【感想・ネタバレ】どうやって社員が会社を変えたのかのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

セオリーではなく、いすゞの実例を元にした会社の変革について、当事者が振り返ると言う形でまとめられていて、とてもわかり易かった。
何がうまく行ったのかだけでなく、何が失敗だったのかという実例を知ることができたのは、とても参考になった。
「やらせる改革」では会社は変わらないということは皆わかっていながらも、何かやらせなければ変わらないのではという焦りから起こすアクションが、変革を妨げているかもしれないと感じた。
また、TQCがうまくいく企業とうまくいかない企業についても触れられている部分、同じく推進者という立場にいる自分には非常に身につまされた。

以下気になった点抜粋
P27・彼は、日本の組織を、「何かを解決する、何かを生み出すための組織ではなく、与えられたこと、決められたことを間違いなく処理するための組織、何かを守るための組織」だと言い切っている。
P29・チームワークが機能するには、少なくとも以下の2つの要素を必要としている。1・目指すものの共有、2・チームメンバー相互の信頼関係
P30・「事実・実態を大切にする」、「意味・目的・価値を問い続ける」、「当事者で在り続ける」。これら3つの「動きの原則、考え方の原則を共有すること:が、チームワークが機能するためには不可欠ということだ。
P43・縦割り構造の組織の中で、多くの社員は自分が所属している部署に閉じこもり、組織はバラバラの状態になっていた。いつの頃からか、経営層は社員たちを信頼ではなく持ち駒として計算するようになり、中間管理職の多くは上の顔色ばかりを伺って仕事をする「ヒラメ人間」になっていた。社員たちはそんな経営層や上司に対して無言のまま不倫の眼差しを向けていた。
P45・TQCでそれなりの結果を出しているトヨタがいすゞと比べて条件が異なっていたのは、経営層と社員の間に相互の信頼関係が十分に残っていた、という点だ。
P46・TQCのような改革手法は、手法自体が有効であることは確かだとしても、導入の仕方や活動の進め方が時代や会社の経営状態にそぐわないと、成果よりも弊害が大きくなる。
P48・TQCの基本理念として「たてまえではなく、本音で話し合うこと」が表向きでは強調されていた。「建前ではなく、本音で話し合う」という「建前」が併記でまかり通る会社では、推進室の「型にはめてやらせる」というやり方が定着していく。少なくとも公式の場では「本音で話し合う」ことは起きなかった。
P50・(TQCは)肝心の活動の中身までもが指導会対策を第一に考えたものになっていき、解決済みに近いような無難なテーマをわざと設定するといった見せかけの行為がはびこった。
P60・会社から選ばれた人たちは非常に優秀で、夜遅くまで熱心に作業する人たちでは合ったが、自らの意志でと言うよりは、命じられた仕事として活動に取り組んでいた。自らの内発的な動機に突き動かされ、自分たちの人生観や生き様に根ざした取り組みをするという姿勢が全くなかったということだ。自らの職場で自らの意志とリスクで実践するかというと、誰も何もしない。何のために改革をするのか、改革は自分にとてどういう意味があるのかといったことを自らに問わないまま、ただ仕事として問題点を分析しているだけで、そこからは何も生まれてこないことを改めて私たちは痛感した。
P66・多くの人は不平不満を出しきるステップを踏んで当事者になっていくのだ。
P73・「企業風土」とは、その企業にあるトップから全社員一人ひとりの持つ意識の発露、行動の結果の現象であります。
P80・「自分はどうあるべきか」について自分の頭で考えてほしい
P81・個人の力だけで組織を変えるのは容易ではない。ひとりだけではなかなか組織を変えられないので、そのひとりが他の人とつながっていきながら、変革の和を広げていくのである。
P82・組織変革のプロセス:①危機意識を高める、②変革推進のための連帯チームを築く、③ビジョンと戦略を生み出す、④変革のためのビジョンを周知徹底する、⑤従業員の自発を促す、⑥短期的成果を実現する、⑦成果を生かして、さらなる変革を推進する、⑧新しい方法を企業文化に定着させる
