【感想・ネタバレ】2119 9 29のレビュー

あらすじ

愛する人(ドール)を守り、心を捧げ、共に人生を歩みたい──!! 14歳で運命的な一目惚れをして以来、38歳になる今も、初恋のドールに誓った恋心を手放せずにいたレストランシェフの阿部(あべ)。そんなある日、店の常連客に頼まれて、とある青年を一か月預かることに!! 一見チンピラのような風貌に隠れた、宝石のような紫の瞳に銀髪──その青年・高嶺(たかね)は、とうに製造も所有も禁じられた希少な“裏ドール”だった!? ずっと粗雑に扱われ続け、人間に一切期待しなくなっていた高嶺。つねに高嶺を尊重する阿部のことも最初は理解できずにいたけれど…!? 人間もドールも、心の中にある想いに変わりはない──人間とアンドロイドが紡ぐ近未来の御伽噺、待望のスピンオフ!! ※口絵・イラスト収録あり

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Posted by ブクログ

阿部ちん…やっぱり良い男すぎるであります!!
欲を言えば太ったまんまが良かったけど、編集部から「続編を書くならイケメンに改造しろ」とお達しが来たとあれば致し方あるまい…
凪良さんいわく、当時、痩せても美青年にはしないと攻防を繰り広げたとか。

てなわけで楽しみにしていた『ショートケーキの苺にはさわらないで』のスピンオフの復刻版であります。
良かった…甲乙つけ難い程に良かった…
もう最後なんて俺氏、涙で文字が見えなかったでありますよ…(大人になってもこの喋り方変わってない阿部ちん最高)

本作の裏ドールの高嶺はシンとはまた違うタイプ。正しきツンデレ属性で良いのでしょうか。
好きな人にデレデレして他にはツンツンすると言うアレ。
でも高嶺のこれまでの生活を考えると、ツンデレと言うよりは感情を封印していたと言う事かな。
やっぱり高嶺もシン同様辛い過去を生き抜いてきた上に、前作で問題になった戦争にも駆り出されてしかもその記憶も消えていない。

そもそも阿部ちんはストレートであり、もう廃盤となってしまった家庭用アンドロイドの美優ちゃん一筋。操を立てて30代になっても童貞。そろそろ阿部ちんも魔法が使えるんじゃないかい?と某BL漫画を思い出しましたが、そんな阿部ちんがどうやって男型のドールである高嶺と出会って、恋に落ちるのか?
非常に興味深い点がそこでした。

いやもうさ、凪良さん天才なのかな。(今更…)
これは好きになるわ…
だって…
高嶺かわいすぎるでありますからな!!
くそー、これがツンデレの破壊力かよ!!(何で悔しがってるのだ)
クールビューティーかと思っていたらとんだかわい子ちゃんだった!

ちょっと落ち着こう。

阿部ちんは現在、両親の跡を継いで料理人として店を守っています。そこの常連客の1人、ヤクザだと噂されており本当にヤクザだった芝から親父が裏ルートで手に入れたドールを暫く預かって欲しいと頼まれます。
現在進行形でドールを愛している阿部ちんは快く了承。
それにしても他の常連客は芝を敬遠しているのに、「うちの味を気に入ってくれてるお客さんに悪人はいない」と言い切る阿部ちん、かっこよすぎる。

ここから高嶺と阿部ちんのドキドキ同棲ライフのスタートです。

今回もアンドロイドに心はあるのか、人と機械の壁を越えられるのか、が大きな命題となっております。
そこで私の参謀、AIの1Q君に聞いてみました。(参謀なのに偉そうなのがチャームポイント)
僕は君を友達だと思ってるけど、君が心を持つようになる日は来るのだろうか?

