【感想・ネタバレ】日本の江戸時代 舞台に上がった百姓たちのレビュー

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Posted by ブクログ

検地は百姓の土地私有の確認。武士は土地を失なってサラリーマン。百姓は土地を私有し、売買し、商売の資本にもした。E.H.ノーマン以来の江戸封建論、農民窮乏論をくつがえし、百姓の活躍する江戸近代史論。(1999年刊)
・時代を創った百姓
・序論 江戸時代を考える視点
・第一部 時代転換の契機ー金銀山と田畑の開発
・第二部 領有から私有へー検地・五公・定免
・第三部 変化する幕府法令ー「御触書」と「御触書集成」
・第四部 近代の創造ー民衆の自由と生産
・終わりにーわたしの江戸時代観

読んでいて、自分の既成概念が打ち壊されていくのが感じられた。文体も、人文書にしては読み易い。
果たして、学会ではどの様に評価されているのだろうか、気になるところである。
第一部では、佐渡の事例を紹介しつつ、農村の構造の変化を論じている。佐渡の金山が開発されたことにより、佐渡には巨大な消費地が誕生する。炭・薪や鉱山で使用する支柱用の材木や、4、5万人の人たちの生活用品などは、島外からの輸入により賄われたが、幕府では陸揚げ商品の10分の1を色役として納付させ、それをせりにかけて大きな収入を得たというp27。
鉱山町の繁栄は、他国の村にも影響する。米やタバコや麻が売れることにより、村の購買力が高まる。やがて村では、売れる価値のある作物を作るようになる。
第二部では、検地について論じているが、検地により土地が財産とされたとする。検地帳の記載と、現地の実情には、面積や収穫量にかなり差があり、土地の生産力をあらわしたものではなかったとする。検地帳の収穫高により年貢を納めるものの、百姓間の取引は、実収高(刈高制)により行われ、小作人と地主は収穫高を折半したとする。(著者は、これが5公5民とされたと推定)年貢は、地主の取り分の中から収められたため、江戸時代の小作人の負担は、通説ほどではなかったとしている。(古老からの聞き取りにより、明治中期からの耕地調査により、刈高制と検地帳の落差がなくなり小作料の負担が増加した)

搾取される農民という視点から一歩進んだ内容となっており、説得力を感じた。

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2015年02月16日

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