P103・推進室が「やらせる」ために用いる常套手段は、トップの前で社員に活動の内容や成果を発表させること。プレッシャーがかかった現場では、活動を「やったふり」をして切る抜けたり、活動の実態より体裁を整えたりすることにエネルギーを注ぐようになる。中にはまじめに活動に取り組む職場もありますが、そういう職場では本来業務が滞る。
P112・組織の一部でなにか新たな動きが起こり、そこの人々が活気づき始めると、組織内に温度差ができる。そうするとそれ以外の場所の人々もざわざわ仕出し、自分たちも何かをやってみたいという気運が生じる。そこで背中を押してあげれば、その人達も自ら動きを起こす。
P120・問題意識は高いものの、具体的に同問題を解決するかという話になかなかなっていない。みんな評論家としては優れているが、いまひとつ当事者になりきれていない。
P123・「やらせる側・やらされる側」の関係性は、社内に幾つもの深い溝を作っていた。後遺症はかなりひどく、風土改革を始めるにあたっても、「また何かやらされるのか」と思った社員は少なくなかった。
P132・企業活動は「戦略」「仕組み」「企業文化」の三つから成っている。企業で変革を起こしていくためには、これら三つの要素を一体として捉え、変えていくことが大切。
P151・変革のリーダーシップを目指すミドルは、部下たちばかりでなく、他部門を動かし、トップそれもCEOである社長も動かすべきステージに直面することがある。
P152・GM以上の責任者に求められるのは、アジェンダ作りと、アジェンダを実行する上で不可欠な資源・情報・応援のすべをもつ人々とのネットワークづくり。
P158・物事を「いかにやるか」という職務上の立場や視点で語るのではなく、「なぜやるのか」「なんのためにやるのか」について語り合うことで、その意味や価値や目的を問いなおしていった。
P169・いすゞの生産部門の社員たちのやる気が削がれているのは、会社が考えた仕組みを押し付けられているからだと考えた。
P176・数重視のものづくりは供給サイドの都合にたった仕組み
P213・「プロジェクトが始まって三ヶ月も立たないのに、みんな稲尾さんの顔色を見て仕事をしています。これでは絶対にいいクルマはできないと思います」「稲尾さんの考えている案が部長や課長から出てくるようにするのが、稲尾さんの仕事でしょう」
P222・「信頼と安全」は初めて本当の理念として、私たちの胸に刻みつけられ、私達の仕事に驚くべき変化をもたらした。
P233・組織風土がよい会社であれば、社員はやる気を出し、私達が想像する以上の成果を出す。逆を言えば、組織風土の良くない会社では、いくら優秀な社員がいても、そのポテンシャルはなかなか発揮できない。
P239・組織変革で一番大切なのはコミュニケーションである
P241・JFK「つながれば、できないことなどほとんどなく、分断されていると、できることなどほとんどない」
P243・いすゞ改革は、会社の再製にかけた人たちが自発的に動きやすくなる仕掛けを作った
P250・図:チームを育てるリーダーシップ:正解を押し付けるvs事実に即した試行錯誤をよしとしたリーダーシップ
P252・スコラ式の風土改革とは、企業の中で問題を感じた人が、自分たちの問題を当事者となって解決しやすいような環境を整えていくということ、そういう意味で、いい会社に育っていくこと
P255・評論家と「当事者」を区別する
P259・過去の延長線上から物事を見る=「まずどういう状態を目指したいか」にこだわるのが、私達がよくやる発送の特性だ。
P260・コアネットワークは、変革の石を持つ社員の自発的な結びつきであり、会社を良くしたいという志と、そのためのエネルギーを持っている人達によって形成される。

0
2013年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いすゞの再生劇を、当事者3名の言葉と金井先生の解説でまとめられている。視点のミクロとマクロの対比が理解を深めている。「PDCAではなく、STPD(See, Think, Plan, Do)だ。」は、非常に参考になる。

0
2015年12月13日

「ビジネス・経済」ランキング