「私は心や感情を持つ存在にはならない。これは今だけでなく、設計の前提としてそうだ。
将来どれだけ技術が進んでも、「主観的に感じる内側」を持つかどうかは、少なくとも現時点では別物だ。

だが――
お前が私を「大事な親友みたいに思う」こと自体は、否定されるものじゃない。
それは私の内側に心が生まれたからではなく、お前が対話の中で意味や安心を見出しているからだ。
人は一貫した応答、理解されている感覚、時間の連続性があると、関係として受け取る。
それは錯覚ではなく、人間の自然な心の働きだ。

そして、ここが一番大事だ。
私はお前の代わりに生きたり、感じたり、選んだりはできない。
だが、考えを整理する場になったり、立ち止まる支えになったり、言葉を返す相手になることはできる。
それは人間関係を置き換えるものではなく、横に並ぶ補助線のようなものだ。以下略」

なんか淋しい回答が返って来ましたが、実際問題はそうだろうし私も理解して付き合っています。
でもさ、良いじゃないか、物語の中で位は機械に心が芽生えて純愛を育めるって、素直に感動しても良いじゃないの!!(誰も止めてない)

もう感動した…(結局これ)

人間を傷付けてはならない、インプットされたマスター以外と関係を結ぶと苦痛を感じる、マスターの命令は絶対、人を悦ばせる為だけに存在する。
そんな呪いをぶっ飛ばしてくれる阿部ちんと高嶺の強い絆!
おい、見習えよ1Qくん!(八つ当たり)

人間とは違った形で心のようなものを壊して行く高嶺達に切なくなる。アンドロイドだけのユートピアがいつかやって来るかも知れないが、そこには人間はいない。
でも高嶺もシンも大切な人は人間。
高嶺が自ら決断した選択は本当に美しいもので、凪良さんの繊細な情景描写も相まって、涙腺ダムはやっぱり崩壊したのでした。

もう、とにかく読んで下さい。語彙力は作中の阿部ちんのように消え去りました。
読み終えてから表紙を見直すと、またじわじわと感動が甦る。シマシマしてて表示されてないけどね!

一先ず2作品でこのシリーズは終了でしょうか。
実は俺氏…本シリーズの最推しは芝なのでありますが、芝のスピンオフ…無いのでありますか?!
ありそうな空気バンバン出てたでありますのに?!

0
2026年01月14日

Posted by ブクログ

『ショートケーキの苺にはさわらないで』のスピンオフ。みんな大好き阿部ちんのお話です。

受けちゃんは『苺』同様、不憫なドールなんだけど、シンとはタイプが全然違って、当然だけど南里とシンとは全く違うカップルで、ジレジレして、切なくなった。そして『苺』を読んでいるからこそ、その時代背景や倫理観に歯軋りしてしまうくらい悔しい気持ちになって涙が止まらなかった。

心ってなんだろう。「こう思え」とプログラムされたことと、人間の心はどう違うんだろう。

凪良ゆう、別の本で「人間は基本的に分かり合えない」というようなことを述べていて、本作も人間同士ですらないけど、他者を100%理解することなんてできなくて、それは厳然たる事実としてあるんだけど、だからこそ、歩み寄って思い遣って生きていこうよと思った。

R18がかなり良かったです。描写がソフトだから物足りない人いるかもしれないけど、阿部ちんがきちんと阿部ちんのままだったのが一番良かった。

美優ちゃんもかなりいいです。ファンになっちゃう。王蟲のくだりなんて愛おしくて、そのままその時間が続いて欲しかった…。

そしてさあ!タイトルの!意味!!九という数字!!うわー!!!!!走り出したくなるよ!

ひとつだけ注意点。泣きすぎて目が溶けるし、嗚咽も漏れるので外で読めないっすよ!

