAI革命を起こす時
・あなたの会社、業界、キャリアはどうなる?
【目次】
序章 「DX幻想」の終焉
第1章 なぜDXで失敗したのか
第2章 AX──AIが意思決定のOSを変える
第3章 ホワイトカラーの消滅と“ボス力”の時代
第4章 ホワイトカラー生き残りの鍵はローカル×中堅・中小企業にあり
第5章 アドバンスト・エッセンシャルワーカー産業の時代
第6章 グローバル構造転換と日本の優位性
第7章 国家、企業、個人はどのようにAXを進めるか
第8章 日本型AXモデルとJPiXの挑戦
終章 1億総ボスの時代への希望と展望
巻末特別対談 (松尾豊×冨山和彦)
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Posted by ブクログ
■プロンプトカ=問う力、対話力が武器になる、しかも
AX時代において、意思決定プロセス上の最も重要な能力は、「プロンプト力」である。ブロンプトとは、AIに与える“指令文”だが、これは単なる命令ではなく、問いの構造設計そのものである。
・どんな切り口で情報を整理させるか?
・何を前提に答えさせるか?
・どのレベルの抽象度で出力させるか?
これらは単なるスキルではない。思考能力と構造化力の複合体だ。つまり、「良いブロンプトが書ける人材」とは、「本質的な問いを定義できる人間」であり、経営であれば「経営の設計図を描ける人間」である。
一時期、もっとユーザーサイドのテクニック的な意味でプロンプトエンジニアリング(AIに与える指示文を設計・調整する技術)というスキルが注目された。モデルの一般的な性能(たとえば論理処理)を上げるプロンプトテクニック、たとえば、thinkcarefully と入れると軒並み性能が上がるといった話である。要はAIの生産性はプロンプトの質に規定されるということだが、その後、AI自身がどんどん進化し、ユーザー側のプロンプトの巧拙はあまり重要ではなくなっている。AI自身の推論力、理解力が向上し、質問の多少の論理的巧拙や質問の曖昧さは補ってくれるようになったからだ。
しかもAIアシスタント、さらにはAIエージェントといった自律的なサービス機能まで登場し、AI自身が自問自答しながら目的に向かって思考作業を進めていくようになっている。そうなると、使う側が真に求められる価値ある問い、差がつく問いは、当該問題領域におけるより本質的な問いとなってくる。そもそもなんのためにAIに問うのか、その目的設定こそが問いの本質であり、問いの構造設計思想となる。経営のドメインでAIを使う場合、経営力のある人材、すなわち経営に関する思考能力と構造化力のある人材こそがより良い問いを立てられるということだ。
結局、ユーザーテクニックレベルでのプロンプトエンジニアリングの重要性は減少し、 むしろAIやAIエージェントの内部機能に内在化、組み込み化、高度化されていく。
その意味でプロンプトエンジニアリングの重要性は引き続き存在するが、それが進むほど人間様の方ではもっと高次元、メタなレベルで意味のある問い、自然言語で本質的な問いを立てる能力が重要となる。
本質的な問いにあらかじめ答えはない。AIは正解を知っているのでそれを効率的に引き出すためにプロンプトテクニックが必要だ、という発想自体が無意味になってくる。
むしろ本質的な問いに対する答えを創出するための対話の相手としてのAIの役割が重要になってくる。本質的な問いはすなわち創造的な問いであり、人間として真に価値のあるAIの使い方は対話的になっていく。実は相手がAIか人間かに関係ないのだが、問う力は対話する力でもあるのだ。そしてエージェント機能を持ったAIに対しては指示する力へと発展する。
言い換えれば世の中の既存の与件、産業の与件、会社の与件、部門の与件を疑い、それらの与件はそもそもなんで存在するのか、その理由や背景は今でも有効か、観察の視座を上げ、思考の抽象度、普遍度を上げられないと本質的な問いは立てられないし、真に創造的な対話はできない。
裏返して言えば、それ以外の事柄の多くはAIにやってもらった方がいい。そこで私たちは世の中のデスクワーク仕事、知的生産活動ということになっていた仕事の多く、いわゆるスタッフ仕事の多くは人間自身でやる必要性はないことに気付く。結局、仕事は「決めること」「実行すること(させること)」その「結果責任を引き受けること」の三つに収れんし、それ以外の仕事、たとえば決めるために組織の中で人間がやってきた膨大な量の仕事の多くはAIに代替され価値を持たなくなる。
Posted by ブクログ
冨山和彦さんの「日本経済AI成長戦略」を読みました。巻末には松尾豊先生との対談と松尾先生のあとがき。この対談にすべてが凝縮されていたような気がする。
少し、引用すると
・推論は英語にした場合に「インファレンス(推論・推定)」と「リーズニング(論理的推論)」の違いがあり、これまでの AIが行っていた画像認識など、分類の出力などを行うのはインファレンスになります。
・最近の A Iは先ほども説明したような、何度も LLMを使い長期的かつ探索的な思考を行うリーズニングを行っています。
・今の AIが行っていることは、人間の思考に近いと言えるでしょうね。
・創造性とは相対的であり、ある種のパターンでもあると言えます。創造性なんてものはないと僕は思っていますし、今の AIがすでに実現していることでもあります。
・A Iを前提とした A Iネイティブな社会やアーキテクチャへの変換であり、ガバナンスの再構築が必要だと。その再構築をどのように行うかが、 A Iビジネスにおける勝ち負けを分けるポイントであると僕は考えていますし、テクノロジー云々ではなく、こちらの勝負の方が重要だとも思っています。
・A Iビジネスでも一番儲かる領域はアプリケーションです。現在のように最新の A Iモデル開発に多大な投資を続けているウィナー・テイクス・オールのスタイルで、この先果たして儲かるのかどうかは懐疑的です。
・日本企業の大半はハードウェア・デファインドであり、ソフトウェア・デファインドな組織構造ではないですからね。
・A Iについての知識や理解がありモデルを開発できるだけでなく、 A Iを使って変革を起こしていける。組織を変えたり、新しい領域に取り組んでいくことのできる人材が重要
・問われるのはビジネスの本質を理解する能力であり、テクノロジーではないと。
・従来のリーダーシップ人材育成と似ているように思います。社会的に大きな変化を伴うので、法律のことを分かっている必要がまずあります。組織を変える必要もありますし、これらの取り組みを総合的にできる能力も求められる。一方で、人間性という付加価値も理解している必要がありますから、大変だと思います。
・実現のためには次元を一つ上げて、世の中を抽象化し俯瞰して考えることが重要だと思います。
・圧倒的に抽象論か圧倒的に具体か、その2つにこそ意味があって、中途半端な抽象論や中途半端な具体は力としては大変弱い。