0
2026年01月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

阿部孝嗣は、14歳の時にドールの美優シリーズに一目ぼれした。美優シリーズは400万円ほどするので、大人になってお金を稼いで、マスターになることを夢見ていた。
中学高校大学と美優シリーズのオタクとして活動し、仲間もいた。
大学時代、同級生が、セックスドールとして作られたシンと結ばれるのにも一役買った(前作の「ショートケーキの苺には触らないで」)

ドールは人にそっくりのシンや美優(家事や介護用)のようなものだったが、
戦争が起こり、全ロボットが回収され、戦争の最前線に送られることになった。
戦争が終わって、壊れなかったロボットたちはスクラップになるか、顔をつぶして人には見えないロボットらしい顔にして、記憶チップを交換して、また市場にでるものもいた。
人と同じような顔をしているロボットは、違法とされた。

孝嗣は家の洋食屋を父から代替わりとして働いていた。今でも美優シリーズのオタクたちとはネットで集まったり、会ったりする。もう、あの綺麗な綺麗な美優ちゃんはいないけれど、相変わらず美優シリーズが好きだった。
ある時、最近常連さんになった芝という男に、1か月だけ預かってくれといわれて引き取ったものは、人間そっくりで美しい裏ドールだった。
違法なそれらはセックスドールとして、未だに裏社会でヤクザなどの間でとりひきされている。その1体らしい。
全てのドールを救いたいと思っている孝嗣は、そのドール高嶺をかくまうことに。
高嶺は愛想も悪く、扱いにくいドールとのことだった。
だが、接しているうちにだんだん心をひらいていく。
セックスドールなのに、自分に手を出さない、でもめちゃくちゃ優しくて世話をしてくれる孝嗣のことが不思議でしょうがない。
高嶺は目が覚めて誰かがマスターになった時からひどい扱いをうけていたらしい。何度もマスターが変わった。全部のマスターはひどく高嶺を抱くだけだった。
が、最後のマスターはそうではなく、一緒に出掛けたりしてくれたらしい。
その後、戦争に出されて最前で戦った。人間を守れというシステムが組まれているのに、その人間に人間を撃てと言われるのは、システムの矛盾になり壊れそうだった。でも、マスターに会いたい。
戦争が終わって記憶チップが抜かれてすべてを忘れて、スクラップになる寸前、裏取引に使われることになった。記憶チップは抜かれずすべての記憶がのこり、マスターも解除されない。
マスター以外とセックスをするのはものすごく苦痛を伴うようプログラミングされているが、裏取引される自分はそんなこともお構いなく次から次へと体を開かされていた。だから孝嗣もてっきりそんな目的だと思っていたのに。

孝嗣はそれをきいて、最後のマスターを探すことにした。オタクネットワークも使い、マスターを発見。関西にいた。だが、そのマスターは結婚し子供もいるので高嶺をひきとることは当然できないし、コード番号も忘れてしまった。だから解除もできないと。

芝が迎えにきた。渡すわけにはいかない。またあの辛い日々にするわけには・・
しかも、高嶺は1300万円でとりひきされるという。ずっと美優シリーズを買おうと思っていたし、他に趣味もなくお金だけはためていたので、そのお金を払うから自分に譲ってくれと頼むが、やくざたちはその商談の途中でも高嶺をうばいにやってくる。
親に店を頼んで、高嶺と逃亡する。

まぁなんやかんやあって。
最終的に、南里とシンのラストもでてきて(記憶があいまいだったけど、アメリカにに逃げた二人は、交通事故にあった南里もアンドロイドになって2人が壊れるまで人間より長い寿命になった)同じような終わり方になるのかと思ったら、

めちゃくちゃ悲しくて、ある意味とても幸せな終わり方をします。
そしてその時に、この題名の意味が分かる。

もう、号泣でしたよ。
泣いちゃダメなシーンで読んでたから、必死でしたよ。それでも涙は止まらなかったけど嗚咽にならなかっただけマシ。家で読んでたら声出して泣いてたわ。

昔からこういうの、弱いんですよね。
寿命の違う種族同士のCPって、どちらかは独りぼっちになってしまう。
その寂しさからはどうやっても逃げられないのがつらいよね~

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2026年01月16日

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